　≪嗚呼！　東日本大震災の悲劇≫

　　　　　　　　　　　そして復興までの記録・その１

２０１２・８・１４（火）　曇り　のち晴れ
　 〔地震から１年と１５７日目〕
　今日は東松島市のイオン駐車場裏でトラック野郎の
歌麿会主催による東日本大震災復興イベントが開催され、
私はそこで歌を歌いました。
その模様を別ページに書いたので読んで行ってけさいん。

２０１２・８・１０（金）　晴れ
　 〔地震から１年と１５３日目〕
　新曲（ＤＶＤ）が完成しました。
東日本大震災追悼歌の『カモメ』です。
是非、御覧下さい。

２０１２・７・２８（土）　晴れ
　 〔地震から１年と１４０日目〕
　今日の夜６：００から気仙沼で講演＆コンサートがある。
そこで私は朝の５：００に起き、
行く途中にある石巻市などの撮影をすることにした。
最初に向かった先は石巻市門脇小学校。
この学校は長渕剛が紅白歌合戦で歌った場所だ。
学校の入り口には丁度ヒマワリが咲いていた。

　

　≪門脇小学校≫

　石巻の瓦礫置き場は前回訪問した時は物凄く積まれていたが
今回はその数がかなり少なくなっている。

　次は女川町を経由して旧・雄勝町へ行く。
　雄勝公民館の屋上から3月10日に降ろされた観光バスは
まだ降ろされた場所にそのまま置かれていた。
その道路向かいの『ザ･ティップス』の家の跡地を覗いてみる。
するとコンクリート基礎は取り除かれ細かい砕石が敷かれていた。

　次に大川小学校へ行ってみる。
ここは相変わらず見学者が次から次と訪れてくる。
彫刻『母の祈り』の裸婦像からはマフラーや帽子や衣服が
すっかりと外されていた。（私はこれで良いと思う。彫刻家のためにも）

　次は十三浜を経由して南三陸町の防災庁舎へ行ってみる。
ここも相変わらず見学者が多い。それもそのはずここは通行車両が多い所なのだ。
そこで私は思う。この防災庁舎だけは「絶対に保存して欲しい」と。
もしこの防災庁舎が撤去された場合、その後南三陸町を訪れた人達は
町に対して哀悼の意を示したいとき、何に向かって合掌をすればよいのだろう？
その意味においてもここはシンボルに相応しいと思うのだが、いかがなものか？
そして、この防災庁舎の保存費用は将来的にみてもいくらも掛からないところがよい。

　気仙沼に着いたのは１２：００。
　鹿折（ししおり）地区の繁華街のド真ん中に流され辿り着いた大型漁船を見る。
今後この船の運命はどうなるのだろうと心配する。
　街並みがスッカリと消えてしまった一角に仮設復興商店街があったので
昼食をとることにした。中華ザルの大盛りを食べる。
そこで食堂のマスターに聞いてみた。
　「あの魚船は保存するんだすぺ？」
　「イヤ、たぶん解体すると思うよ」
　「なんでっしゃ？」
　「国で保存するために指定したのは石巻の『ハリストス正教会』だけだったのね。
それで鹿折の魚船は指定されなかったみたい」
　「それじゃ～、国がダメなら県や市の指定にはならないのすか？」
　「もしこの船を保存するとしたら億単位の費用が掛かるんじゃないすか。
だから国の指定を受けなければ無理だと思うよ・・・」

　食事を終え、港付近を走っていると曹洞宗のお坊さん達が被災現場を
鎮魂のため行脚していたのであわてて車を止め、ビデオを回した。

　

　≪宮城県曹洞宗青年部の方々の行脚≫

　ＰＭ３：００、私は気仙沼市内の結婚式場で講演＆コンサートをするので、
リハーサルに行く。
　結婚式場の担当者に聞いた。
　「この式場にも津波は来たんですか？」
　「ハイ、来ました。この辺まで」と言って１ｍ50ｃｍくらいの所を指した。
　
　講演会の主催は気仙沼倫理法人会の皆さんだ。
企画してくれたのは熊谷電気のご夫妻。
熊谷さんに聞くと私のギャラが出ると言うではないか。
それも団十郎の通常の相場で・・・。
なんと主催の皆さんは被災された方々だと言うのに・・・。
そしたら熊谷さんは言う。
　「私の家も店もすべて流されたんですよ。でも我々は考えを切り替えました。
再建のために頑張ろうと・・・」
さらに続けて「団十郎さんの出演料に関してもこう思うんですよ。
たとえば私の仕事、電気工事に対して『ボランティアでやって下さい』って言われたら
それは無理な話で、断わります。本業をボランティアではやれませんよ。
それと同じことで、団十郎さんの本業のコンサートに対して
『我々は被災者ですのでボランティアでお願いします』って、甘える気は、
我々全員にないです」

　なんとたくましい方々なんだろう。
聞けばメンバーの多くが津波と火災で大被害を受けているそうだ。

　私は皆さんの気持ちに心から感謝し、ギャラをありがたく頂いた。
（貧乏な音楽家が被災者から同情されギャラを貰うなんて、人生はドラマだね～）

　泊りは『気仙沼・ホテル観洋』

２０１２・７・２９（日）　晴れ
　朝３：３０に目を覚ます。
急いで起きて、港の日の出を撮りにホテルを飛び出す。

　７：００、撮影を終えホテルに戻り、朝食をする。
ホテルの食堂には埼玉県大宮からサッカー少年団が来ていて朝食をしていた。
気仙沼サッカー少年団と交流試合をするとの事。

　９：００、ホテルを出て陸前高田市に向かう。
すると途中の道路で歩いている青年が手を挙げたので車を止める。
すると高田市まで乗せてくれと言う。
それではどうぞと乗せてやる。
　話を聞くと、６：００に気仙沼を歩き始めて既に３時間。高田市に行きたいそうだ。
　彼は気仙沼から高田市まで１時間程度歩けば到着すると単純に思ったらしい。
ところが気仙沼から高田市まで３０キロ以上もあるので８時間は掛かる。

　彼は福岡県人だと言う。
今回は休暇をとって、高田市でボランティアをするために出かけて来たとの事。
そこで昨日は気仙沼に立ち寄り、被災現場を見学し、そして気仙沼に泊ったそうだ。
そして今朝は早起きし、歩いて高田市へボランティアに行くつもりだった。ところがなんの、
歩いても歩いても高田市に着かないので焦ってしまい、
とうとう勇気を出して、車に手を挙げた。っていう話。
そして最初に手を挙げた車が私だったとの事。

　彼を乗せたその場所からは車で２５分くらい走ると高田市の諏訪神社に着いた。
そこで彼とお別れをし、私は高田市役所周辺を撮影して回った。

　１０：３０、帰路に着く。

２０１２・６・２１（木）　曇り　ときどき晴れ
　 〔地震から１年と１０３日目〕
　今日、名取市増田中学校時代の同級生（女性）のＳ子チャンが遊びに来た。
Ｓ子チャンとは４９年ぶりに会った。
　その彼女との会話。
團「俺さ、同級生の女性とはあんまり喋らながったげんと、席が隣りだった
Ｈ子チャンとは結構喋ったんだよね」

Ｓ子「なんだべやＨ子チャンだったらユリアゲの津波で亡ぐなったべっちゃ！。
彼女、ユリアゲさ嫁に行ったんだずば。
そんで旦那さんと２人で亡ぐなったんだよ。あどね、ユリアゲさ
お婿さんぬ行ったＡ男君も亡ぐなったの。
彼は消防団活動もやってだんで、当日避難誘導すてで津波にのまれたんだって」

　なんという悲劇なんだ。
もしかしてこのように友人で亡くなってる人がまだまだいるのかもしれない。
でももう沢山だ。これが最後であってほしいと願う。

　夜、散歩に行った。
２匹のホタルが私の目の前まで飛んできた。
なぜか私はそのホタルに声をかけた。
ホタルがＨ子ちゃんとＡ男君に思えてショウガナカッタからだ。

２０１２・５・２１（月）　曇ったり晴れたり
　 〔地震から１年と７２日目〕
　ＡＭ２：００、起床。
　ＡＭ３：００、氏家君ちに到着。そして八戸港へ向かう。
　今日は八戸港の南にある『蕪島（かぶしま）』へ撮影に行く。
そこは日本一のウミネコの繁殖地である。
そして、ここの映像は私の新曲『かもめ』にどうしても欲しいのだ。

　ＡＭ６：３０、蕪島に到着。
　蕪島と言うくらいだから、島だと思っていたら陸続きになっていた。
でも昔は島だったみたい。
　丁度、島一面に菜の花が咲いていた。
それで納得。だから蕪島って言う名前が付いたのか。
　『蕪』って言うと一般的に連想するのは食べる部分の丸い蕪大根のほうだ。
でも蕪大根の花は菜の花（アブラナ科）である。
そしたら、ここの島には野生の蕪が沢山咲き乱れるので
『蕪島』になったとの事。

　今朝の蕪島は霧のトバリが島を覆っていた。
これはこれで幻想的で絵になるかも・・・。
早速、氏家君と私は撮影を開始することにした。
しかし、ちょっとその前に「合羽を着なくては・・・」
そうなんです。ウミネコの数が半端ではなく、４万羽くらいは居るらしい。
それもここのウミネコは人に馴れていて逃げないのだ。
だからひっきりなしに頭上を飛び回っている。
そうなるとウミネコの爆弾が人間の頭に落ちて来る。
そこでここに見学に来る人達は傘を差しているから可笑しい。

　島の頂上には蕪島神社がある。
ここの神社は近年、『株があがる神社』として御利益があるらしい。
　
　撮影していると曇った空に太陽がほんのり見えた。
それも三日月の形に・・・。そういえば今日は金冠日食だった。
でも雲が多すぎてまったく様にならない日食である。
　日食が終わった途端、空が晴れてきた。最高の撮影状態になる。
ウミネコも足の踏み場もないくらいに卵を抱いて通路にいるから驚く。
　ウミネコと菜の花の黄色。このマッチングは非常にピッタリだし
時期もグッド・タイミングだった。

　

　≪蕪島のウミネコ、白い点々は全部ウミネコです≫

　この蕪島のすぐ隣りには港があって船が停泊している。
そしたらここの港にも津波が来て、舟がかなり流されたらしい。
船主がいたので聞いてみたら、
「俺の船も流されてな。壊れてしまったよ。
それでこの船は神戸から中古で買って運んできたんだよ」だって。

　１１：００、蕪島の撮影を終えて、移動することにした。
八戸の海岸線を南下して行く事にした。
この八戸港から南への海岸線『種差海岸』は景色が綺麗。
夏にドライブしたらどんなにか気持ちが良いだろう。

　田野畑（たのはた）村に入った。
ここ田野畑村はとんでもなく険しい断崖絶壁の名所が多い。
しかし海岸線に沿っての道路はない。道路が作れないくらい険しい山々だからだ。

　田老（たろう）町に着いた。
田老町に入ると道路は海岸線に沿って走っている。

　田老町には名所があった。『世界一長い防波堤』だ。
この防波堤が完成したことで町では『津波安全宣言』をしていた。
しかしこの度の大震災ではこの自慢の防波堤も
いともたやすく越えられてしまった。
逆にその防波堤があった為に津波が見えず、
見えたときには「とき既に遅し・・・」
それで後になって行政側は「津波安全宣言など、しなければよかった」と嘆いた。

　私はその世界一長い防波堤の上に立ってみた。
「これは凄い。さすが世界一！」とビックリ！
確かに地震の前に見学していたら絶賛していたかもしれない。
そのくらい圧巻である。
つまり、世界一と絶賛されるくらいの堤防を越えた津波なのだから、
その破壊力の大きさは人間の想像をはるかに越えたものだった。

　流されてしまった街並みの一角に『たろう観光ホテル』の建物がポツンと建っていた。
このホテルの４階まで津波が来たそうだ。
それで町としてはこのホテルだけは震災のモニュメントとして
後世に遺そうと努力しているようだ。
　そういえば被災した何処の自治体にも震災の象徴的建造物がある。
そのほとんどが解体されてきている。
もうすぐ南三陸町のあの防災庁舎も解体されるようだ。
しかし私的にはあの防災庁舎は「遺すべきだ」と思っている。
多くの犠牲者がいたればこそ遺してほしい。
津波により被災した各市町村は何か１つを遺してもよいのでは・・・。
いずれ町は再生する。そのとき人々は何に向かって手を合わせればよいのだろう？
今回の悲劇を風化させないためにも遺してほしいと願う。

　ＰＭ５：００、田老町を出発。
宮古市を通って遠野市へ。そして北上江釣子インターに乗る。
我が家に着いたのはＰＭ１０:３０だった。
今回は特に疲れた。

　ところで私は、今回の田老町を最後にして
津波被災地のすべてを見て回ったことになる。
南は千葉県の房総半島から北は青森県下北半島尻屋崎灯台まで。
この距離を見て回るだけなら大した日数はかからないだろう。
しかし私と氏家君は各被災地をビデオ撮影しながらの移動だった。
だから１年３ヶ月もかかってしまったという事である。
とにかく今は氏家君に対してひと言「お疲れさん」と個人的だが言ってあげたい。
しかし撮影の旅はこれで終わったわけではない。
一区切りついただけの事である。

　

　≪たろう観光ホテル≫

　

　≪現在の田老町≫

　

　≪田老町の世界一長い防波堤は延々と続く≫

２０１２・５・７（月）　晴れ
　 〔地震から１年と５８日目〕
　AM６：００、氏家君が我が家に来る。
すぐに福島県南相馬市に向かう。
この南相馬市の小高地区は４月中旬になって、
やっと放射能危険地域解除になり住民は帰宅可能となったそうだ。
そこで我々は小高から相馬市松川浦までの海岸線を撮影しに行く事にした。

　南相馬市の中心地『原町』までの６号線は何ら変わりのない風景である。
しかし原町を抜け小高に入ると風景は一変した。
何が変わったかと言うと交通量と人けがまったく無いのだ。
　村上海岸と言う地区に着いた。
海岸線の住宅街は既に流されていて家など１軒も無い。
しかし高台の所には数軒の家がポツポツとあるのだが
そこに帰ってくる住民はいないみたいだ。
なにせ家は残っていても周囲の電柱はすべて折れてしまい、
今では電気・水道の通らない地区になっている。
だから避難が解除になっても、
すぐさま「それでは早速帰りましょう」とはならないのが現状みたい。

　

　≪南相馬市小高区塚原地区には家１軒のみ≫

　相馬市磯部地区に行ってみる。
たぶんここも大きな住宅街だったに違いない。しかし家がまったくない。

　コンクリート基礎部分だけしか残っていない土地の持ち主が
コンクリートの囲いの中にチューリップの花壇を作っていた。
その行為は「この土地への未練なのでしょうか？」
それとも「最後のはなむけなのでしょうか？」
それを考えると私の胸は大きく痛んだ。

　

　≪鹿島地区右田浜地区≫

　松川浦へ行ってみる。
不思議な事に港には物凄い数の船が停泊しているではないか。
嘘みたい。と言うのはこれまで見てきた岩手・宮城・福島の港では
船が数えるくらいしか見られなかったのに対して、
松川浦では数え切れない数の船が残っているし、周りの商店街も
何事も無かったように営業をしているではないか。
ここの町の海抜だって１～２メートル程度なのだから
津波に飲まれたとしても何ら不思議はないはずだ。
それに対して南隣りの磯部港では壊れた船が
瓦礫の山となって積まれていたのである。

　

　≪松川浦には多くの船が所狭しと停泊していた≫

　松川浦大橋へ行ってみる。するとこの大橋から北の『原釜地区』の住宅街は
見るも無残な光景となっているではないか。
そういえばここの地区に住んでいた友人の家族が亡くなっている。（合掌）

　ＰＭ４：００、帰宅。

　

　≪松川浦大橋≫
　この写真の会社は新築して1週間くらいで津波被害にあったそうです。

　『松川浦大橋の津波の映像です。
ビデオは上の写真と同じポイントから撮影しているようです。

２０１２・４・３０（月）　曇り
　 〔地震から１年と５１日目〕
　AM２：５０、起床。
　４：００、氏家君ちへ到着。
　４：１５、岩手県宮古市へ向かう。
　６：２０、高速道の北上江釣子インターチェンジを降りて、北上市内を走っていると、
北上川土手沿いの桜が満開だった。そして5月の節句も間近ということもあって、
川の上を渡って鯉のぼりが泳いでいた。そこでちょっと寄り道をして
桜と鯉の撮影をすることにした。

　AM７：５０、宮古市へ向かう。途中、遠野市を通る。
　北上市から遠野市まではとても近いのだが、遠野から先が
九十九折の峠道になっていて、慣れない者には非常に危険で恐い。
だから私は助手席に乗って寝ていた。

　１０：２０、宮古市浄土が浜に到着。
１１：００発の観光遊覧船に乗る。
船が走ったと同時にトンデモナイ数のカモメが追い駆けて飛んでくる。
氏家君は息つく暇も無くカメラを回し続ける。それとリアス式海岸だけあって、
岩礁の景色が抜群に良い。
乗船している観光客は皆興奮してカモメに餌を与えている。
その餌のパンの値段が一個500円だと言うので、けちんぼの私は買わなかった。
（５００円あれば天ぷらソバが喰えるじゃない）

　

　≪浄土が浜の観光船から≫

　遊覧船は４０分コースになっている。
そしてガイドさんが言っていた。
　「大震災（３・１１）の時は２時にこの遊覧船が出発して、
２：４０分に遊覧を終えて岸壁に帰ってきて、
乗客が全員降りたところで地震が発生（２：４６分）しました。
幸い遊覧船はエンジンが暖まっていた御陰ですぐに沖へ出て行き、難を逃れたのです。
津波は地震から３０分ほどして襲って来たんですね。
ところで沖へ逃げた遊覧船は４２時間、海から帰って来れませんでした。
そこで船長の２日間の食事は、カモメの餌のパンがあったので
そのパンを食べて飢えをしのぎました」だって。

　１２：００、浄土が浜のレストランで昼食をする。
天ぷらソバ（５００円）を食べた。

　PM２：３０、宮古市の隣町『山田町』の港に行ってみた。
ここの港を囲う防災堤防の高さは５ｍくらい。
しかしこの頑丈な堤防をも津波は軽々と越えたみたいだ。
越えた先の町は家々のコンクリート基礎部分だけを残して
跡形も無くなく消えてしまっている。
その家無き敷地の庭には水仙の花が淋しそうに咲いていた。
　港の岸壁に行ってみた。
そこには津波に破壊された漁船が山と積まれているではないか。

　

　≪水仙も悲し≫

　

　≪廃船の山≫

　ＰＭ５：００、山田町の隣りの町『大槌町吉里吉里地区』へ行ってみた。
　屋敷無き町並みの址に鯉のぼりが泳いでいたので、撮影していたところ、
その鯉のぼりを揚げていたプロパン・雑貨会社の社長が
「お茶を飲んでいけ・・・」と声をかけてきたのでお邪魔した。
するとこの会社も高台に建っているものの２階まで津波が被ったとの事。
でも社長は明るい人で、見ず知らずの私に、獲れたばかりの魚の鱈（たら）を
「持って行って食べたら良いさ・・・」って言いながら、８匹もくれた。

　

　≪川藤商店の川原弘平社長が揚げた鯉のぼり≫

　６：００、今日の撮影を終え、帰る事にした。
帰りの道路は釜石から遠野に向かうコース。
ところが遠野までの峠道がこれまた恐い九十九折ときたもんだ。
肩が凝って、非常に疲れてしまった。
　遠野から北上江釣子へ、そして高速道にのる。
　１０：００、氏家君ちに到着。
　１１：００、我が家に到着。

２０１２・４・１９（木）　晴れ
　 〔地震から１年と４０日目〕
　３ヶ月くらい前の事。私はビデオ担当の氏家君に、こう言った。
「今度作る曲のタイトルは『カモメ』なのでカモメの映像が沢山必要になるよ」
そして２ヶ月前に曲『カモメ』は完成した。
そしてそれからというもの、２人してカモメの撮影に走り回っている。
そしたら一大事。今日のニュースにこのようなのがあった。

　≪ミクシーの記事から抜粋≫
　シンガー・ソングライターの長渕剛が1年半ぶりのニューアルバム
『Stay Alive』を5月16日に発売することが決定した。
　本作には、東日本大震災発生以降、何度も被災地に足を運んだ長渕が
厳しい現実と対峙しながら書き下ろした新曲を収録。
昨年の大みそかに『NHK紅白歌合戦』で初披露した「ひとつ」、
フジテレビ系『とくダネ！』やテレビ朝日系『報道STATIONスペシャル』で披露した
「愛おしき死者たちよ」、この国を愛すればこその悔しさを歌った
「日本に生まれた」、福島第一原発20km圏内に
足を踏み入れたことで生まれた大作「カモメ」など全11曲を収めた。

　な・な・なんと言う事だ。長渕剛の今度の新曲のタイトルが『カモメ』なんだってよ。
オラ、どうすっぺ。長渕に勝てる訳ねぇべっちゃ。んだって彼は超天才だもん。（脱帽！）
そして彼のカモメは大作だってよ。
（ちょっぴり弱気な団十郎なの）

　それにしても長渕も私も２人して東日本大震災の歌『カモメ』を
同時進行して作っていだんだっちゃねや。
　私の『カモメ』は現在、KENNYに編曲を依頼しているので完成はまだです。

　この前の月曜日なんか、氏家君と２人して岩手県大船渡市へ行ったの。
そしてお菓子『かもめの玉子』を製造している『さいとう製菓』に行ったの。
でも社長さんは出張中だったので会えませんでした。

２０１２・４・２（月）　晴れ
　 〔地震から１年と２３日目〕
　1976年（昭和51年）と言えば今から36年前の事。
　私はヤマハのタレントだった。
そしてある日、ヤマハ楽器が造ったリゾート地『合歓の郷』へコンサートに行った。
そしたら観客の２人（姉妹）がリハーサルを終えた私のところに来て
「一緒に写真を撮って下さい」って言うじゃな～い。
そこでマネージャーに彼女のカメラを渡してシャッターを押してもらった。
その後、妹のマリちゃんがその写真を私宛に送ってくれた。
（それから３５年間、会ったことも喋ったこともなかった）

　そして東日本大震災から１０日くらい経った日、
マリちゃんは私の事が心配だったらしく、突然電話をよこしてくれた。

　そしたらなんと彼女は歌をやっていたんですねぇ。
そしてこの度は、被災地の為にこういう事をやってくれたんですよ。

　歌『今・東の空へ』

　歌『糸電話』。この歌の中で、大川小学校で行方不明になってしまった
巴那（はな）ちゃんへの手紙が朗読されています。
（詩はこのページの２０１１・１０・３１（月）の所に写真で掲載されています）

　こんなにも被災地を心配して頂き、ありがとうございます。
被災地を代表して心から感謝申し上げます。

　

　≪左が姉、右が妹、1976年4月25日・合歓の郷にて≫

２０１２・３・２９（木）　晴れ
　 〔地震から１年と１９日目〕
　昼食後、奥さんが「あと２日で高速道の無料化も終了するね」といったので、
「よ～す、んだったら今がら千葉県まで行くべ。津波が来た最南端まで・・・」

　ＰＭ１：４０、スタート。
　まず最初に目指すは『木更津・君津・富津・東京湾アクアライン』の近くにある
マザー牧場へ花の撮影に行く事にした。
　東北道に乗ったが郡山インターから先が１４キロの渋滞との事。
そこで常磐道（いわき経由）に逸れた。逸れたはいいが今度は水戸から先が
１０数キロの渋滞との事。それで結局、一般道を走る事にした。

　国道５１号線の潮来市を走っていると『しじみラーメン』と言う店があったので
そこで夕食をとる。（ここのラーメンはシンプルで上手い。汁までスッカリ飲む）
　ラーメンを食べ終えて出発すると霞ヶ浦が近くにあった。すると道路標識に
『稲敷市方面は右折』と言うのがあった。そしたら奥さんが
「高須さんの住んでいる市だ」って言うではないか。
　高須さんと私は会った事はないが、私のＤＶＤの注文をしてくれ、
団十郎のファンとの事。つまり、メールでのやり取りしかなかったと言う訳。
でも奥さんは彼のＨＰを知っていたのでアイフォンで調べて電話をしてみた。
　すると高須さんは「是非寄ってって下さいよ」と快く応対してくれた。

　ＰＭ７：１０頃、彼の家に到着。すると彼の親友の
宮本さん・飯田さんも会いに来てくれた。

　話の途中、高須さんが「団十郎さん、もし良かったら泊って行って・・・」と言って
くれたので甘えることにした。
　１１：００まで皆と話込む。

　
　≪高須さん宅にて≫

　明朝、早いのでお風呂に入って休む事にした。
ところがなんと荷物の中にパンツが入っていない。入れ忘れだ。
これは困ったぞ。これから３日間同じパンツとは・・・。
そこで考えた。２日目は裏返しに。３日目は後ろ前に。
こうして工夫すれば４日間は穿けるだろう。
（ちょっぴり　不潔な団十郎なの）

２０１２・３・３０（金）　曇り　のち晴れ
　７：００起床。
　８：００マザー牧場目指してスタート。（高須さん夫婦他、皆さんお世話様でした）
　１０：００、マザー牧場に到着。
　菜の花と梅の花が満開だった。しかしあいにくの曇り空。
　私は貴州省の100キロも続く菜の花畑をいつも見ているから
どうってことのない菜の花畑だが奥さんにとっては４町歩程度の
菜の花でも感動ものであろう。

　

　≪マザー牧場にて≫

　
　ＰＭ１：００、近くの鋸山（のこぎりやま）に向かう。
　私は鋸山には３年前に千五百羅漢を撮影に来ている。
それで３年前は楽に頂上に登れたのだが、
今回はかなりフクラハギが痛くてしんどかった。

　

　≪この崖は人間が石をとる為に切り出したんだって≫

　４：１０、房総半島の突端に『白浜フラワーパーク』があるので
撮影に向かった。しかし入場は４：３０で締め切りとの事。（残念）

　４：５０、南房総国定公園の北側の海岸線を走っていてビックリするのが、
なんと街路樹が『ソテツの木』なのだ。東北地方では絶対に見る事は出来ない。
その房総半島の突端から北側の海岸線を走っていると
お花畑（フラワーロード）が道路に沿って延々とあり、
丁度今が満開で心地良いドライブである。
それに岩礁も変化にとんでいて夏のドライブには持って来いの観光名所だろう。
とは言うものの、宮城県人としては海岸線を走ると
どうしても津波の事を考えながら走ってしまう。
　「ここで津波が来たら、何処に逃げようか？」と避難場所を考えながら走っている。
　それにしてもこの地域までは東日本大震災の津波被害は及ばなかったみたいだ。
　暗くなってきたので鴨川市太海・道の駅に車を止め寝ることにした。

２０１２・３・３１（土）　台風クラスの強風　夕方から雨
　ＡＭ６：００、起床。
　そしたら昨日の鋸山登山で足をやられてしまい、
「オラ、ふくらはぎが痛くて、普通に膝を曲げて歩けないの。
足をジョイ～ンと伸ばしてしか歩けないの」

　７：００、スタート。
　勝浦市を通って『いすみ市』の海岸線を走る。
　３・１１の津波被害はこのいすみ市周辺が南限みたいだ。
しかし、現在では何処が被災地域なのか、聞かなければ分からないくらいである。

　九十九里浜を走る。砂浜が延々と続く。そしたら今日はあいにくの強風で
浜に立つことすらできない。一応は降りてみたが顔を海岸には向けていられない。
そして風に飛ばされて来る砂が目に入るので目を開けていられないのだ。
こんな浜風は生まれた初めての体験である。ビデオを撮ろうと思ったが
三脚などは簡単に倒されてしまうだろうし、それよりなによりカメラの中に
コマイ砂が入ってしまったら最後、故障してしまうのだ。
とにかく台風にも負けないだけの暴風が吹き続けている。
　
　九十九里浜の北端に旭市飯岡漁港と言う所がある。
ここはかなりの津波被害があった所だそうだ。

　１０：３０、銚子市の突端にある犬吠埼灯台に行く。
　相変わらず風が強くて車から降りて見学が出来ない。
そこで近くのホテルに行き、日帰り湯（温泉）にでも入って行こう。
　ホテルのフロントに行き
「ここではいつもこんなに強い風が吹くんですか？」と聞いたところ、
「いつも吹くわけではありませんが、風が吹くと結構強いですよ。
なにせ『犬が吠える岬』と書く地名ですからね」だって。

　ＰＭ１：００、利根かもめ大橋を渡ってすぐの漁港市場の店で
昼食をとる。『いわし漬け丼』を食べる。
　そしたら不思議な事に東京の刺身漬け丼というのは
事前に醤油に刺身を漬けたものなんだってね。
だから『○○丼』とは言わず、『○○漬け丼』って言うんだって。
逆に東京以外の地域では御飯の上に刺身が乗っていて
あとからそれぞれが醤油をかけて食べるよね。
（俺が言っている意味分かりますか？）

　昼食後、海岸沿いに鹿嶋市があるんで、
ついでだから鹿島神社に寄って行こうという事になった。
この鹿島神社と言えば『剣豪・塚原ト伝（ぼくでん）』の故郷である。
おれら子供の頃はチャンバラごっこをして遊んだので
塚原ト伝は有名な人なのだ。もしかして宮本武蔵より強いかも・・・。
そしたら鹿嶋市内を歩いている女子高生が
木刀を持って歩いていたのだから、凄いの一言！

　４：００、鹿島神社をあとにする。
　この時間になると既に風は止み、雨が降り出してきた。
　
　５：３０、日立南太田インターから高速道に乗る。

　７：１０、帰宅。

２０１２・３・２６（月）　晴れ
　 〔地震から１年と１６日目〕
　先日の事。
「福島産の食べ物が高速道のＳＡなどでゴミ箱に捨てられている」
って言う記事を掲載した。
そしたらその記事が嘘だったみたいな記事がでてきた。
　それで、この記事を読んで私は納得が行った。
つい先日の木曜・金曜と車で水戸市・いわき市へと旅行に行った。
そのとき福島（常磐自動車道）の何箇所かのＳＡに寄り食事や買い物をした。
それで注意してゴミ箱を覗いて見た。もしかして福島産のお土産が
捨てられてはいないかと思ってね。
そしたら１個足りとも捨てられていなかったんだもの。
「あれ～、あの記事は本当なのかな？」と思ったんですよ。

　ところで話は変わるが、
今日の１２：３５に文化放送ラジオからザ・ティップスの歌が流れたんですよ。

　ところでこの度、ティップスがＤＶＤ『雨降り』の販売をスタートしました。
値段はたぶん

　１，０００円　＋　送料８０円　くらいだと思います。

どうぞ皆様、お買い上げ下さい。団十郎からもお願いを致します。
　お問い合わせ方法は下記に、
TEL　080-51713440（佐藤）です。
　メールの場合は、
thetipsjp@gmail.com まで。

２０１２・３・２４（土）　曇り　ときどき晴れ
　 〔地震から１年と１４日目〕
　芸能人による被災地へのボランティアって言うのは非常に難しいと思う。
何もやらなければ言われるし、
やったとしても方法が少し間違ってしまうと、これまた言われてしまう。
　つまりマスコミに知られないようにやれば良いみたい。
でもこれだと芸能人の多くが何もやらなくなったりして！？
それと芸能人が大々的にマスコミに情報の提供をしないで、
陰でこっそりやっても
プロダクションが後日つぶやけば50歩100歩かも・・・。

　でも私としては
その辺は大目に見てやっても良いと思うのだが、如何でしょう？
　逆に被災地が芸能人やマスコミから
まったく注目されなくなるのも寂しいのでは・・・。
確かに被災者の一部の人達は怒っているかも知れません。
しかし多くの人達は喜んでいると思われるのです。

　そこで私は思う。
芸能人によるボランティア活動は大いに結構。
ただし問題なのはテレビ局なのだ。
芸能人が慰問に向かうとなると
ワイドショーが追っかけて来てお祭りみたいに取り上げてしまうから
大騒ぎになるのでは・・・。

　とかなんとかこの私も口では格好良いこと言っても、
私だってボランティアを完璧にはできないだろう。
もしこれが有名タレントの場合だったら、完璧にやったつもりでも、
万人が納得するような形にするのは非常に難しい。

２０１２・３・２３（金）　曇り　のち雨　夜から雪
　 〔地震から１年と１３日目〕
　今日の日刊スポーツ新聞にザ･ティップスの記事が掲載されましたので
紹介します。

　これは日刊スポーツのインターネットニュースです。

　次のこれは新聞をコピーした記事です。
ただし記事が横になっていますので９０度回転させて御覧下さい。
パソコンによっては、記事の画面上で右クリックをする。
次に『右９０度回転』の所をクリックする。

２０１２・３・１９（月）　晴れ
　 〔地震から１年が経過・３７５日目〕
　ＡＭ２：２０、起床。氏家君ちへ向かう。
　今日は海から昇る朝日を撮影に行く。
場所は石巻市雄勝の小浜港。
ここの海の水平線にはポコンポコンと小島が４つ並んで立っている。
ここから太陽が昇ったとしたら最高の絵になる。

　４：５０に小浜港に到着。
　ここ小浜港は津波に襲われ全滅となってしまった所だ。
だから、家屋も無いし、人っ子一人も住んでいない。
夜はまったくの無人の港となっていた。
　５：１０、空が少し白んで来たので、氏家君と２人、車から出て
ビデオカメラをセッティングしようとしていたら、突然パトカーが現れた。
私の車の前にやって来て、我々にここに来た目的と理由を聞く。
　「朝日の撮影に来たんです」
　「そうですか。だったら車の中を見せて貰ってもいいですか？」
　そう言って、トランクやスペアタイヤ入れの中やダッシュボード等々を見て、
「何もないですね。では御協力ありがとうございました」と言って引き揚げて行った。

　ビデオの三脚をすえて日の出を待っていたが、
どうやら海の水平線からは太陽が昇らないみたい。そして出てきた場所はなんと、
海とはまったく関係の無い高い山から出てきたではないか。
山から出てきた時には既に赤い太陽ではなく、
白熱色になっていて逆光になってしまい絵にならない状態だった。
今朝の２：２０に起きて、この結末では「ひじょ～うに、むなし～い」

　８：３０、雄勝の湾を撮影する。

　10：００、十三浜の小泊港で、
漁民達が収穫したワカメの加工をやっていたので撮影をする。

　

　≪ワカメを素早くゆでている≫

　２：００、女川港へ行くとカモメが沢山いたので撮影をする。

　４：００、石巻市立門脇小学校へ行く。
　ここの小学校は長渕剛がＮＨＫ紅白歌合戦の時、歌を歌った所である。

　

　≪石巻市立門脇小学校。津波の後、火災も発生した≫

　この小学校の校庭で我々が撮影をしていたら、私と同じ年齢くらいの男性が
現れた。そして私の顔を発見するなり
「団十郎さんだっちゃねや。俺、アンダのカセットテープ持ってでズ～っと聴いでだよ」と
言うではないか。ところがである。それから先の話は、
なんと悲劇の極みとなって行くのであった。

　「実はね。俺はこの学校のそばで『味平ラーメン』を経営すていだんだげんと、
津波で何もかも流されですまったのっしゃ。そんで妻と妻の妹の２人を
亡くしてすまったんでがす。妹は遺体で発見されだんだげんと、
妻が未だぬ行方不明のままなのっしゃ。
たぶんこの付近で発見された身元不明者３７人の中の一人だど思うんだげんとも、
ＤＮＡの確認ができないんでがす」

　「なんで確認でぎないの？」

　「それがね。この地区の周辺は津波の後、火災が発生すて大変だったのっしゃ。
その結果、遺体が黒焦げになってしまいＤＮＡ鑑定ができないらしいんだねや。
それで遺体の中に妻らしいのがあったので『これは女房です』って言ったら、
よその奥さんが『これは主人です』って言ったため、
引き取る事が出来ないんだずば。つまり、
ＤＮＡ鑑定どころか男女の判別もできないくらい無残な状態なんだねや・・・」

　「・・・・」

　「ところで団十郎さん。俺今度、チｯチングカーで商売しようかど思ってんの！」

　「何っしゃ？　チッチングカーって？」

　「調理できる車っしゃ！」

　「何、キッチングカーの事すか？」

　「んだずば、俺石巻だがら、発音良ぐないんだずば・・・」

　とにかく味平さんは失望のどん底の中にいながらにして
大変陽気な方だったので、私はひとまず安心をした。
そしてこの味平さんのために、何かひとつ、力にならなければと思った次第である。

　

　≪味平ラーメン店の跡地に感謝の言葉が≫

　

　≪缶詰工場のシンボルとして建っていた巨大な缶が
　　　県道の中央分離帯に流れ着き横倒しになっていた≫

　５：００、仙台に帰ろうとして石巻市内を走っていたら、
なんと石巻商店街の一角に『ほっと横丁』があった。
実はこの横丁は震災後、復興を掲げて10店舗くらいの飲食店が集まって
立ち上げた飲食店街なのだ。そして、この中のステージで
ザ・ティップスがときどきコンサートをやっている所なのだ。

　我々はここで夕食をして行こうと言う事になり、立ち寄った。
そして、たこ焼きと広島焼きソバを食う。
　ついでにティップスに電話をしてみる。
そしたら、ほっと横丁へ会いに来ると言ってくれた。
　６：３０、ティップス家族と会う。

　７：５０、仙台の氏家君ちに向かう。

　１１：３０、私はやっと自宅に到着。

２０１２・３・１１（日）　曇り　夕方からミゾレ
　 〔地震から１年が経過・３６７日目〕
　丁度１年前、東日本大震災が発生した。
そして今日の天気はあの日と同じような天気となった。
　今日のこの天気をみれば、あの日がどんなに寒かったが分かる。
　あの日亡くなった方々の中には、せっかく助かったにもかかわらず
低体温で亡くなった方々が少なくないと言う。

　兎にも角にもあれから１年が過ぎた。
なのに未だに行方不明者の数の多さに驚く。
そんな方々の一日も早い御帰宅を願わずにはいられません。

　さて、今日は一日何をして過ごそうか私は考えた。
そこで曲作りを開始。ＰＭ１０時、やっと歌が完成した。
そんな訳で明日からまた氏家君と被災地の撮影をして回ることになりそうだ。

２０１２・３・１０（土）　雪
　 〔地震から３６７日目〕
　今日は震災から366日目のはずなんだけど、
なぜか私のＨＰでは367日目になっている。「どこで狂ったのだろう？」
と振り返ってみたら、なんと震災の次の日から既に間違っていたのだ。
　そのうち訂正しておきますね。

　ところで今日は朝の５時に起きて、
たった一人で石巻市雄勝公民館へ向かう。
その雄勝公民館屋上には津波によって乗っかってしまったバスがあって、
今日、地上へ降ろされる日である。朝の８時頃から作業が始まるらしい。
　私は急いで高速道を走ったはいいが昨夜からの雪が未だ降り止まず。
結局、路上に雪がたまっているので飛ばすにも飛ばせない。

　それにしても不思議である。
私が雄勝と大川小学校に行くとなぜか雨が降るのだ。
　でもこの謎がやっと解けた。
　これは偶然ではない。きっとティップスと出会って、
ティップスの歌『雨降り』のＤＶＤを制作するためだったのだろう。

　７:３０分頃、雄勝公民館に到着。
すると東北放送のテレビ中継車が既に路上に止まっていて
スタッフ達が生中継の準備をしていた。
その中継車が駐車していた場所と言うのが、なんとザ・ティップス（佐藤君）の
家のすぐ横だった。やはり、ここ東南からの場所が一番の撮影ポイントみたいだ。
でも私はもう少し公民館に近づいて真南から撮影する事にした。

　それにしても今日はあいにくの真冬日で雪と風が撮影の邪魔をして四苦八苦。
長靴を履いたはいいが足元がグジャグジャなので
足が冷えてしまい泣きたいくらい冷たい。
それとビデオカメラの三脚の調子が悪い。
こんな大事なときに限ってアクシデントは発生するようだ。
ズームが動かなくなってしまった。
それよりもっと困ったのは風雪が撮影の邪魔をしている。
　たった一人で傘を差しての撮影は大変だ。
それでも風さえ無ければなんとかできるのだが、なぜかこのときばかりは
強い風と雪が歌津を舞っていた。
私は必死でレンズに雪が飛び込んで来ないようにと傘を斜めにして風雪を防いでいた。
しかし傘を斜めにすると今度はビデオカメラ全体に雪が積もってしまう。
これではカメラの中に水が入ってしまい壊れてしまうではないか。

　なかなかバスを吊り上げない。
そこで私はカメラにタオルを巻いて縛った。
（縛らないとタオルが風に飛ばされてしまうの）

　タオルを巻いて１０分くらいしてから急にクレーン車がバスを吊り上げ始めた。
なんの合図も無かったので、私はあわててタオルを取ろうとしたが
縛っているのでサッとは剥がせない。オマケに片方の手は傘を差している。
それで、タオルを剥がすのにモタモタしている間に
バスが軽々と吊り上げられてしまったではないか。
　「あ～、一番大事な瞬間の撮影を逃してしまった・・・」

　それならば、着地の瞬間を・・・、と思ったが、
これまた最悪状態になってしまった。
　バスを持ち上げた時のバスは真横に映った。
しかし着地の時は、クレーン車は90度向きを変えてしまったではないか。
それで結局、バスの後姿を撮る事になってしまった。（最悪だ～）

　（今日の映像は恥ずかしくて氏家君には絶対に見せられない）

　

　≪雪が降る中で傘を差さなくてはいけない。写真は写さなくてはいけない。
　　　ビデオは撮らなくてはいけないで、凄く大変だったの≫

　

　バスが降りてしまうと、撮影や見物に来ていた130人くらいの
人達は自然解散になって、
またいつものように閑散とした震災跡地になっていた。

　すると突然、東北放送中継車の側から太鼓の音が響いてきた。
急いで行って見ると地元の太鼓グループ『黒潮太鼓』が
雪降る中を演奏していた。テレビの生中継に出演していたのである。

　

　≪雪が降っていたので太鼓にビニールを敷いて叩いていた。
　　それと半袖シャツだったので震えでいだんでがす≫

　11時、近くの仮設店舗へ昼食を食べに行く。
　そこの店でカレーソバを食べる。
そしたらその店の主人も津波に流されたと言うではないか。
　津波直後、主人は家の２階に逃げたは良いが家ごと流されてしまい、
あわてて屋根に上ったそうだ。
　「これで人生おしまいなのか！」と思いながら、プカプカと流されていたら、
引き波のとき、少し水位が下がったそうだ。
その途端、家が電柱に刺さり、家が止まったとの事。
　「もし、そこに電柱が無かったら、自分は海に持って行かれてましたよ」
と恐怖体験を教えてくれた。

　１２時、女川経由で帰宅。３：００、到着。

２０１２・３・４（日）　大阪は　曇りのち雨
　 〔地震から３６１日目〕
　今日は大阪府交野（かたの）市の『いきいきランド交野』で開催された
『環境フェスタ・イン・交野２０１２』に出演させてもらった。
　主催者の山本さんは『樹木のお医者さん』で、２０年くらい前に
我が村田町白鳥神社の４本の巨木を治療してもらいました。
それ以来のお付き合いをしている親友です。

　今回の環境フェスタのゲストはナチュラリストの『C・Wニコルさん』の講演と
この私の歌でした。
　ニコルさんは現在長野県の山の中に住んでいます。
　ニコルさんは東日本大震災後、東松島市野蒜（のびる）地区と交流を深め、
震災を受けた子供達を長野の山に招待をしています。
そして今後、東松島市野蒜小学校周辺に
子供達が親しめる森づくりをスタートさせるそうです。

　実はニコルさんはヤマハのポプコン出身でもあるんです。
１７回ポプコンつまごい本選会（全国大会）に出場され入賞しています。
エントリー曲は『林檎の木にかくれんぼ』でした。

２０１２・２・２５（土）　雪　のち小雨
　 〔地震から３５３日目〕
　【松葉先生からのメール】
　津波の被害ですが、もう少し南の方まで来ています。
私が毎年、漁師さんの健康診断に行っていた千葉県の飯岡漁港。
町村合併で旭市となっていますが、ここも港が波にのまれました。
いつも診察をしている漁協の建物を越えて波が町を襲う様子を
Youtubeで見た時は。。。。一か月前にちょうど自分の居た場所だったので。
　
　ザ・ティップスのDVDはフェイスブックで紹介します。
災害派遣で雄勝へも行った方々も見られると思います。

團そうでしたか。いわきが南限かと思っていました。
これでまた飯岡漁港まで行かなくちゃいけないとなるとシンドイですね。
飯岡って茨城県を越えて、その先の千葉県だよ。
　「やっぱり、いわきで止めにするかも・・・」
　何はともあれ、情報をありがとうございました。

２０１２・２・２４（金）　晴れ
　 〔地震から３５２日目〕
　石巻市雄勝地区出身の夫婦ディオグループ
『ザ・ティップス』の歌、『雨降り』のＤＶＤが完成しました。

　ビデオの撮影・編集をやってくれたのは氏家信一君です。

　そこで皆さんにお願いがあります。
このＤＶＤ（ＹＯＵＴＵＢＥ）を御覧になりましたなら、
是非あなたの友人知人にもメールやＨＰで紹介してやって下さい。

２０１２・２・２０（月）　晴れ
　 〔地震から３４８日目〕
　ＡＭ３：５０、氏家君が我が家に到着。
　２人して『いわき市』へ出発。
　前夜、電話でいわき出身の友人に
「いわきの海岸で日の出の映像を撮影するには何処が良いべ？」と聞いたら、
「八立（はったき）海岸が良い！」と言われたので、そこに向かって走った。

　いわき市は遠い！　なかなか到着しない。
もうノンストップで２時間も走っている。運転している私は眠くなった。
氏家君に交代して欲しいと思ったが、彼は「運転交代するすか？」とは言ってくれない。
仕方なく走り続ける。
　空はだいぶ明るくなってきているので「太陽が昇ってくるのでは・・・」と焦ってしまう。
たぶんカメラマンの氏家君としても、
交代している時間、１分たりとも勿体無いのだろう。
　２時間２０分も走った所でいわき市の海岸に到着。
　八立海岸を探して右往左往する。道を歩いている人がいたので聞いてみる。
すると「漢字が間違っています。波立海岸です。逆の方角へ行って下さい」
と言われてしまった。
　５分くらい走ってトンネルを抜けるとすぐの海岸線に見事な岩礁が見えた。
　「ここだ～、急げ～」
氏家君は必死になって砂浜へ降りて行く。
そしてカメラをセットしている最中に、もう太陽が昇り始めている。
カメラの位置が悪くても移動は不可能。
　「あと５分早かったら・・・」と後悔する。
とはいうものの最高の日の出が観れた。こんな日の出は滅多に拝めないだろう。

　

　≪波立海岸の日の出≫

　撮影後、海岸線を南下して
塩屋崎灯台の北側にある薄磯（うすいそ）海水浴場に行く。
ここの海岸に沿って建っていた住宅街は津波でもって全滅していた。
この住宅の一画に私の親戚の家があった。その家の息子夫婦の家もあって、
２軒とも流されていた。そして爺さんも亡くなっている。（合掌！）

　１０：００、塩屋崎灯台に行く。
　美空ひばりの『みだれ髪』で有名な所なので観光バスが沢山来ている。
ただし、美空ひばりの石像は灯台の真北にあるので
晴れた日は逆光になって撮影が難しい。とはいうものの
ここから眺める薄磯（うすいそ）海水浴場の景色は抜群に綺麗である。
　「団十郎推薦の景色です！」

　

　≪塩屋崎灯台の北側にある美空ひばりの像≫

　今度は灯台の南側にある豊間海水浴場へ行ってみる。
するとここの住宅街も全滅していた。

　でもたぶん、これより南は津波の被害が少ないように思える。
ここら辺が今回の津波被災地の南限なのかも！？
だとすれば私は岩手県の宮古市周辺を残して、
八戸からいわき市まで全部を見て回った事になる。

　

　≪豊間海岸の被災地。遠くに見えるのは塩屋崎灯台≫

　１１：４５、つい先日、施設の修理を終え営業再開をした
常磐ハワイアンセンターへ行く。
フラダンスをＰＭ１：３０からやるのでそれを撮影する事にした。

　

　≪ダンサーのみんながメンコイの！≫

　

　２：４５、撮影を終え団十郎の家に向かう。
　５：００、到着、のり弁を喰う。

２０１２・２・１３（月）　晴れ
　 〔地震から３４１日目〕
　AM２：５０、起床。氏家君ちへ出発。
　今日はまず南三陸町の神割崎へ行き日の出の撮影をする事にした。
AM５：２０に到着。
　神割崎は南三陸町なのだが、そのすぐ隣りは石巻市（旧・北上町）になってしまう。
だから実際には神割崎の石巻市側にある港での撮影である。
その港の岸壁に登り、氏家君と二人してビデオカメラをセットして日の出を待った。
しかし今日は残念な事に雲が多すぎてまったく日の出が見られない。
そこで撮影はあきらめて、石巻市長面浦（ながつらうら）へ向かう。

　８：００、長面浦に到着。
ここ長面浦地区は地盤沈下が激しくて未だに海水が引かない。
海抜０ｍどころか海抜がマイナスになっているようだ。
だから、この地区の道路は震災後、かさ上げし、それで何とか通れるようになっている。

　長面浦地区では、住民４００人の内、１００人が亡くなっているとの事。

　それにしても、他の被災地では、
被災した住宅は既に取り壊されて跡形もないのだけれど、
ここだけは水が引かないせいで解体する為の重機が進入できず、
取り壊し作業ができないでいるみたい。
だから長面浦は震災直後の風景を未だに残している地域っていう事になる。

　

　≪地盤沈下したために未だに解体作業が進んでいない長面浦≫

　

　≪地盤沈下したために未だに解体作業が進んでいない長面浦・その２≫

　９：００、大川小学校へ向かう。
　大川小学校は長面浦の西側３キロ先にある。
　長面浦の児童達は震災前は大川小学校に通っていた。
その長面浦地区と大川小学校との中間地点にも住宅街があった。
しかしその住宅は１軒も残らずすっかりと流されてしまっている。
そしてその住宅跡地は今では沼地にしか見えない。
　
　大川小学校の近くに行くと広大な砂地になってしまった住宅跡地で
住民達がなにやら一列に並んで砂の地面を削っていた。
何事かと見ていると、それは未だに大川地区で見つかっていない５０名近くの
行方不明者（その内、小学生４人・教師１名）の捜索をしている光景だった。
　「１周忌まであと１ヶ月を切った。その１周忌までには何としても捜し出してあげたい」
と言う地元住民達の深い執念が感じられ、私はただただ合掌するのみであった。
それにしても驚くのは日本人の「魂を尊ぶ心」である。
もしこれが他所の国だったとしたら、１１ヶ月も過ぎてここまではやらないだろうね。

　

　≪大川小学校付近。砂を被った住宅跡地で行方不明者を捜索≫

　大川小学校に行ってみると静岡県ナンバーの観光バスがいたので聞いてみた。
　「わざわざ静岡から津波の被災地見学に来たんですか？」
　「そうです。我々静岡県も他人事じゃないんでね。ほら、東海地震がいつ来ても
おかしくないって言われているでしょ。だから被災地を見て学んでおきたいんですよ。
それで今日は、ここに来たんです」だって。

　９：３０、雄勝地区に行く。
　実は今日の目的は雄勝の夫婦ディオグループ『ザ・ティップス』に会う事だった。
ティップスは団十郎の歌を歌ってくれているのである。
それでそのお返しにと、ティップスのオリジナルソングのＤＶＤを
氏家君の協力を頂き制作してプレゼントしてあげようと思った。
そうすることで私と氏家君の『二人でできる復興支援の形』と思った次第である。

　さてそこでＤＶＤに使う映像の撮影は雄勝公民館の前にある夫婦の自宅跡地に決めた。
それで今日は、その自宅跡地で夫婦と会うことになった。

　９：４０、ティップス夫婦が車の中で待っていてくれた。
我々が到着すると車から降りてきて握手を交わす。（初対面なのだ）
　ティップスの旦那いわく、「中学生の時に団十郎さんのＬＰ『陽陰者』を買って、
レコードが擦り切れるほど聴いていました」と言う。
　奥さんいわく、「リアル世代ではないですけど、ある時、知り合いが聴いていた
カセットテープが面白かったので、それをダビングして聴いて歌を覚え、
ショッチュウ歌っていました」と言うではないか。
（ちょっぴり嬉しい団十郎なの）

　夫婦の自宅はコンクリートの基礎部分を残し、
住まい部分はスッポリと流されているではないか。そんな訳で家財道具はすべて
失ってしまったそうだ。その流された家財道具の中で
一番勿体無かったのは音響機材一式が流された事だと言う。
プロレベルの本格的機材を沢山揃えていたそうだ。

　それで２人の子供達は無事だったらしい。しかし残念な事に奥さん側で
雄勝病院に入院していた祖母と、祖母を心配して病院に駆けつけたお母さんの２人が
不運にも亡くなってしまったとの事。
　なんと雄勝病院では津波が３階建ての屋上をはるかに越え、
それで多くの人が亡くなってしまったと言うではないか。
なんという悲劇なんだろう。（合掌！）
　助かった人はたったの２名だけだそうだ。
その２名と言うのは屋上から津波に持っていかれたが奇跡的に助かったらしい。

　

　≪雄勝病院。ここで信じられないくらい多くの方々が亡くなっている≫

　ところで話をティップス自宅前に戻そう。
　ティップスのオリジナル曲『雨降り』は震災後に作ったそうだ。
凄く良い歌なんで販売できるような完成度の高いＤＶＤを制作して
夫婦にプレゼントしてあげたいと我々は思った。

　それで自宅跡地で夫婦に歌ってもらいビデオ撮影する事にした。
　既に夫婦は自らビデオカメラをセットして自宅跡地で歌っているＤＶＤを
ＹＯＵＴＵＢＥで公開している。
その映像の中では旦那が救援物資から頂いたという赤いジャンパーを着て、
友達から頂いたギターを弾いている。その姿が歌の効果を更にアップし、
最高の出来栄えになっている。
それでだ、ＤＶＤを作るにはその映像が必要だった。
とは言うもののその映像は４：３のアナログ映像なんで、これじゃ～時代遅れだ。
我々がやっている撮影は16：9のデジタル撮影なんで、それで撮影してあげたかった。
そんな事情で、今日改めて撮り直しする事にした次第である。

　ところで、その旦那と会った途端にビックリ！
ナ・ナ・ナント旦那は背広を着てビシっと決めちゃっているじゃない。
誰が背広って言ったの。オラはそんなの注文してないよ。
そうなんです。彼が勝手にビシって決めて来ちゃったんですね。
これじゃ、まるでロックンロラーですよ。
普段着でいいんですよ。普段着の方がフォークシンガーらしいじゃない。
　（旦那、旦那、救援物資の赤いジャンパーはどこに行っちゃったの？
この歌淋しい歌なんでしょ？
もうイヤ！　知らない　知らない。団ちゃん、もう知らない）

　とは言うものの、今更どうしようもない。私は冷静さを保って撮影開始。

　

　≪旦那、支援物資の赤いジャンパーはどうしたの？≫

　

　≪団十郎が着ているジャンバーは余った支援物資の中から頂いた物なの≫

　撮影後、近くで食事をしようと思ったがなにしろ雄勝の街全体が被災したために
食事する所が1ヶ所も無い。そこで遥かに遠い道の駅「上品（じょうぼん）の郷」まで
行き、４人で食事をした。

　ＰＭ１：３０、ティップスと別れ、我々は雄勝に又戻り、撮影を開始する。
ついでに雄勝半島の港をくまなく撮影して回った。

　

　≪雄勝町内の住宅？≫

　ＰＭ４：００、撮影を終え、仙台へ向かう。
　５：３０、吉野家で「天重・蕎麦セット」を食べる。
　６：１０、氏家君ちで撮影した映像のチェックをする。
　１０：５０、帰宅。

２０１２・１・２７（金）　雪　のち曇り
　 〔地震から３２５日目〕
　今日はまず最初にこの記事を読んで下さい。

　　記事は南三陸町の防災対策庁舎で
マイクを握り住民に避難を呼びかけながら津波の犠牲になった女性が
埼玉県公立小中学校の道徳の教材に載るそうだ。
　理由は「人への思いやりの心や社会へ貢献することを伝えたい」
だそうだ。

　これは私の、へ理屈なのだが、私はこの道徳論に反対である。
逆に「どうすれば職員３９人が死なずにすんだのか？」を考える
反省材料にするべきであって、美化するのは間違いのような気がする。
このような道徳教育をうけた子供達は
きっと逃げることが悪いことと思ってしまうだろう。
そうなると『釜石の奇跡』とまで言われたあの教育、
「命はテンデンコだ。だから自分のことだけ考えて、とにかく逃げろ！」
こう言った釜石の教えと三陸町の道徳観が
まったく逆になってしまう感じがするのは私だけなのだろうか？
なにせ教育を受けるのは子供達なのだから、
この辺の道徳観を理解するのは難しいのでは・・・。

　私はこの現場に何度も行った。行っていつも思うのは、
たとえば行政の上司があの時、
「これが放送の限界だ。だから職員は全員高台へ避難しろ！」
と命令できなかったのか。
防災センターから彼女が放送していた避難の呼びかけだって、
録音してリフレインできたのでは・・・。
たとえば「皆さん、大きな津波がせまっています。
急いで高台へ避難して下さい。
私達の防災庁舎も危険になりましたので避難します。
ですので皆さんも必ず避難して下さい」
このような声を録音して繰り返し流していれば、
充分に防災センターの役割をはたした事になると思う。

このように反省材料にしないと、
次の津波のとき、同じような悲劇を繰り返す事になるかも・・・。

２０１２・１・２１（土）　雪　のち雨
　〔地震から３１９日目〕

　新曲『君への伝言』を掲載しました。
　この曲は東日本大震災一周忌法要に捧げる歌として
作りました。是非お聴き下さい。

２０１２・１・１２（木）　晴れ
　〔地震から３１０日目〕
　今日の新聞『日刊スポーツ』に私が載っています。
新曲『君への伝言』を紹介してもらいました。

　これは日刊スポーツのＨＰサイトに掲載された記事です。

　これは新聞をコピーした記事です。
ただし記事が横になっていますので９０度回転させて御覧下さい。
パソコンによっては、記事の画面上で右クリックをする。
次に『右９０度回転』の所をクリックする。

２０１２・１・１１（水）　雪　のち晴れ
　〔地震から３０９日目〕
　昨日の日記（昨日・今日･明日のページ）で
男女のディオグループ（THE・TIPS）が
歌っている団十郎の歌『不思議な魔法のピアノ』を紹介しましたが、
ついでに他の曲も聴いてみようとYOUTUBUで見たところ、
なんとこの夫婦は雄勝町に住んでいて、
自宅が津波でスッポリと流されたみたいなんですよ。
そして、その流された自宅の跡地で歌っている映像が
アップされていました。
　
　私はその歌を聴いて、涙がポロポロとこぼれてしまったのです。
なんとたくましい夫婦なんでしょう。
そして歌っている歌の偽りの無い透明感とパフォーマンス。
これこそ被災者に対してのいたわりと復興への最高のメッセージでは
ないでしょうか。
このグループの歌こそ「プロもかなわないメッセージソングです」
それでは聴いてみて下さい。『THE・TIPS／雨降り』

　それと歌っている映像の左うしろに映っている建物は
雄勝公民館です。その屋上にバスが上がっていますが、
その観光バスは津波で屋上に打ち揚げられたバスです。
　ついでにもう１曲『ふるさと港町』を聴いてやって下さい。

２０１２・１・１０（火）　曇り
　〔地震から３０８日目〕
　昨日の朝８時からのワイド番組、フジテレビの『とくダネ！』
で『被災地の成人式』をやっていた。
取材されていた被災地は宮城県山元町の成人式。
　成人者の『桔梗○○さん（女性）』の家は
津波に流されお父さんが亡くなったそうだ。

　私は思った。「桔梗なんて言う珍しい名前があるもんだなや」と。
そしたら桔梗さんの家の商売は『ワイナリー』だと言う。
それで私は奥さんに質問した。「ワイナリーって何や？」
　「ワインを造っている所でしょ」

　「何？　ワイン！　あれっ？　そうだ！　桔梗屋長兵衛さんだ～！
何？　それで、お父さんが亡くなったって～」

　だとすれば２２年前に私は桔梗屋さんへテレビの取材で
訪問したことがある。東日本放送テレビ『駅のある風景』って言う番組だ。
そのビデオテープ（VHS）が我が家に残っている。
もしその映像を娘さんにプレゼントすれば喜ぶはず！？。
　早速、ビデオラックを探した。そしたら『駅のある風景』のテープが
１本も無い。それで奥さんに聞いたら
　「そのテープ、全部カビが生えていたんで捨てました」
　「んだって、あの番組のテープ、５３回分あるはずだど？」
　「ぜーんぶ、駄目でした。
でも確か３本分だけカビが無くて良かったのでDVDにダビングしておいたはずだよ」

　そこで奥さんはダビングしたDVDを持って来てくれた。
　しかし、５３本の内の３本だよ。
その中に桔梗屋長兵衛さんのが入っている確率は低いだろう。
もし、入っていたとしたら、それこそ奇跡だね。

　おそるおそるDVDを映した。
そしたらなんと「大当たり～」
奇跡的に入っていたんです。それも桔梗屋さんが１０分くらい映っていて
私と喋っているんです。
早速、ダビングして届けることにしよう。
しかし桔梗屋さんの葡萄園も工場も家も全部無くなっているようなんですね。
でも、なんとしても届けてあげなければ・・・。

　そこで思った。震災からもうすぐ１年になろうとしている。
にもかかわらず、今になってもこのように知り合いの死が伝わってくる。
もしかしたら、まだ他にもいたりして・・・。
でも今回のこの訃報が最後であってほしいと願ってやまない。

２０１１・１２・２０（火）　晴れ
　〔地震から２８７日目〕
　以前、某テレビのワイドショーで
津波被災地の復興状況を放映していた。
その中で特集していたのが復興が一番進んでいる某自治体だった。
そこの自治体で取材してきたレポーターが言う。
　「ここの自治体の首長さんは大変知恵が働き行動力がある人で
何処よりも速く瓦礫の撤去も済み、
現在では復興の計画もできあがっている。
とにかく、他自治体より進んでいる・・・等々」
　それを聞いてこの番組のコメンテーター達も感動してコメントをする。
「国や県の復興計画を待っていなくても
知恵や行動力さえあればできるって事ですよね」

　そのテレビを見ていた私は開いた口が塞がらなかった。
この番組の関係者は被災地全体の事を何も知らない。
もしくは知っていてもおかまいなしで喋っているのかも！？
だとしたら問題だ。

　津波で被災した市町村すべてがそっくり同じ条件で被災したのではない。
それなのに一番被害の少ないと思われる自治体に取材に行って来て、
「瓦礫の撤去が早い。復興計画書作りが速い・・・。知恵がある・・・」だって。

　被災した市町村それぞれが、いろんなナリワイの下に構成されている。
●その自治体の漁港の規模はどれだけなのか？
●海岸に沿ってどれだけの工業・商業があったのか？
●海岸に沿ってどれだけの住居があったのか？
●どれだけの面積が津波にやられのか？
●被災者への代替用地がすぐに準備できるのか？
●その他

　こういった観点から比較して考えた結果を
番組で取り上げ、コメントしてほしいものである。
それを被害の少なかった１ヶ所の自治体だけを
誉めちぎる番組には納得がいかない。
　被災した自治体の首長さん全員が真剣に取り組んでいるにも関わらず
知恵の有る無しだったり、復興が遅いと急かしたりするのは
現段階では問題だと思う。

　たしかにテレビで紹介していた自治体の首長さんは知恵も行動力も有る。
それは私がよく知っている。でも今の段階でそれを語っては
他の首長さんに失礼である。
比較するのなら被災地全部を見てからにしてほしい。
南三陸町や高田市なんかは町の心臓部（中心地）が
まったく無くなったんですよ。こういった町と比較はできないでしょう。

２０１１・１２・１３（火）　晴れ
　〔地震から２８０日目〕
　今年の世相を一文字に表すと『絆』だそうだ。
何処に行っても『絆』、
車のステッカーを見ても『絆』の文字ばっかりだった。
だから私としてもこれで異存はありません。

　しかし、私個人としての一文字は『涙』です。
今年ほど涙を流した年はありませんでした。
子供の時でもこんなに泣き続けた事は無かったです。

　来年に期待する一文字はと言うと、『興』です。

２０１１・１２・１１（日）　晴れ
　〔地震から２７８日目〕
　午前中、名取市ユリアゲ地区に行ってみた。

　住居などの瓦礫の撤去は最終段階にきているみたい。
しかし今後大変なのは住居跡に残った基礎（コンクリート）部分の撤去だろう。
ああいったものは勝手に取り去る事はできないのかも・・・。
もしかして行政との敷地の売買手続きが必要だったりして？
（私には、詳細は分かりません）

　ユリアゲの街のど真ん中に東禅寺と言うお寺がある。
そこも津波に被災したため墓石がなぎ倒されてしまった。
そしたら今日、檀家さん達が自分ちのお墓に集まって作業をしていた。
そばに行って見ると、墓の真下にある納骨する場所に溜まった土砂を
かき出してはその土砂をフルイにかけていた。
先祖の骨を捜していたのである。
しかし、火葬してある骨を土砂の中から捜すのはかなり困難な作業みたい。

　もしかしたら、ここの墓地もひとまずサラ地にするのかもしれない。

　

　≪東禅寺の墓地、その１≫

　≪東禅寺の墓地、その２≫
　見渡す限り遠くまで消えてしまったユリアゲの街並み

２０１１・１２・５（月）　晴れ
　〔地震から２７２日目〕
　今日の午前中、仙台市荒浜地区に行ってみた。
　ここは津波後のニュースで一番最初に死者の報道がされた所である。
私は当日の夜、携帯ラジオを聴いて衝撃を受けたのをしっかりと覚えている。
　「遺体の数が２００から３００・・・」とアナウンサーの声。
　「これはただごとでないぞ」と地震のスケールの大きさに驚いた。

　以前、私の知っていた荒浜地区はそれほど民家が多くない地区だった。
ところが今日行って見て驚いた。
相当の数のベッドタウンに発展していたようである。
しかし現在ではその家並みがすっかり無くなり、
コンクリートの基礎だけが無残な姿を残していた。
その町の真ん中に建っていた荒浜小学校も大きい学校で、
かなりの児童が通っていたみたい。
今となっては廃墟の小学校を残すのみ・・・。

　そういえば津波当日、ＮＨＫテレビが実況生中継で
ヘリコプターから映していた「名取川河口付近」と言うのがここである。
そしてスタートの時点で流されている家々の映像がここ荒浜地区なのだ。

　名取川を挟んで南側にあるのが名取市ユリアゲ地区（津波に向かって右）。
そして北側にあるのが仙台市荒浜地区（津波に向かって左）。
　そういえば荒浜海岸の松の木がテレビにしっかりと映っていて、
その松が海と陸地の境を知らせる目印となって映っていた。

　現在、この場所は急ピッチで整理されているみたい。
だからあと１年もしない内に綺麗に何もかも片付いているかもしれない。

　ここ荒浜地区から西（内陸）に３キロくらい行った所に親友の家がある。
そこに行って見ることにした。
そしたら何とか家は見えてきたが近づいて見ると
その家も２ｍくらい浸水したみたい。
　その近所では６件くらい浸水しながらも残ったようだ。
しかし友人の家はもう住めないだろう。
そしてその友人は現在、仮設住宅にいるそうだ。

　ＰＭ１：３０、帰宅。

２０１１・１２・２（金）　晴れ
　〔地震から２６９日目〕
　私には、「この言葉だけは使いたくない」と言う言葉がある。
それは被災地を慰問した人が
マスコミのインタビューを受け必ず答える言葉。

　「元気づけようと思って来たのですが、逆に私の方が元気を頂きました」

　実は私も一度だけこの言葉を使ったことがある。
嫌いな言葉だけれど、つい喋ってしまったのだ。
それはなぜか。答えは簡単。
それに代わる言葉を持ち合わせていなかったからだ。
かと言って、インタビューに対し無言でいる訳にもいかず、
つい口から出てしまった。
　私の表現力の乏しさである。
その反省から、それ以来この言葉を使用していない。

　とにかく私は被災者に対し、私の歌で元気を与えられるとは思っていない。
一時的な元気は与えられるだろうけれど・・・。
そう考えると、芸能人が歌や炊き出しに来た時に、
その場所へ喜んで集まれる被災者っていうのは
「本当に元気でたくましい人だけ」だと思う。
そんな極一部の元気な被災者だけを見て帰って
「皆さん、とても元気でした。逆に元気を与えるつもりが皆さんから元気を頂きました」
なんてマスコミに向かって答えていることが私にはとても不思議である。
芸能マスコミもマスコミである。被災者より芸能人のパフォーマンスを
はしゃいでとりあげてまるで芸能イベント祭り、そのものである。
　そんなふうに考えてしまう私は「ひねくれ者なんでしょうかね？」

　私の知っている被災家族の中には、
自分の家・息子の家・娘の家、合計３軒が流され、その挙句、
仕事（自営業）も無くなってしまい定職にも付けず、二重ローンのため
新しくローンも組めなくなり、
結果、精神障害になってしまった方がいる。
年齢的な問題もあって、人生の目標を失ってしまったんでしょうね。
とにかくそのような精神障害の話は山と言うほどある。
　みんなみんな多くの悩みを
これからもズーっと引きずって生きていく事になる。

２０１１・１１・２８（月）　曇り
　〔地震から２６５日目〕
　ＡＭ２：００、起床。３：１０、氏家君ちへ到着。
早速、十三浜へ向かう。
　ＡＭ５：１０、石巻市北上の十三浜小室漁港に到着。
今日はその漁港の朝焼けを撮影しようと思った。
なのに、７：００になっても朝焼けにならない。
今朝はまったく太陽が出なかった。

　

　朝日が出なかった小室漁港。

　ところで、この日記をいつも読んでる方々はこう思うでしょうね。
「団十郎はどうしていつも同じ所に撮影に行くのだろう？」

　私だって同じ所に何度も行きたくはない。しかし、
朝日の撮影となれば最低でも２回は行かなければならないのだ。
逆に夕日の撮影ならば２回通う必要はない。
　朝日を撮影するということは真っ暗な内に出かけて行って、
暗闇の中でカメラをスタンバイしていなければ撮影が不可能だからだ。
という訳で、昼間に一度出かけて行って
日の出にからめる最高の景色をチェックしておく必要がある。
ましてや海の撮影となると真っ暗な岸壁や松林を歩かなくては行けない。
危険が伴なうので事前の下調べは欠かせないのだ。
とにかく面倒で根気の要る仕事である。

　さて、朝日の出ない十三浜小室漁港をあきらめて
南三陸町歌津半島の突端、歌津崎へ向かう。
私は眠いので運転を氏家君に代わってもらい、助手席で寝ていた。

歌津半島の入り口にある長須賀海水浴場で氏家君は車を止めた。
私は目を覚ます。すると目の前の海面にはキラキラと浮き玉が光っている。
それが何とも言えないくらいに綺麗なのだ。
何のための浮き玉かは知らないが初めて見る光景に感動をした。
私の住む仙南の海では見られない光景である。それに
ここの海水浴場は遠浅なので子供連れでの海水浴にはピッタリの所だ。

　

　浮き玉がキラキラと・・・。長須賀海水浴場

　さて、長須賀海水浴場をあとにして歌津半島の突端、歌津崎へ向かう。
歌津崎には宿泊施設『ニュー泊崎荘』があった。
ここ泊崎荘を見て私は分かった。
そういえば私はここに一度来たことがある。
いつだったかは忘れたが歌津町内へ文化講演に来て、
その後、主催者に連れて来られて夕食（打ち上げ）をした所だった。

　歌津崎に行くには松林の途中で車を止め、遊歩道を歩くことになる。
青々とした松の枝ぶりにたくましさを感じながら歩くこと数分。
やがて眼下には岩にぶつかる男性的な波を見ることができるし、
時たま漁船が行き交い撮影の場所としては最高の半島だと思う。

　帰りは半島の北側を通ってみることにした。
　名足地区に入ると津波を被った名足小学校があった。
学校の時計は３時２６分で止まっていた。
たぶん津波襲来の時間だったのだろう。
　ところで氏家君が「この学校の名前、何て読むんだべ？
『なあし』『なそく』、どっちなんだべ？」
　聞かれた私としても読み方が分からない。
（さて、皆さんはこの地区の名前読めますか？）

　漁港に下りていくと浮き玉に何か細工をしている漁民達がいたので
撮影に行く。
そしたらその浮き玉はワカメ養殖のロープを浮かせる玉なんだって。
作業しているそばに行きいろいろと話を伺った。

　ワカメ養殖と言うのは１１月にワカメの芽をロープに挟んで
海に浮かべる。そして次の年の３月には収穫できるそうだ。
だから今年の３月も収穫直前だった。
その収穫直前に津波が来てしまい、すべてが流されてしまった。
結果、今年の収入は０円だったとガッカリしていた。

　「ところで、ここの地名は何て読むのっしゃ？」
　「ここの名前はハイカラなんだど。『ナタリ』なんだ～」だって。
『名足』と書いて『ナタリ』。まるでフリオ・イグレシアスの歌みたい。
（ちょっぴりお洒落な地名なの）

　

　ナタリ小学校の時計は３時２６分で止まっていた。

　

　ワカメの種の植え付け作業。ナタリ漁港にて。
　写真コンテスト向きの写真です。

　名足漁港撮影後、北上川河川敷の葦（あし）の撮影に向かう。
途中、神割り崎近くのお好み屋に行って遅い昼食をする。
お好み屋の中で若い男性のお客と遭遇。
その男性と話をしていて馬が合い名刺交換をした。
すると彼の会社は石巻商工信用組合だった。
（地震から２５日目・４月４日のところに石巻商工信用組合の
写真が掲載されている。船が会社の横に突き刺さっている）

そしたらなんと、彼は津波の時、
信用組合の屋上に上って命拾いしたとの事。
約５０人が上って助かったそうだ。

　ＰＭ４：００、北上川の葦原の撮影を終え、帰路につく。
　５：３０、氏家君ちに到着。
　９：００、我が家に到着。

２０１１・１１・２６（土）　晴れ
　〔地震から２６３日目〕
　≪今朝の河北新報のニュース≫
　釜石の小中学生の生存率99.8％
　釜石の防災教育、奇跡を生む！

　この日、鵜住居小学校（岩手県釜石市）には全校児童184人の内、
卒業式の準備をしていた６年生の１０人程度しか残っていなかった。
他は下校途中の子、友達の家や公園で遊んでいた子、自宅にいた子、
魚釣りに行ってた子・・・。

　学校では04年から津波災害に対しての教育を徹底して
指導してきた。
　その3つの教えとは・・・。
●想定を信じるな。ハザードマップも信じるな。
●最善を尽くせ。
●率先避難者になれ。一生懸命逃げる姿が周囲の命も助ける。

　そして子供達には家庭に帰ったら次のように会話をしなさいと指導した。
「僕は絶対に逃げる。信じて。だからお母さんも逃げて」

　鵜住居小学校に3人の娘が通っている岩崎さんは地震後、
海に近い小学校へ向かわず高台へと一人で避難した。
子供のことは心配だったが「子供は避難しているはず・・・」
と自分に言い聞かせた。
結果、家族全員が助かったそうです。
　家族がテンデンバラバラに逃げる、『津波テンデンコ』の教えである。

　宮城県○○市に住んでいる、私の親戚の話。
　地震が起きて、お母さんは海岸近くの保育所にあずけていた子供が
心配になり車で保育園（海）に向かって走って行った。
結果、その途中で津波にのまれ亡くなってしまった。
皮肉と言うか、幸いなことに保育園の子供達は
全員高台に避難して無事だったとの事。

　津波が何度も襲来しているリアス式海岸の三陸地方と
津波は滅多に来ない石巻以南とで、
防災指導や意識の違いが明暗を分けたのかもしれない。

　『命はテンデンコ』

２０１１・１１・２１（月）　晴れ　夜に雨
　〔地震から２５８日目〕
　ＡＭ１：５０、起床。３：１０、氏家君ちへ到着。
早速、気仙沼へ向かう。
ＡＭ５：３０、気仙沼の鹿折（ししおり）地区に到着。
今日はその周辺の朝焼けを撮影しようと思った。
なのに、６：３０になっても東の空は朝焼けにならない。
今朝は雲が多い。

　７：３０になって突然空は快晴になった。
撮影するには最高の天気である。

　

　気仙沼。早朝の被災現場その１　『横たわる漁船』

　

　気仙沼。早朝の被災現場その２

　８：３０、気仙沼市街を南下して十三（じゅうさん）浜へ行くことにした。
その途中、本吉地区の海岸を撮影。
そこで「お昼頃かな？」と思って時計を見ると
なんとまだ９：３０だった。朝の６時から作業をやっているので
時間の感覚が麻痺しているみたい。

　１１：００、神割崎（かみわりざき）に到着。
ここも地震のせいで地盤沈下がおきてしまい、
下へは降りられなかった。

　ここ神割崎は南三陸町である。
ここの場所から南へ向かって走ると石巻市十三浜になる。
　海岸沿いを南下してすぐに民家が数件あった。
その内の１軒の入り口に『お好み焼き』と言う看板があった。
　「本当かな？　でも本当だったら嬉しいな。
丁度１２時だ、喰って行くべ！」と言う事で、本当かどうか、
氏家君に確認に行ってもらったら、本当に営業しているとの事。
　中に入って行くとお客は誰もいない。いないはずだろうね。
だって、近所の漁港の集落は全滅に近い状態なんだもの。

　さて、お好み屋のおばちゃんは恥ずかしがりやさんみたいで口が重い。
だから私の方から一生懸命話かけた。

　食事は『お好み焼きスペシャル（1,050円）』を注文。
　おばちゃんは
「いつもより大きいのを作りましたから・・・」とサービスしてくれた。
　とんでもなく大きいお好み焼きがでてきた。（満足だ～！）

　おばちゃんから地震の話を聞くと、十三浜地区は
地震で橋や道路が寸断され一時陸の孤島となったそうだ。
　現在では漁港の町が津波のモクズとなってしまい、
その中にあった商店も全部無くなってしまったそうだ。
だから買い物に行けなくて非常に困っているとの事。

　なんと、お好み焼きに使う、キャベツ1個ですら
遠くまで買いに行かなければ入手できないらしい。そんな話を聞いて、
私は、しっかりと味を噛みしめながらお好み焼きを頂いた。
氏家君なんかは私よりも倍の時間をかけてゆっくりと味を噛み締めていた。
（実際には食事が遅いだけ）

　ＰＭ１：００、十三浜の撮影を開始。
　十三浜の由来はたぶん浜の数が１３あるからなのかもね！？
だからその名のとおり、海岸線に沿って走っていると次々と
港にでくわす。それもリアス式海岸なので景色が非常に良いのである。
車を止め撮影のため、港の陰に入って行くと更に景色が良い。
御蔭で最高の映像が撮れた。

　それにしても海水浴場が沢山ある。
しかし数年間は遊泳禁止になるかもね。
んだって、町に人影が無いんだもの。
たぶん運営ができないのでは・・・。
もしここ白浜海岸界隈が遊泳可能なら、
県内では１級の海水浴場だろうね。
危険度も少ないみたいだし、海水は綺麗だし、砂浜も景色も最高に綺麗。

　ＰＭ３：００、吉浜地区を走っていると町が見えてきた。
とは言ってももう誰も住んでいない町あとである。
その町あとの中央に吉浜小学校があった。
そういえばこの学校はテレビによく取り上げられていた。
学校の時計が地震の発生時間２：４６分でピタリと止まっているのだ。

　学校の向かいには公民館がある。かなり立派な公民館だったみたい。
その向かいには老人施設。その向かいには消防署。
　消防署を見ると消防署員の方々が廃墟となった署の入り口に
花と線香を手向け、手を合わせていた。

　

　地震と同時（２時４６分）に停まった吉浜小学校の時計

　

　北上公民館（吉浜地区）

　

　老人施設！？（吉浜地区）

　ＰＭ４：００、帰路に着く。
　途中、大川小学校があったので寄ってみた。
　この学校では学童108人の中の70人が亡くなり、
４人が未だ行方不明だそうだ。（詳しくは１０月３１日を読む）

　偶然、お坊さんが慰霊碑にお経をあげに来ていた。
話を伺うと、毎日お経をあげに通っているとのこと。

　ＰＭ４：３０、帰路に着く。
　ＰＭ７：００、氏家君ちに到着。

　氏家君の家から帰ろうとしたら雨が降り出した。
撮影中に降らなくて「良かった。良かった」

２０１１・１１・１８（金）
　〔地震から２５５日目〕
　今回の津波で亡くなった方々の原因を聞いてみると
次のような原因で亡くなった方々が少なくない事が分かった。

　『一度は無事避難したにもかかわらず、ペットを連れに
家に戻った事が原因で亡くなってしまった』

　こういった話を聞くと私は返す言葉に困ってしまう。
例えば「なんで戻ったんだべ。連れに行かなければ助かったのに・・・」。
するとこう言われてしまう。
　「んだって、犬は我が子同然です。
そう考えたら、連れに戻って当たり前でしょう！」
　そんなふうに言われてしまうと次の言葉が出ない。と言うより
次の言葉を言ってしまったら、
私が薄情な人間だと決め付けられるようで恐いのである。
でも今日は、私の人格が下がるのを覚悟で次の言葉を言ってみよう。

　犬を連れに戻らなければ貴方の命は確実に助かった。それは間違いない。

　私は決して犬の命を軽くみて差別しているのではない。
人間の命も犬の命も同じである。
　場合によってはたとえ人間であっても戻るべきではない。
この理屈はショッチュウ津波に遭遇している三陸地方の方々なら
分かってくれるはず・・・。こういう言い伝えがあるからだ。
「命はテンデンコ」（命は別々・・・）。家族・身内であっても命は別物だから、
相手にかまわず自分一人だけでも逃げて助かれ！

　もうこの説明だけで十分理解頂けたと思う。
この言葉をしっかりとインプットしておかないと次に来る災害の時に、
死ななくて良い人まで死んでしまう。そんな事態を再度くり返してはならない。

　それではついでに、この話をしてみよう。
　私の友人（女性）が名取市ユリアゲ地区に４人家族で暮らしていた。
　さて友人の彼女は仙台に出かけている時に地震に遭遇したそうだ。
そこでユリアゲにいる３人の家族が心配なので
急いで家に戻ることにした。
ところが途中の道路の真ん中で大型トラックが横転していた為に
車が通れなくなってしまった。彼女は途中の道路で立ち往生。
そうしている内に津波がユリアゲを襲い、
彼女の家族３人が不幸にも亡くなってしまった。
しかし幸いにも、大型トラックが横転していたために彼女の命は助かった。
（家に戻れなくなって良かったね）

　この話の場合、「命はテンデンコ」って言えるかどうかは分からないが、
故人は、家族１人だけでも助かった事を喜んでいるかもしれない。
と考えるのは私だけ？

２０１１・１１・１４（月）　晴れ
　〔地震から２５１日目〕
　ＡＭ１：３０、起床。２：３５、氏家君ちへ到着。今日は岩手県の
陸前高田市・大船渡市・釜石市・大槌（おおつち）町へ行く事にした。

　東北道に乗って岩手県に入ると、なんと雨で道路が濡れていた。
たぶんさっきまで雨が降っていたのだろう。
今日の天気が少しだけ心配になる。
　５：００に高田市に到着。高田市市民球場にカメラをセットして日の出を待つ。

ここの市民球場はたぶん日本で一番海に近い球場ではないだろうか！？
それだけにこの球場が今回の津波の大きさを物語っている。
　球場で残った物と言えば照明灯の４本の柱だけなのだ。
　私は高田市に地震から32日目の時に一度伺っている。
その時に見た球場の感想と言えば、
４本の柱が残っていたから分かったものの、
もし柱が無かったら球場だとは気付かなかっただろう。
なにせ４本の柱の下は海になっていたのだ。
それだけ地盤沈下したという事である。

　さて、それから８ヶ月経過した今日の球場のド真ん中には
土が盛られていて重機が入れるようになっていた。

　今朝の日の出は雲が多いせいで
ほんの少しだけしか観る事ができなかった。

　高田市内の建造物は一部の大きな建物以外、
すっかり片付き平地になっていた。

　

　沈んでしまった高田市民球場。土盛りして作業している。

　

　朝日が昇る

　８：１５、釜石市に向かう。９時１５分、釜石観音に到着。
巨大な観音様が山に立っている。
それも釜石湾が一望できる絶景の場所に立っている。
しかしその観音様の首や胸が地震で少し傷ついたようで職人さん達が
修理していた。だから撮影するには残念だが絵にならないのであった。

　売店の女性がいたので地震の時の事を聞いてみた。
すると海（釜石湾）を指差し「あの世界一の防波堤が一瞬にして壊れたの！」
って言うのだが私には何の事だかチンプンカンプン。
するとなんと海の向こうにわずかに見えるコンクリートの低いブロックが
世界一の防波堤だと言うではないか。
　その防波堤の高さはナ・ナ・ナント70メートル近くもあるそうだ。
海面からの高さが６ｍあって、海底の深さは60数ｍもあるんだって。
それも建設期間が30年だったそうだ。ところが30年かけて造った堤防も
壊れるときはわずか数秒で壊れたと言うではないか。
現在では海面から数十センチくらいしか見えない。
（開いた口が塞がらない・・・）

　

　工事中の釜石観音。ここから眺める釜石湾の景色は最高！

　

　壊れてしまった世界一の防波堤が水平線の少し下に微かに見える。

　１０：４０、大槌町へ向かう。１１：２０、大槌町の被災地現場に到着。
　かつての繁華街は住いの基礎だけを残して遠くまで見渡せる景色に
一変してしまった。
その見晴らしのよくなってしまった路上で旗振りをしている男性がいた。
旗を見てみると『復興食堂』と書いてあった。話を聞いてみると、その食堂は
改良ワゴン車の中で料理を作ってビニールテントハウスの中で食べるそうだ。
スタッフは被災した近所の若者達。
そこで、丁度お昼時間なので頂くことにした。私は『海鮮丼・500円』を食べた。
　美味しい海鮮丼を食べていると、偶然隣り合わせた60歳くらいの
夫婦がいたので旦那さんと話をした。すると旦那さんの兄夫婦が
ここ大槌町に暮らしていて、今回の津波で亡くなったと言うではないか。
それで更に聞くと、この町で亡くなった方々（行方不明者含む）は
なんと約1,400人だそうだ。可哀相の極みである。

　ところで、大槌町の湾の中には小さな島がある。
その島がヒョウタンの形をしているので、それを見た井上ひさし氏が
『ひょっこりひょうたん島』のテレビ番組を作ったそうだ。
そう言えばこの町内には『吉里吉里駅』（きりきり）と言うのもある。
この吉里吉里をヒントに彼は『吉里吉里人』と言う本も書いている。

　

　大槌町の復興食堂

　

　ひょこりひょうたん島

　ＰＭ３：３０、大船渡市に向かう。
　大船渡市板用（いたよう）地区の神楽で『板用肩怒剣舞』（かたいかりけんばい）
と言うのがあって、その踊りの映像を私の歌『日高見外伝』の中の
間奏の所で使わせて頂いているので、完成したそのＤＶＤを届けに行く事にした。
　もしかしてその板用地区も津波の被害にあっていたりして、なんて心配を
していたので、それなら直接行ってＤＶＤを手渡したいと思っていたのである。
　そしたら、その地区は山の方角だったので、「一安心！」。津波被害は無かった。
　代表の方にＤＶＤを無事手渡し、帰ることに・・・。
空は少し薄暗くなってきていた。

　ＰＭ４：１５、宮城に向かう。
　ＰＭ７：００、氏家君ちに到着。
いつもだと氏家君ちにお邪魔して撮ってきたビデオのチェックをするところなのだが、
今日はとても疲れたのでお邪魔しないで我が家へ帰ることにした。
　ＰＭ８：００、自宅に到着。

２０１１・１１・１１（金）　晴れ　のち曇り　のち雨
　〔地震から２４８日目〕
　ＡＭ２：３０、起床。４：００、氏家君ちへ到着。
　今日は、被災地の南三陸町へ撮影に行く事にした。
　南三陸町（志津川地区）に５：２０、到着。
外はまだ暗い。丁度、夜空には満月。
雲一つない。でもそんな月は観るぶんには綺麗なのだが、
撮影するにはつまらない。少しくらいの雲はあった方が映像的には良い。

　鉄骨がむき出しになった『志津川防災センター』にビデオカメラの三脚を立て
朝焼けが出るのを待つ。暫くして朝焼けと共に雲がかかって来た。
でも朝焼けは思ったほどではなかった。

　

　志津川防災センター

　

　志津川港

　ところで今日は『社会貢献共同体ユナイテッドアース』の方々が
南三陸町の６箇所で
『絆レインボーフラッグ』を掲げるという事なので
撮影させてもらう事にした。

　１０：００から歌津（うたつ）駅のプラットホームで
レインボーフラッグのウエーブをやるとのこと。
　駅に行って見ると、何と無残にも高台にあったプラットホームは破壊され
線路も土砂と共に崩れてしまっていた。

　

　歌津駅プラットホーム

　レインボーフラッグの長さは１１１メートルもあるそうだ。
だからその長さにたえうる背景が必要との事。
しかしイズレのロケ地も絵になる所を選択していたようなので
撮影する側としては楽だった。とは言うものの
このウエーブを撮影するにはかなりのテクニックを要する。
でも今日は氏家君と一緒なので
私としては「彼に任せておけば良いだけ」である。

　

　志津川駅プラットホームでレインボーフラッグ

　ところで今日は大震災から丁度８ヶ月目だった。
それで２：４６分、亡くなった方々に対し黙祷をする。

　黙祷後に今日の撮影を終了し帰宅することにした。
車に乗ると途端に雨が降り出してきた。
「なんでこうなるの！」
いつもの事で、撮影を終了した途端に雨が降りだす。
我が家に居る奥さんに電話をした。
そしたら奥さんが「今日の撮影、雨で無理だったんでないの？」と言う。
　「何、そっちでは何時から雨だったのや？」
　「１１時には降っていたよ」
　「なにすや、こっちは２時４６分後からだよ。」

　氏家君ちに５時に到着。

２０１１・１１・１０（木）　晴れ
　〔地震から２４７日目〕
　昨日、山元町の陶芸家・木下さん（海望窯）が遊びに来た。
　彼は大震災の津波で自宅が流された。

　彼の命が助かった原因と言うのがこうである。
３年前の事、「実際に津波が来たらどの道路を通って何処に逃げようか？」と
自分でシュミレーションしていたそうだ。
それでついでに役場にも行って
「海から1.2キロ離れている俺の家の海抜は何メートルか？」と聞いたらしい。
そしたら「お宅の海抜は1.5メートルです」と言われたそうだ。

　それで地震（３・１１）の当日。
　車で近所を走行中、地震が発生し、ラジオを聴いてみたら
「6メートルの津波が来る模様・・・。（実際には10メートル以上）」
と言っていたので、これは大変だと急いで自宅に戻ったら、
家財道具が滅茶滅茶にひっくりかえっていた。
「こりゃ駄目だ、すべてをあきらめて逃げるしかない」と決めたらしい。
そしたら近所のおばちゃんが壊れた物を掃除していたので
「おばちゃん。そんなことしても無駄だ。
もうすぐ大きな津波が来るぞ。早く車に乗って・・・」と言って、
おばちゃんを車に乗せて逃げたそうだ。

　さて、家財道具すべてが家ごと流された彼は
「俺、今着てるこのジャンパーはリサイクルショップで買ったんだよ。
似合うだろ？」と笑顔で語っていた。
「んでもな団十郎よ。残念なのは焼き物の釉薬の調合割合を書いたノートが
流されてよ。俺、困ってんだよ」

　それは一大事。
　作家はそれぞれ独自の調合で釉薬を作っているので
メモ帳は陶芸家の命である。

　

　海望窯・木下さん。
『リサイクルショップで買った赤いジャンパーが似合ってる』

２０１１・１１・６（日）　雨
　〔地震から２４３日目〕
　私がエレキバンドを組んでいた18歳の時のメンバーが
私以外全員（４名）、ユリアゲ地区に住む高校生だった。

　今回の津波でユリアゲ港のすぐ側に住んでいた
元メンバーのＡ君の家が見るも無残に跡形も無く消えてしまったのだ。
私はその彼の消息がとても心配でならなかった。
そしたらやっと先日その彼の情報を得た。

　なんと残念なことに彼は津波にのまれて亡くなってしまったそうだ。
とても悲しいです。悔しいです。
「なんで逃げなかったんだよ～」と大声で叫んでしまいました。
今となっては「安らかにお眠り下さい」と祈ることしか術はありません。
そして私は元メンバーの彼のためにも、
「もっともっと名曲を書かなくては・・・」と誓いました。

２０１１・１０・３１（月）　雨　のち晴れ
　〔地震から２３７日目〕
　今日は氏家君と被災地『石巻・女川方面』へ撮影に行くことにした。

　ＡＭ２：４０に起床。雨が降っていた。４：００、氏家君ちに到着。
早速、津波の被災地『女川（おながわ）』へ向かう。５：１０に到着。
雨は上がっていたが、撮影したかった日の出は見られそうもない。

　空が明け、女川の街を見てみると、ここも壊滅状態であった。
高台にある女川病院だけが現在、街の中で唯一活動しているみたい。
とは言うものの、この病院も２階まで津波が侵入したそうだ。
　現在、津波が被った街並みは殆んどが更地になっていた。

　７：２０、石巻市雄勝地区（旧・おがつ町）へ向かう。
　８：００、雄勝の中心地に着くと突然雨が降ってきた。
すると２階建ての建物の上に
バスが載っているのが見えた。
　「あれ～、俺この建物見たことあるぞ～」。すると氏家君が
　「これ、雄勝の公民館です」
　「んだべ～、俺ここで文化講演をやった事あるよ。９年くらい前だな～。
そんでや～、隣りに『雄勝硯（すずり）伝統館』があるんだよな」と言って
隣りを見てみるとこれがビックリ！　伝統館はすっかり津波を被ってしまい、
修理不可能なくらいに破壊されているではないか。
この現状からみて雄勝の街は復活できるのだろうか？　と心配になる。

　

　≪雄勝公民館≫

　雄勝を後にして旧・北上町の大川小学校跡地へ向かう。

　９：００、大川小学校に到着。
ここの小学校の悲劇は既にテレビなどで何度も放送されている。
　学童108人の中の70人が亡くなって、４人が未だ行方不明だそうだ。
それと当時学校にいた教職員11人のうち10人が犠牲になったとの事。
また校庭などに避難していた住民の多くも犠牲になった。

　まず、地震があって、小学生が避難を始めたのは約40分後。
先生と生徒は学校の西側にある北上川の土手へ避難しよう
と移動したらしい。その途中で
津波が正面から襲ってきたために今度は東側にある山へ逃げようとしたが
間に合わず、「あっ！」と言う間に津波にのみ込まれてしまったそうだ。

　私が現場に行って見て感じたのは
「なぜ海から５キロも離れているのに津波が襲ってきたのか？」である。

　その理由は地盤沈下だそうだ。
元々この周辺は海抜１ｍしかなかったらしい。
そこへもってきて１ｍも地盤沈下してしまった。
結果、海面と同じ高さになってしまい
津波の進入を容易にしてしまったのだ。

　それともう１つ疑問に思った事がある。
「なぜ学校のすぐ隣りに高い山があるのに、
山に登らず川のほうへ避難したのか？」
現場に行った人は必ずこの疑問にぶつかるはず。

　校舎から山まで歩いて２分。それから登ったとしても
合計10分もかからないで頂上に辿り着く。
だから、もし山に登っていれば全員が助かったはずだ。
そう考えると、悲しさで涙がこみあげてくる。

　でも、のちに私は冷静になって考えてみた。
「なぜ先生達は危険極まりない川の土手に向かって行ったのか？」

　たぶん原因はこうだろう。
　２時46分の大地震のあとも何度も余震が続いたからではないか。
そのことで「山が崩れたら危険だ」と判断した先生がいたかもしれない。
そこで先生達の間で議論が続いたのだろう。

　「津波が恐いから山に登ろう」と言う先生と
　「いや、逆に山崩れが恐いから土手に行こう」と言う先生達。
つまり意見が割れたのかも・・・。
そして先生達は最終的に「山を避けた」のではないか！？
とにかくパニック状態の中での議論の答えが裏目に出た
と言う事かもしれない。

　私達はいつも結果論から判断しているので正論を言えるけれど、
恐怖の迫っている中で判断せざるをえなかった先生達の思いを考えると
これまた胸が痛くなってくる。

　とにもかくにも小学校が建っている立地条件に
大きな問題があったことには間違いない。

　学校のすぐ隣りの東側には杉の山。
逆に、隣りの西側には大河（北上川）。
そして、南と北にはひたすら海抜１ｍの平地、そして北上川が横たわる。

　さて、結果論になるが、
杉の山は山崩れしなかったので
皆が山に逃げてさえいれば全員が助かった。と言う話になる。

　学校の正面には『学童鎮魂供養の碑』が建立されていた。
そこに添えられていた『お母さんからの手紙』を読んで、
私はどうしても涙を堪えることができなかった。（合掌）
　雨もこのときばかりはドシャ降りになってきた。

　

　『母のいのり』の像

　

　『かわいい　かわいい　巴那（はな）ちゃんへ』

　
　『巴那、さむくないですか？』

　大川小学校の撮影を終えるとなぜか急に青空になった。

　次は北上川を河口に向かい長面浦（ながつらうら）へ行く。
ここ長面浦は本来ならノドカで景色も良く、暮らすには最高のところである。
しかし今では海抜０ｍになってしまい生活している人は
何処にもいないみたいにみえる。
居るのは瓦礫撤去の作業員くらい・・・。

　
　≪長面浦で被災した車≫

　ここ長面浦の撮影で今日の目的は終了した。
しかしまだ時間に余裕があるので
牡鹿（おしか）半島の鮎川（あゆかわ）に行ってみようと言う事になった。
私はこの鮎川を見れば、宮城県の被災地の全部の町を見た事になる。

　鮎川まで行く途中のコバルトラインでは山が崩れたりして通れないところが
未だに存在する。
　鮎川の街の少し手前の海岸線を走っていると地区名が書いてある
看板が見えた。そしたらなんと『大原』と書いてあるではないか。
私は感動のあまり、声を上げた。
　「ここ大原の小学校には俺の兄貴が昔先生として勤務していたのだ」
たぶん今から45年くらい前の話である。
今は亡きその兄に対し、私は目をとじ合掌をした。

　大原地区から10分くらいで鮎川の港に着いた。
　かつて鯨で栄えた鮎川にはホエールランドがある。
しかしホエールランドは津波にやられ営業できる状態には無かったし、
それどころかすべての商売が成り立たないくらいに被害のあとが痛々しい。

　
　≪鮎川港の道路と橋≫

　ＰＭ１：００、仙台に帰ることにした。
　ＰＭ３：３０、氏家君ちに到着。

２０１１・１０・２７（木）　晴れ
　〔地震から２３３日目〕
　津波被災地域に戻れない方々が仮設住宅に入居する場合、
よくこういうふうに言う。
　「隣り近所がバラバラにならず
マトマッテ同じ棟続きの仮設住宅に入りたい」と。
　これはとても大事な事である。
生まれ育った集落の伝統（神楽・祭り）や風俗習慣を
伝承して行くためには地区住民丸ごと同じ場所に移転していかないと
消えて無くなるだろう。
それでこのような新聞記事がありましたので読んで下さい。

２０１１・１０・１７（火）　曇り
　〔地震から２２３日目〕
　これ以上、公務員宿舎を増やすのは如何なものか？

　官僚という名の高額所得者の宿舎をどうしても造りたいのなら、
そこに入居させるのは官僚ではなく、故郷（福島）へ帰ることができなくなった
原発避難民のための住宅として活用すべきだ。
　もしくは、公務員宿舎を建てる財源などで
大震災による仮設住宅住まいを強いられているの方々の為に
分譲地をたくさん造って安く提供してやるのが常識だと思う。

　日本の国民は耐えることを知っている。
なのに官僚は耐えることを知らないみたい。
でもいつか国民は我慢しきれない時がくるかも知れない。
そうなる前に政治家と官僚は公僕としての自覚を持ち
自らを大きく切り詰めなければいけない。

２０１１・１０・１３（木）　曇り　のち晴れ
　〔地震から２１９日目〕
　私の友人が亡くなると、よく親族の方からこんなふうに言われてしまう。
「団十郎さん、亡くなった○○○の歌を作って下さい」ってね。
　そんな時は本当に困ってしまう。
だって、友達が亡くなる度に歌を作っていたら
私の歌のレパートリーが悲しい歌だらけになってしまうじゃない。
だからそんなふうに言われたときには返事をしないことにしていた。

　さて、この度の大震災。悲しいことに多くの友人達が亡くなった。
それで多くの方々から「今こそ歌を作って・・・」と言われたものの、
今回だけは被害が半端でなかっただけに歌を作るにも
いい加減な歌は書けない。
でも悩んだ挙句、勇気を出して書いた歌と言うのが
『夢を求めて』だった。

　そして今夜、散歩していて思ったのだが、
「来年の3月11日までにもう1曲書こう」と・・・。
なぜか知らぬが『夢を求めて』の1曲だけでは納得がいかない。
そう思ったのには理由がある。
そうなんです。1曲だけでは足りないくらい
多くの知り合いが亡くなったんです。
そして、最近になって被災者の家族が我が家に遊びに来るようになった。
その話を聞けば、悲しくてとめどなく涙がこぼれてしまう。
　堪らないんです。1曲だけでは・・・。
　「団十郎よ、もっと書け！」って言う事なのかもね。

２０１１・１０・３（月）　晴れ
　〔地震から２０９日目〕
　昨夜、NHKテレビで大震災の被災地『ユリアゲ地区』（宮城県名取市）
を取り上げていた。その内容は、震災が発生してから津波到着までの
時間（１時間９分）の間、ユリアゲ地区の住民の皆さんは
どのような行動をとったのか？
つまり、何分後に避難を開始したのか？
どの道路を通って避難したのか？　何を使って移動したのか？
等々、無事助かった住民全員から聞き取り調査をしたみたい。
そしてその調査の結果をテレビではCGを使って再現していた。

　なぜユリアゲ地区が調査の対象となったのか？
それはNHKが津波の時、ユリアゲ上空からヘリコプターで
津波の映像を撮影し生中継していたからだ。
　
　津波が到着するまでの１時間９分の間、
各々がとった動きを心理分析をまじえてCGで見せていた。

　それにしてもNHKは凄いことを考えたものだと
ある意味で驚いてしまった。

２０１１・９・２３（金）　晴れ　一時　にわか雨
　〔地震から１９９日目〕
　今日はＰＭ２：３０から松島町磯崎で開催された
『松島復興祭』でコンサートをやった。
なんと夜の部には加川良・大塚まさじ　が出演する。

２０１１・９・１７（土）　曇りだったり　晴れだったり
　〔地震から１９３日目〕
　ＰＭ４：１５から名取市愛島にあるゴルフ場の会議場で歌を歌う。

　実は８月２９日に出演した
宮城テレビの番組『がんばれ！　宮城　復興への道』
　その時に私はこんなことをテレビカメラに向かって喋った。
「地震後、仕事が来なくて困ってんの。んだがらギャラの貰える仕事を下さい」

　そしたら偶然にそのテレビを観ていた、某会社の社長さんが
私に電話をよこして「今度、ゴルフコンペをやるのでその時に
団十郎さんゴルフ場に来て歌を歌って下さい・・・・」
って言ってくれたんですよ。

　そんで今日は４曲だけを歌って、しっかりとギャラを頂いて帰ってきました。

　テレビで喋って良かったですねぇ。
それとこの会社の社長さんの御恩は生涯忘れません。（感謝・感謝！）

２０１１・９・７（水）　晴れ
　〔地震から１８３日目〕
　今日、我が家に津波で被災した主婦２名が遊びに来た。
話を聞くと、
A子さんは新築２年目の家が流され、旦那さんが亡くなったと言う。
B子さんも家が流され、高校生の息子２人が亡くなったと言う。

　その話を聞いた私は、その悲惨さにかける言葉がありませんでした。

　３月１０日に戻れないんでしょうかね？

２０１１・８・２９（月）　晴れ
　〔地震から１７２日目〕
　昨日出演した宮城テレビの番組『がんばれ！　宮城　復興への道』。
私はその番組の最後にこんな事を言ってしまった。
「仕事が来なくて困ってんの。んだがらギャラの貰える仕事を下さい」ってね。

　私は家に帰ってから一人反省をした。
こんな事を発言をしたら必ず投書がくるだろうな。こんな具合に。
「被災者が大変な時に団十郎は自分のことしか考えない人間だ」ってね。

　そしたら今朝、我が家に下記のようなメールが届いた。

　【匿名希望さんからのメール】
　昨日放送された番組を見て
たまらずメールを差し上げた次第です。
　団十郎さんが最後におっしゃった言葉
「ギャラの貰える仕事を下さい」が心の叫びに聞こえました。

　私も同感なんです。個人自営業で、仕事が途絶えて半年です。
このままでは、宮城は「人」が復興できません。
　団十郎さんの言葉は、皆が今まで言いたくても言えなかった
本当の思いなんです。
言葉に出してくださってありがとうございました。

團被災地には現在いろんな形の不景気風が吹いているんです。
ただ皆は声を殺して耐えているので
隙間風くらいにしか思われていません。
しかし本当は台風並みの強風なんだと思いますよ。
ただ私の場合、悲鳴を上げたと言っても
笑い話にしながら喋るので気付いてもらえません。

●そこで笑い話をひとつ。（実話）

　ある日、復興支援チャリティコンサートへの出演依頼の電話が来た。

　「団十郎さん、ボランティアで出演してもらえませんか？」

團「音響はあるんですか？」

　「あります」

團「音響さんもボランティアでやってくれるんですか？」

　「いや、音響さんにはギャラを払います。タダでは頼めません」だって。

　馬鹿者！　歌手も音響さんも、どちらも生活がかかってるんだよ。

●ついでに笑い話をもうひとつ追加。

　250K以上も遠く離れた街で行なわれる
復興支援コンサートへの出演依頼の電話が来た。
話を聞くとノーギャラどころかガソリン代や高速代や宿泊代も出ない
と言うではないか。
　あきれかえった私は
「申し訳ないですが仕事が忙しいので行けないです」と言って断わった。

　とにかく「復興支援チャリティなんです」とさえ言えば、
タダで団十郎を呼べると思い、
むやみに電話やメールをよこす人がいるので本当に困ってしまう。
（おじさん怒るよ、プンプン）

２０１１・８・２０（土）　曇り
　〔地震から１６３日目〕
　今日は岩沼市市役所前広場で開催された大震災復興夏祭りに出演した。
お祭りは一日中やっていたようだが私は２：３０からのステージだった。
毎年やっていてお客さんは４万人くらい来るらしい。
しかし今年はいつもの半分くらいだそうだ。

２０１１・８・９（火）　晴れ
　〔地震から１５２日目〕

　【ヤマちゃんからのメール】
　お疲れ様でした。一昨日の勾当台公園・夕涼みコンサート、
自分ももちろん聴きに行きましたが、
さすがに長丁場なので団十郎さんが出演する一時間ぐらい前から・・・。
予想はしていましたが、すごい観客だったので後ろのほうから観てました。
それにしてもあのメンバーの中での大トリというのは本当にすごいです！
地元ということやキャリアということよりも、やはり宮城県民にとって
復興を願うコンサートの締めはあの曲しかないということだと思います。
ラストの出演者のみなさんが揃ってのステージも本当に感動的でした。
誤解をまねく言い方かもしれませんが、あの大震災があったからこその
盛り上がりだったかもしれません。
　ステージ終了後しばらく出演者のＣＤ販売ブースを見ていたのですが、
お客さんが次々と団十郎さんのＣＤやＤＶＤを買っていたのが印象的でした。
買っているお客さんの年代も様々で、懐かしいという思いや、
こんないい曲があったのかという思いなど
いろんなものがあったんでしょうね。とにかく宮城県民は団十郎さんの
歌を求めているんだということは確信しました。
しかし、団十郎さんのトークはやっぱり面白い！　爆笑でした。
これからもラジオやテレビ、ステージでどんどん団十郎さんの歌やトークが
流れてほしいものだと心から思います。
団十郎さんは宮城県民を元気づける特効薬です。

團お蔭さんでコンサート、大好評でした。
　ヤマハでは東日本大震災の復興に何らかの形で支援したいと
考えてくれていたようです。その答えがヤマハ新旧タレント出演の
夕涼みコンサートでした。
　ほんとうに若い人からお年寄りまで広いファン層の観客でイッパイでした。
それで、なんと入場券の配布は朝の９時だったそうですね。
ご苦労様です。

　お蔭様で私のＣＤ・ＤＶＤも結構売れました。

２０１１・８・８（月）　晴れ
　〔地震から１５１日目〕
　今日は仙台七夕の最終日。
それでＰＭ３：３０から７：４０まで仙台の勾当台公園野外ステージで
ヤマハプロダクション・新旧タレント１３人がコンサートをやった。
私は元・タレントという事で参加させてもらった。
他のメンバーとしては因幡晃・ＮＳＰの中村君・チャゲ。
　チャゲとは初対面だった。にも関わらず彼は私と会うなり
「センパ～イ」って声をかけてくれ、握手をしてくれた。
（ちょっぴり嬉しい団十郎なの）

２０１１・８・６（土）　晴れ　いちじ雨
　〔地震から１４９日目〕
　我が村田町には女川町と南相馬市から避難して来た方々が
住んでいる。
　そこで今日は村田町福祉協議会が主催して避難者の方々を
『村田町憩いの家』に招待し交流会を開いた。
そのイベントのゲストとして私がコンサートを披露した。

２０１１・８・１（月）　曇り
　〔地震から１４４日目〕
　今日も河北新報さんの記事のおかげで、
『ああ宮城県・第２章』の電話注文と訪問客で忙しかった。

　ところで今日はこの映像（ＹＯＵ　ＴＵＢＵ）でも見て行ってけさいん。
何処のどなたか知りませんが『ああ宮城県』を歌ってくれています。

２０１１・７・３１（日）　雨　ときどき曇り
　〔地震から１４３日目〕
　深夜２：３０頃、かなり強い地震が発生。
未だにこうして強い地震がときどき襲ってくる。
これじゃ～、割れ物の焼き物が売れなくなるのも当然だ。

　地震のあと、目が覚めてしまいなかなか寝付けなくなる。
そして、地震にあきれると同時に、
これから先の事を考えれば考えるほど
「いっその事、陶芸の仕事を辞めてしまおうか！？」
なんて本気で考えたりしていた。

　朝食後、知らない人から突然電話が来た。
「ああ宮城県・第2章のCDとDVD、欲しいんですが・・・」
　電話を切ると、すぐにまた電話が入る。そして同じく
「ああ宮城県・第2章のCDとDVD欲しいんですが・・・」
　この繰り返しが何回も続く。

そしたら、今朝の河北新聞に俺の事が掲載されている、
と教えられた。
　どうりで注文が続く訳だ。
それにしても今回の注文の数は異常である。
いつもだと新聞で紹介されたとしても５枚くらいの注文で終了する。
なのに今日の場合は８０枚くらい売れたのだ。
（ちょっぴり元気になった団十郎なの）

２０１１・７・２０（水）　雨
　〔地震から１３２日目〕
　PM６：００からミニコンサートをやった。
仙台市青葉区子平町のお寺『龍雲寺』で
夏祭り（大震災犠牲者供養を兼ねる）がありそこで歌った。
雨がパラパラ降っていたので本堂の中でやる。

２０１１・７・１７（日）　晴れ
　〔地震から１２９日目〕
　地震があってから私の仕事はすべてが潰れてしまった。
正直な話、ズーっと途方にくれていた。
　陶芸なんてまったく売れない商売になってしまったのだ。
消費者はもう百円ショップの食器で間に合わせているみたい。
　そこで、あれからズーっと私に出来そうな陶芸以外の仕事を
いろいろと考えてはいたのだが６３歳になってしまったのでは皆無に近い。
正直、自暴自棄になり、出るのは溜息ばかり・・・。
この俺でそうなのだから、直接津波の被害を受けた方々はもっとだろう。

　そこで今日、強烈な刺激を受けたいと思い、
福島県会津地方にある美術館へドライブに出かけた。
　会津坂下（ばんげ）町にある『五浪（ごろう）美術館』
そして柳津（やないづ）町にある『斎藤清美術館』

　凄く良かったですねぇ。大いに刺激を受けました。

　そこで私は思った。これから毎晩、真剣に絵の勉強をしよう。
売れるかどうかは考えないようにして描く事だけを考えよう。
売れるかどうかを考えてしまうと、売れないのが分かっているだけに
頑張らなくなってしまいそうなのだ。
　とりあえず夢中になって来年の３月10日の誕生日まで
描き続ける事！　そのあとどうするかは次の日の３月11日に決断しよう。

２０１１・７・１２（火）　晴れ　にわか雨と雷
　毎年、我が村田町で開催されている『蔵の陶器市』。
今年は３・１１の地震でかなりの蔵が壊れている。
だから今年は陶器市は中止か？　と思われたが、
なんとか規模を縮小しながらも開催されることになった。
そこで私も明日あたりから焼き物の製作に取り掛かるとしよう。
かと言って、このイベントだけで１年の収入があがるわけではないので、
未来に向かっての生業をどうするのか、真剣に考えていかなくては・・・。
　とりあえずは陶器市に向かって頑張るとしよう。

２０１１・７・１１（月）　晴れ
　〔地震から１２３日目〕
　８月（来月）の８日に仙台市勾当台（こうとうだい）公園内の県民広場で
東日本大震災復興キャンペーンコンサートがあります。
ヤマハ関連のタレントが出ます。私も出させてもらえます。

２０１１・７・２（土）　晴れ
　〔地震から１１４日目〕
　コミニティＦＭ『たいはく』（仙台市）の特別番組にゲストとして出演した。
どんな番組かというと、ＦＭ『世田谷』（東京）の『あの頃青春グラフィティ』
という番組スタッフ達が大震災の被災地、ＦＭ『たいはく』に
出張して来て、全国60局へネット放送するという３時間番組だった。

　パーソナリティの男性、何処かで見たことがあるような顔だったので
聞いてみたら、なんと『メモリー･グラスの堀江淳』君だった。

　

　（生放送中です。左の男性が堀江君）

　今日はこの新聞記事（大震災関連記事）も読んでいってけさいん。

２０１１・６・２９（水）　晴れ
　〔地震から１１１日目〕
　大震災後、仕事場や展示場の壊れたところは放ったらかしにしておいた。
私は大工仕事が素人なので、手を付けるのが億劫だったし、
大工さんに頼めばかなりの金が掛かる。
そんな事情もあって、結局自分でやるしかない。

　もうすぐ7月だ。これ以上壊れたまま放っておけない。
なので今日から仕事場や展示場の修繕をやることにした。

　今日は真夏日だったので汗をかきかきノコギリ・ハンマーを手にした。
暑かったけど雨よりはマシだ。雨だと作業は中止になる。
明日からは外壁の修理なのだ。

２０１１・６・２８（火）　雨　ときどき晴れ
　〔地震から１１０日目〕
　去年の秋、下北半島の突端、大間崎に行ったとき、
偶然に出会った男性が私と同じアディダスの緑の帽子を被っていた。
それが縁で２人して肩を組んで記念写真を撮った。
それ以来、何度かメールのやり取りをした。

　この前、ちょっと気になって彼にメールをやった。と言うのも
彼は福島原発から５０キロのところで苺のハウス栽培をしているからだ。
そして今日、暫く経って彼からメールが届いた。
すると心配したとおりにハウス栽培はできなくなり、やることがないので
現在は単身赴任で北陸地方の苺農家の手伝いをやっているとの事。
　「すべての収入を失いました。
来年は苺を作れるのかどうか、とても心配しています。
adidasの緑の帽子はこちらに持ってきています」
とメールに書いてよこした。
　こういった話を聞くと無性に涙が込み上げてきます。

　震災後、この私の家にも
陶芸のお客さんがほとんど来なくなったり、
講演・コンサートの収入が激減したり、大変だけど
彼に比べれば私は避難民にならないだけでも
ズーっと恵まれていると思った。
（我が家は福島原発から８０キロ圏内）

２０１１・６・１９（日）　曇り　のち晴れ
　〔地震から１０１日目〕
　私のコンサートの特徴は歌と歌の間の喋りである。
それも自虐ネタが多い。これまではそれが受けていた。
それでこの度の大震災でもかなりの自虐ネタができた。
ところが今になってやっと気付いた。
このネタは東北では使えないって事に。
自分の事実のネタだから構わないと思っていたが、
今回の震災に関しては自虐ネタでは済まされなくなるでしょうね。
とにかく人を笑わせるってことは難しいものであると実感した。

　そんな訳で、これまで避難所にもお笑い界の芸能人が
多数来てくれているようだけれど、やはりコントや漫談は
やらないみたいですね。激励の言葉だけが多いみたいです。
　ニュースで見たのだが、あの綾小路きみまろさんでさえ神妙になって
喋っていました。当然の事と思います。

　ところで私が尊敬、そしてお手本とする
きみまろさんでさえ凄く難しいステージに
おっちょこちょいのこの私が立って何を喋れば良いのだろう？　と思う。
しかし多くの方は私に「避難所へ行って歌ってやったら」って薦める。
　
　とてもとても私の歌と喋りでは被災地コンサートは無理です。
第一、フォークソングと言えば反体制（メッセージソング）
がルーツみたいなもんですから・・・。

　もしこういった状況の被災地にピッタリな歌のジャンルがあるとすれば、
それは演歌でしょうね。
あの演歌のイントロが流れた瞬間に感じるのが
「これこそ日本人の心の歌だ」と・・・。
なんと、あまり演歌が好みでないこの私でさえ
感動の涙が自然と湧いてくるんですから・・・。

　テレビニュースでは確かに有名歌手の歌を聴いた避難所の方々が
「元気を貰いました」と答えている。
しかし私が思うには、その元気はたぶん短期的なものでしょう。
長期的な元気は政治家の腕にすがるしかないと思う。
そこで政治家の皆さん、被災地の敏速な復興と
被災者への長期的なバックアップをお願いしますね。

　話は変わるが、この前東京に行ったときである。
上野駅の路上で復興支援の募金活動をやっていた５０歳代の
女性たちがいたので私も交ぜてもらい募金活動をやらせてもらったが
募金額はとてもとても人様には教えられない程度の額しか入らなかった。
この現実を知ったとき、私は東京での路上ライブは無意味だと思った。
ただし、超有名芸能人なら話は別ですよ。
しかしこの私では無意味であると言う事。
これに対して皆さんはたぶんこう言うでしょう。
「額が２千円でも３千円でも良いじゃない。ライブやったら」って。
でもね。東京に３万円（宿泊費含む）もかけて行って
投げ銭が３千円じゃ、無駄だと思いませんか。それより無理して行かないで
最初ｯから旅費の３万円を寄付した方が役に立つってことだよね。

　それと今になって思うのだが、あの募金活動していた
多くの団体の中にはかなり疑わしい団体もあると思われる。
あの集まったお金は本当に被災者のために寄付されるのだろうか？

　善意を疑っては無礼かもしれないが疑うことも大事だよね。

２０１１・６・１８（土）　曇り　のち雨
　〔今日は地震から１００日目〕
　驚く現象がある。先月の２７日に東京に行った時の事。
大森のホテルに自家用車で行った。すると私の車のナンバーを見た
東京の人は必ずこう言う。「宮城県から来たんですか。大変だったですねぇ」
　実にありがたいお言葉を頂戴する。
　ところで、たぶんこの方々はナンバーが宮城県ナンバーで無かったら
声をかけてはこないでしょうね。

　東京の電車にも乗ってみたけれど、偶然座った席の隣の方と
会話になり、「何処から来たんですか？」　「宮城県からです」と
応えると、「この度は本当に大変でしたねぇ」と言う会話になる。

　ホテルでチェックインのとき、住所を書くとフロントマンが
「宮城県は大変でしたねぇ」と同情してくれる。

　水戸黄門みたいに『宮城県』と書いた印籠を見せただけで
「大変でしたねぇ」となることに驚いてしまった。

　こんなにまで多くの方々に行く先々で同情されてしまうと、
私としてはとても複雑な気分になった。
なんか急に宮城県が弱者になったみたいで情けない気持ち。
それと私のような大した被害の無かった者までが
被害者ぶって良いのだろうか？　とか・・・。
（皆さん、この辺の複雑な気持ち分かりますかね？）
しかし現実は全国の方々からの支援がなければ
被災地は絶対に復興できないのである。

　そこで私は思った。この次東京に行ったとき、とはいかないが、
いつの日か、「大変でしたねぇ」に代わって
　「宮城県って大したもんだねぇ。よくここまで復活させましたねぇ」
と言ってもらえるように早く東北を復興させなければと・・・。

　ただ、今回東京に行って凄いことがあったのだ。
私の車のナンバーを見て「大変だったねぇ」
と声をかけてくれた大森の男性（Ｋさん６１歳）と話し込む内に、
彼は質問してきた。「今日は貴方は何しに東京まで来たの？」
　そこで私は「コンサートやるんです。もし良かったら、これ俺のＣＤなんで
暇な時に聴いてみて下さい」と言って手渡した。
　そしたら「あれっ！　吉川団十郎？　俺知ってるよ。あんたが団十郎かい？」

　「えっ！　俺の事、知ってんの。俺がその団十郎です」

　そしたら次の朝、ホテルのフロントから電話があり、
「Ｋさんと言う方が吉川様に会いに来てます」
　そこでフロントに下りて行くと昨日会ったばかりのＫさんだった。
　「団十郎さんよ、コーヒー飲もうよ」と言ってくれた。
　そしたらＫさんは仕事で中国に２ヶ月に１回は訪問しているそうだ。
そこで私は名刺を渡す。そしたらこれまた驚いていた。
　「何、団十郎さんは貴州省の観光親善大使もやっているんだ。話が合うねぇ」

　更にＫさんは「俺、ベンチャーズバンドもやっているんだよ」だって。

　そんな訳でＫさんとは
今では切っても切れない大親友になってしまったのである。
　「ありがとう！　宮城県ナンバーよ」

２０１１・６・１３（月）　晴れ
　１０年くらい前の事、東京からＡと言う男性が我が家にやって来た。
そして１０年後の今年、Ａが突然我が家に電話をよこした。
（地震から２ヵ月後である）

　「団十郎さん、俺はこれから被災地の○○○にボランティアに行きます。
そこで団十郎さん、お願いがあるんです。
その被災地でコンサート開いてよ！」

　「そうか～、でもなぁ、あんたはまだそこに行っていないんだから、
あんたが勝手に決めちゃ駄目だよ。そこの人達が
団十郎を必要としているかどうかを
確認してからでないと俺は返事できないからね」

　それから暫くして、そこの被災地へボランティアに行った彼が
被災地から電話をよこした。
　「ここへボランティアに来て、皆に団十郎さんの話をしたら
皆がビックリしてましたよ。
是非コンサートに来て下さい」。

　それからまた数日後、電話をよこした。
　「今、別の被災地に来てるんです。ここでも団十郎さんの話をしたら、
ここの担当者が『コンサートに来て欲しい』って言ってますよ」。

　俺はあきれてしまい、こう言ってやった。
　「あのね、あんた。行く先々で俺の名前、勝手に使わないでよ。
あんたは俺のマネージャーじゃないんだから、
俺の許可も得ないで行く先々でコンサートの約束を
勝手にしてもらっては困るんだよね。
第一、俺とあんたは過去に１回しか会ったことがないし、俺はあんたの
顔も忘れているんだから。それにボランティアコンサートって言ったって、
こっちは高速代やガソリン代や食事代など、
１回行くたびに１万円は掛かるんだよ。それに音響の機材だって
必要なんだからね。アンプ・スピーカーを業社に頼めば
最低でも３万円は支払うようになるからね。
それをあんたが準備するんだよ。それでもいいの？」

　そしたら皆さん。彼はなんと答えたと思います。
　「団十郎さん、アカペラでコンサートやってよ。
それと団十郎さんが帰るとき、ガソリンを満タンにしてやるから・・・」だって。

　被災地でガソリンを満タンにして帰されたって、
家に帰ってくれば半分になってるべ。
それを言うなら「片道分のガソリンだべ！」
（ちょっぴり　ミミッチイ団十郎なの）

　ところで今日、島村楽器に行って、
アンプ・スピーカーを買って来た。１５万円也。
　とにかくチャリティコンサート（ボランティア）が始まってからというもの、
お金が掛かること掛かること。
この前はプロジェクターを１１万円で買ったし、
ナビゲーターを９万円で買ったし・・・。
　「これで準備万端！」

２０１１・６・１２（日）　晴れ　のち曇り
　南三陸町の津波被災者約２００人が隣りの登米市東和地区で
避難生活をしている。
　今日、私は数ある避難所の一つ、
旧・東和町鱒渕小学校（廃校）におじゃました。。
この学校は廃校とはいえ、それはそれはとても立派な木造校舎である。
なんと学校を建ててすぐに町の合併があり、そして廃校になったそうだ。
だから、まだまだ新校舎なのだ。

　その校舎に越して来た避難者の一人がある日、こう言ったそうだ。
「テレビを見ていると、芸能人の方々は被災した町内にある避難所へは
いっぱい行くようだけれど、我々のように隣町に引っ越してきた、
そんな避難所へは誰も来てくれないのね」と。
　それを聞いた東和町の陶芸愛好会の方々が相談して
「団十郎に来てもらおう！」と言うことになったそうだ。

　そこでＰＭ２：００～３：４５まで『団十郎コンサート』をやった。
たぶん皆さんに喜んで頂けたと思う！？

２０１１・６・１１（土）　雨　のち晴れ
　今日は福井放送ラジオに電話での出演をする。そして
『ああ宮城県・第2章』と『夢を求めて』の２曲をかけてもらった。

　記事にはこう書いてあります。
　「ああ宮城県・第２章」を新たに録音。この日初披露し、
全国ツアーで歌っていく意向を明かした。

　とありますが、私はこう言ったのです。
　「全国で歌えたら良いですねぇ」って・・・。
そしたら「全国ツアーで歌って行く」って書かれたのね。
でも実際のところ、私には全国の何処からも出演の依頼は来ていません。
なのに私は今、とても宮城県に居づらいんですよ。

　それと、こうも書かれています。
　「負けてなるかと奮い立つ」と熱唱した。
左手の拳を突き上げ、約２５人の観客から拍手を浴びた。

　拳を突き上げ、熱唱した割りには「たった２５人の観客だげすかや？」
　んでもオラがお客さんを数えたところによると３０人はいたと思うよ。
それに、少しは私の立場も考えてくれたっていいじゃない。
（あまりにも正直な新聞記者さんなの）

２０１１６・９（木）　晴れ
　宮城県の偉大なロックシンガー、大友康平氏が
『ハガネのように花のように』と言う
東日本大震災復興チャリティソングを販売した。

　私にも『夢を求めて』と言う復興ソングがある。
ただし売上金を全部寄付しなさいと言われても困る。なぜなら
現在の私の場合、ＣＤ・ＤＶＤの売り上げ金は全部生活費に回るのだから・・・。
　そこで私は思う。有名な歌手のどなたか、団十郎の復興ソング、
『夢を求めて』を歌ってくれないでしょうか？　ただし
「この歌の利益に関しては、ほんの一部しか義援金には使われません。
多くは団十郎の生活費として使われます」
って言う条件で歌って下さいね。
（ちょっぴり　あわれな団十郎なの）

２０１１・６・３（金）　晴れ
　【仙台のＴさんからのメール】
　『ああ宮城県・第2章』を東北放送で聞きました。

　私の故郷は津波でほとんど滅亡しました。
両親と実家を亡くした私です。
現実は戻りません。でもその気持ちを『ああ宮城県』は
いくらかですが、穴を埋めてくれました。

仙台にいると実家は元通りで、地元に戻れば
両親はいるような気持ちでいますが、現地に行くと涙が止まりません。
私は46歳になるのですが恥ずかしいですね。

　私は行政関係に勤めていますが、全国から多くのボランティアの方々が
仙台、宮城を助けに来てくれます。
　震災以来休みはあまりないのですが、助けに来てくれた他都市の侍たちと
「ああ宮城県第2章」を励みに頑張っていきたいと思っています。
そこで、
アルバムＤＶＤ・６曲入り★『人生ラストスパート』を１枚お願いします。

團この度は大変辛い思いをなさっているんですね。
私には掛ける言葉がみつかりません。
ただ御両親の御冥福を心よりお祈り致します。

　【北海道のＯさんからのメール】
　こんばんは。
昨夜、くり万太郎のオールナイトニッポンで団十郎さんのお便りが
紹介されて、『ああ宮城県・第２章』が流れました。
　「ああ、昔こんな歌があったな～」って聞いていたら
とてもな懐かしくなりました。そして現在の宮城県を思う時、
応援をしたくなり、この歌を私の近場で広めたいなあと思い、
購入をさせていただきます。
　昔出演した「夜のヒットスタジオ」の映像を見ると、
唱歌のふるさと（うさぎ追いし・・）を感じました。
宮城の情景が脳裏に浮かびました。
　ＣＤ『ああ・宮城県・第２章』送って下さい。
楽しみしております。では・・・・さようなら

團くり万太郎さんがオールナイト・ニッポンで放送してくれたんですか。
それもかけてくれた曲と言うのが『ああ宮城県・第２章』なんですね。

　そうなんですよ。先日、第２章を郵送したんですよ。手紙を添えて・・・。
嬉しいですね。本当に・・・。
　「くり万さんに心より感謝！」

２０１１・５・２９（日）　雨
　栃木県塩谷町のトラック野郎（デコトラ仲間）達が企画して行なわれる
『東日本大震災・復興チャリティコンサート』に出演する。
ＰＭ１：００から４：１５まで。
　出演は栃木県在住の女性シンガー『えりのあ』と私。
　会場が体育館だったのだけれど、出来てまもない体育館だけあって、
造りはコンサートも出来るように出来ていて椅子も自動で出てくるのだ。
音響も完璧だったので気分良く歌えた。
それよりなにより、多くのトラック野郎達と友人になれたことが嬉しかった。

２０１１・５・２８（土）　雨
　友人の高鍬さんと会い、明日のコンサート会場の近く、
栃木県宇都宮のホテルへ移動。そして泊る。

２０１１・５・２７（金）　曇り　夕方から雨
　ＰＭ１：３０、東京大森のイトーヨーカ堂にいたら、携帯に
電話が入る。ニッカン・スポーツ新聞の記者からだった。
「今日のコンサートの取材をしたいんですが、
今すぐの取材は受けられますか？　今すぐ近くまで来てるんです」だって。
　５分後、イトーヨーカ堂のレストランで合流し、取材を受けた。
（これだけでも今回、東京に来た甲斐があったというものです）

　ＰＭ７：３０から東京大森のフォーク居酒屋『風に吹かれて』で
団十郎コンサートをやる。
　観客は私の友人たちとＨＰを見て駆けつけてくれた方々で
合計30人程度。
無理して座れば40人くらい入れるスペースだろうが30人だと
丁度良い感じで見れたはず。
　お客さんの中には元・ヤマハプロダクションの仲間同士だった
高岡美智子さんとＮＳＰの中村君が来てくれた。
「２人して俺のこと忘れないで来てくれたんですよ。嬉しいじゃないですか」

　またはラジオ番組の『欽ちゃんのド～ンと行ってみよう』で
欽ちゃんのパートナーだった、元・ニッポン放送アナウンサーの
木原早苗ちゃんや、元・ＴＢＳプロデューサーで『アッコにおまかせ』を
作った林原さん（現・富良野塾・副塾長）等も来てくれた。

　ヤマハプロダクションの著作権担当の方々も来てくれ、
本番直前に私の楽曲『下北半島』と『通り雨』と『さらばジャイアント馬場』と
『ああ宮城県・第２章』の著作権契約を交わし、サインをした。
　これで『下北半島』のヒットに向けて「オラは爆心するんだよ～」

　コンサートが終わったのは１０：００近くだった。
雨がザーザー降っていた。

２０１１・５・２０（金）　晴れ
　【ユタカちゃんからのメール】

　さっき、ニッポン放送で流れました♪聴きました♪
吉川さんが歌った「ああ宮城県」　、
さきほどオールナイトニッポンでかかりました。
♪いや～懐かしい！　やっぱ、これ名曲ですね！！
しかも、東日本大震災後の今もピッタリきます。
　くり万太郎さんが、
「大丈夫だったんでしょうか？お元気なんでしょうか？」
と声をかけてました。
で、あわてて、パソコンで検索して、いま、打ってます。
小生の記憶では、当時、僕は本も買って夢中になったはず。
でも、吉川さんはあっという間に故郷に帰られて・・・。
　お元気で何よりでした。ガンガン歌って、
宮城の人、東北の人、日本の心ある田舎者を勇気づけてください。
何とか、ＣＤ探して買い直します。

團オールナイトニッポンでかかったんですか。
それはそれは光栄です。くり万太郎さんによろしく・・・。

　是非、２７日に行なわれる、
東京大田区のフォーク居酒屋『風に吹かれて』での団十郎コンサート、
よろしければ見に来て下さい。

【東京のヤマちゃんからのメール】
　元マスコットボーイ、ヤマちゃんです。
団十郎さん！！！！東京にいらっしゃったんですかぁ～～～！！！
お会いしたかったです！！！！！
今日は、仕事でした・・・。明日は大丈夫だったんですが・・・・・。
　東京ライブ前後の日程はいかがお過ごしなんでしょか？
東京ライブの日＋次の日（金＋土）は残念ながら、
仕事の真っ最中ですぅ・・・・・。
でも、お会いしたいです！！！！！！
団十郎さんが、東京にいらっしゃる日取りに自分が合うときは、
必ず会いに行きます！！！！！
また、ご協力出来る事はいたします！！！
なんなりとお申し付けください！！！！！

　東京ライブ！絶対東京の団十郎ファンの皆さんが集まりますよ！！
みんな団十郎さんが大好きだったんですから！！！！！！

團東京へは撮影で行ったんです。
深夜バスで行って、午後５時のバスに乗って帰って来ました。
だから少しの余裕もなく撮影しておりました。
お陰で足が疲れ痛くなりました。

　27日の東京のコンサート、お客さん集まるでしょうか？
オラは無理だど思うな！？
んだって、ヤマちゃん来れないんでしょ！
それに34年振りのコンサートなんですよ。
そんでもって現在の私には動員力なんてまったくありません。
（ちょっぴり弱気な団十郎なの）

　【宮城県のヤマちゃんからのメールです】
　≪４月21日の投稿から一部抜粋≫
　わが宮城県には
ぴったりの応援歌があることに気がつきました。
言うまでもありません。団十郎さんの
「ああ宮城県」があるではないですか！
「ああ宮城県」は開発で変わり果てた故郷を嘆き、
頑張れ、負けるなとエールを送る歌でした。
これを震災や津波、原発事故に負けるなという歌詞に置き換えれば
これはそのままいまの東北への応援メッセージになります。
団十郎さんがそれを歌ってくだされば、
これはもう替え歌ではなく「ああ宮城県・震災復興バージョン」です。

團４月21日の日記に、私はこう返事を書きました。
「今回の大震災の件で、私の未熟な力では『ああ宮城県』の
復興バージョンを作るなんてとても無理です」って・・・。
しかし、あまりにも多い皆さんからの期待に驚くと同時に、
「これができなければプロのライターとして情けないことなのかも・・・」
と思うようになったのです。
　それで一念発起して遂に完成させました。
タイトルは『ああ宮城県・第２章』です。
皆さんの期待に応えられたかどうかは分かりませんが
ＣＤ・ＤＶＤにして仕上げました。
しかし残念なことにこの楽曲は著作権登録されている関係上、
ＨＰでの無料公開はできません。そこで、止むをえず、ＣＤ・ＤＶＤとして
私が販売することにしました。
定価はＣＤ・ＤＶＤのどちらも千円にしました。
　それと近々、アイチューン（ヤマハ）からの
ダウンロード販売も可能になります。
たぶん１５０円だと思います。（これが一番安い入手方法ですね）

　そんな訳で「宮城のヤマちゃん、アドバイスをありがとう・・・」
（心より感謝！）

２０１１・５・８（日）　晴れ　いちじ雷雨　のち強風　のち晴れ

２０１１・５・３（火）　晴れ　のち曇り
　〔地震から５４日目〕
　今日は石巻市イオンモールのサテライトスタジオ『緑の広場』で
復興コンサートをやった。
　主催は石巻市内に芸能企画会社を経営する『エンタープライズ真野』。
　社長の真野さんも被災者である。
事務所が天井まで水没してしまったそうだ。
その真野さんから私は『チャリティでやってよ』と出演依頼を頂いたので、
ありがたく参加させて頂いた。

　

　石巻イオン・復興コンサートで熱唱する歌手
　『金滝昇（かねだき　しょう）』君。

　石巻の帰り道、仙台の氏家君の家に寄り、
私が作った復興祈念曲『夢を求めて』の映像（ＤＶＤ）の編集チェックをやった。
私としては「この程度の仕上がりが限界かな」と思う。

　レコーディングは明後日、ＫＥＮＮＹが
東京から我が家に来てくれて行なうことになった。
　何が何でも今月２７日に東京の『風に吹かれて』でやる団十郎コンサート
までに完成させなくてはならない。

２０１１・５・２（月）　晴れ
　〔地震から５３日目〕
　【ヒロちゃんからのメール】
　この度の震災に遭われましたことを、心からお見舞い申し上げます。
私は、東京の練馬に住む34歳会社員です。
団十郎さんは、小さいころ見た映画「トラック野郎」で存じておりました.
実は震災５日前に、仙台を訪れたばかりでした。
震災後、あいた口が塞がないというか、
テレビを見るにつけ、ただ、ただ涙していました。
仙台に滞在し、帰京した後もずーっと「ああ宮城県」の節が
頭の中を廻っていたので、団十郎さんの名前をネットで検索しました。
　遅すぎますが、そこではじめてホームページがあることを知りました。
それ以来、毎日視させていただいております。
自ら被災しながら、ネットを視る私たちに伝えて頂いたことに感謝しつくせません。
ああ宮城県。郷土愛に満ちたこのタイトルは、復興のスローガンだと思います。
いろいろご心配事やご苦労があるかと思いますが、
宮城の団十郎さんが元気なればこそ、宮城県は元気になれると思います。
ああ宮城県！！負けるな団十郎！！
いまさらですが、私からのエールです。

團わざわざメールをありがとう。
34歳で団十郎を知っているとは珍しいです。なぜなら34歳ということは
私が芸能界を引退した年にあなたが生まれたことになるんですよ。
　それもこれも映画『トラック野郎』のおかげですね。

　ところで今度、私は東京でコンサートをやります。
『東日本大震災復興チャリティ･コンサート』です。
（詳しいタイトルは未定です）
場所は大田区のフォーク居酒屋『風に吹かれて』
５月２７日の金曜日なの。

　是非、コンサート聴きに来て下さい。
んだってオラ、東京に知り合い少ないんだもん。
お客さんガラガラだったら　みっともないじゃない。

２０１１・５・１（日）　晴れ
　〔地震から５２日目〕
　今日はまずこの写真から見て下さい。

　

　　『南三陸町にて撮影』
　建物には魚獲り用の網や浮き輪が覆い被さっている。
　そして、地盤沈下のためか、海水の引きが悪いようだ。
　しかし、玄関には「ふんばれ」（右端）のスローガンが見え、
　復興への希望がのぞく。

　この写真は4月25日に南三陸町（志津川）に行って撮って来たものです。
　それでは次に今日のこの新聞の記事を読んで下さい。
　そしたら、私の写真に写っている建物が
新聞記事に登場する『三浦保志さん』のお店だったんですね。
　私はこの記事を読んでとても感動しました。
　「ふんばれ三浦さん！　ふんばれ！南三陸町！」

２０１１．４．２９（金）　晴れ
　〔地震から５０日目〕
　地震で移動してしまった陶芸窯を元に戻そうと思い、
陶芸窯販売店に電話を入れたら、
東日本の陶芸家の多くの窯が潰れたり、大きくズレたりしてしまい
何処も大変らしい。だから今頃電話した私の所には
すぐには修理に来れないと言われてしまう。

　やはり何処の窯もズレてしまったと言う事は
今回の地震の揺れがよほど大きかったと言う事だろう。
　そこで仕方なく、私は自分でやることにした。
　兄貴からジャッキを借りてきて、ジャッキ２本で動かそうとしたが
私と奥さんとでは窯が重すぎてさっぱり動かない。
そこで近所から人でを借りて、ヨイショ・ヨイショと押して
なんとか元に戻すことに成功した。

　さて、明日の仕事は壊れた屋根の瓦とトタンを修理しようと思う。

２０１１・４・２８（木）　晴れ
　〔地震から４９日目〕
　震災後に失業した人で失業手当を受ける手続きをした人の数が
宮城・岩手・福島だけで計約７万人に上ることが
２８日、各労働局のまとめで分かったそうだ。

　でもこの人数は失業保険に加入していた人達って言うことだよね。
我々みたいな個人経営者は7万人の中に入っていません。
だから実際にはもっともっと多いはずです。
　現在の私も失業者みたいなもんです。

　ところで今日、建築士の方に仕事場・展示室などをみてもらったら、
家屋の壊れ具合がかなり酷いそうだ。

　それと仕事場に設置している陶芸窯が震動のせいで
かなりズレていた。そのことは、今日初めて気付いたのだが、
はっきり言ってショックだった。
　このままでは次の地震で
更にズレたりすると基礎からハズレ、窯が横倒しになる危険性がある。

　ところで、窯の重量がかなりあるので
「どうやって元の位置に戻そうか？」と悩んでいる。
　やはり窯屋さんに依頼するしかないのかな？

　いっその事、俺も陶芸、廃業するかな。
ただし失業保険は出ないけど・・・。
　だから皆さん、「団ちゃん頑張れ！」なんて言わないでね。
んだってオラ、もう頑張れないの。
（ちょっぴり弱気な団十郎なの）

２０１１・４・２７（水）　早朝は雨　のち晴れ
　〔地震から４８日目〕
　昨夜、名取市に住む友人が遊びに来た。
それで私は
「ユリアゲに行きたいんだけど、まだ入らんねんだよね？」
って聞いたら、
「正面からは入られないけど、脇道からなら入れるよ」だって。
それで今日、早速私は出かけてきました。

　ユリアゲ海岸から西の方角へは延々と平野が続く。
山のある所まで行くには10キロはあるはず。
だからこそ名取平野に滑走路（仙台空港）が出来たのだ。
　そんな訳で今回のように高い津波が襲って来たときには
逃げても逃げても、何処までも何処までも
津波が追い駆けて来ることになる。
到底、車無しでは逃げ切れない。

　早速、ユリアゲ町内に入って行ったと思ったら、
あっと言う間に日和山に着いてしまった。
これまでなら山が低すぎてほとんど目立たない山だったけど
今回ばかりは凄く目立っている。
それくらい山の周囲は何も無くなっていた。

　ユリアゲ海岸の近くにある、唯一の山が『日和山』
しかしこの山は人工の山で高さが９ｍくらいだ。
その日和山の下、海抜４ｍくらいの平地に延々と一般住宅が続いている。

　日和山周辺にはアマチュアバンド時代の友人（メンバー）の家が
２軒あったのに完璧に無くなってしまい、
家の基礎のコンクリートだけが残っていた。
それがとても哀れでならない。
　その他の友人達の家も何処にあったのかも分からなくなるほど
まったく目印になる物が残っていなくて探し当てられない。

　本来なら日和山から見えるはずの無い増田地区が見えている。
それほどまでに見晴らしが良くなってしまったという事なのだ。
だから、被害を見に来た人達は必ずこの日和山に登って町跡を眺め、
そして合掌をして行く。

　今現在、瓦礫の撤去と更地に戻す作業が急ピッチで進められている。
すでに２割くらいは更地に戻っていた。
そして瓦礫は海水浴場のある砂浜に
凄い数のダンプカーが沢山運んでは積み上げ、往復している。
その積み上げられた瓦礫の山は現在、かなり高い山になっていた。

　日和山にはフジテレビが撮影に来ていた。

　ＰＭ２：００に我が家へ地震保険の担当者が被害を見に来るというので、
急いで家に帰ることにした。

　

　１、岸壁近くの店。何処かの船が打ち上げられている。

　

　２、日和山から。消えてしまった街並み。

　

　３、日和山から。

２０１１・４・２５（月）　晴れ　のち雷雨　のち晴れ

　ＡＭ２：３０起床。
　氏家君と二人で南三陸町（志津川）へ行く。
　６：００、398号線を走行し山越えをしていると
高台に志津川福祉センターの建物があった。
するとその施設の周りには潰れた車が散らばっていた。
それで私は
「津波に浸かった車をここに運んで来て置いでいるのがや？」
と言ったはいいが、どうも様子がオカシイ。
それで車を止めてよくよく施設を見たら、なんとここの施設まで
津波は到達して施設の中のすべてを破壊していたではないか。
　なんと恐ろしい事だ。この施設はかなりの高台に建っていて
誰が考えたって「ここまで逃げて来れば絶対に安心」と思うはず。
なのにこの高台の施設（平屋建て）の
天井すれすれまで浸水していたとは。
ここには老人ホーム・ディサービス・のぞみ園などの
福祉施設が集合されていたと言うのに・・・。

　この高台から下に広がる
南三陸町志津川地区中心街を眺めて「あっ！」と驚く。
見渡す限り瓦礫の山・山・山。
見えているのは数える程度のコンクリートの施設だけ。
この眺めだけで志津川の９割が壊滅したと言う話が見てとれる。
そしてその瓦礫の中の一画にポツンと建っている鉄筋の施設。
そこがテレビで何度も紹介された『防災対策庁舎』である。
職員の女性が３階からマイクに向かって最期まで
「皆さん避難して下さい」と叫び続けていたと言うではないか。
　今私はその場所に立ち、その情景を想像しただけで
沢山の涙が溢れてしまう。

　

　１、『防災対策庁舎』

　今回の津波の大きさは３階建ての屋上にいても助からなかったそうだ。
それなのに津波に襲われ流されて行く方角には
３階建て以上の施設はまったく無い。
助かる方法は遥か彼方の山に辿り着くことだけ！？

　

　２、津波はこの３階建ての屋上をも越えた。

　８：３０、志津川を出発。
すると車の後輪のエアーが少なくなっている。
　「こりゃ～、困ったぞ。パンクしたみたい」

　津谷町内の小さなガソリンスタンドが開いていたので
タイヤをチェックしてもらった。そしたら
見事にクギが２本も刺さっていた。パンク修理をお願いする。

　私はこうして幾度も
被災地ばかりを走っているからパンクしたんだろう。
　被災地の道路の瓦礫は退けてあるのだが
道に散らばった釘までは片付けていない。
これだと瓦礫撤去作業に携わる自衛隊の車やダンプカーは
これまで何度もパンクしているかも。

　パンク修理が終わり、再出発。

　４５号線を北上し本吉町の手前の海岸通りを走っていると
気仙沼線（電車）の高架橋が見えてきた。
しかしその姿は見るも無残となっていた。

　

　３、気仙沼線（ＪＲ）の高架橋。
　　　１日も早いＪＲ線の復興を願う。

　

　４、線路の上には民家が。

　撮影後、今度は気仙沼市の鹿折地区に行く。
前回行った時は曇り空だったので晴れた天気の時に
撮影したかったのだ。
　今日はとても良い天気。しかし道に迷っている間に
ダンダンと雲が増えてきた。
　到着と同時に急いで撮影を開始。

　瓦礫の中を一生懸命に捜索している京都府警の
人達がいた。たぶんこの方々は行方不明者を
捜しているのだろう。
　私は日本人による死者への尊厳・畏敬の念の素晴らしさに感動した。
大震災から４６日経過していてもこうして丁寧に瓦礫の中を捜してくれている。
たぶん他所の国なら、既に見切りをつけて、撤去、
そして、復興の方向に動いているかもしれない。

　

　５、京都府警による行方不明者の捜索中。

　

　６、木蓮が咲きました。

　

　７、まるでジョーズみたい。

　１２：５０、「さあ、帰るぞ～」と行って車を走らす。
すると突然、強い雨が降リ出す。
　１２・５５、雨は雷雨に変わった。
　「なんて、俺たちはついているのだろう。いつもこうなのだ」

２０１１・４・２４（日）　晴れ
　〔地震から４５日目〕
　今日、栃木県塩谷町から５人の男衆が我が家にやってきた。
私が出演した映画『トラック野郎』の大ファンだそうだ。
それで彼らが今度、主催者となって
『東日本大震災復興チャリティコンサート』
を塩谷町でやりたいとの事。
それで今日、我が家へ打ち合わせに来た。
　私は喜んで参加することにした。
　出演は団十郎と『えりのあ』と言う栃木で有名な
シンガー･ソング･ライターだ。

　コンサートは５月２９日（日）
　時間：１３：００から
　会場：塩屋町立塩谷中学校アリーナ
　入場料：千円以上
　主催：零進会　協力：歌麿会　ＴＯＣＨＩＧＩ＆ＪＡＰＡＮ
　問い合わせ先：　０８０・５５１２・２１０２　室井（むろい）さん

　

２０１１・４・２３（土）　雨
　〔地震から４４日目〕
　大震災で仕事場の棚や硝子や焼き物が倒れて壊れた。
でもその後も相変わらず震度５くらいの地震が続いていたので
歩ける程度に片付けてそのままにしていた。
　しかし最近では地震も震度４くらいになってきたので
今日から片付けを始めた。
そしたら倒れたラックの中にカセットテープが沢山あった。
それでそれら全部を捨てることにした。だって我が家には
カセットをかけるデッキがすでにない。しかしテープ１本１本に
思い出があって捨てるにも結構時間がかかるものだ。

　今日はこの写真を見て下さい。
写真に写っている被災地は我が故郷名取市のユリアゲ地区です。
私はここに入って行きたいのですが一般車両は通行禁止になっています。
　ここにはかなりの街並があったのです。
それがまったく無くなってしまったみたいですね。
勿論私の友人達の家も見えません。
遠くに見える入り江の水辺で私は子供の頃、
夏になると毎年泳いでいたのです。

　その他の写真も見ていた私はいつのまにか拳を握って
力んでいました。

２０１１・４・２２（金）　曇り　夕方から雨
　〔地震から４３日目〕
　福島原発の隣町に浪江町がある。
そこは大堀相馬焼の産地。そこの窯元には友人達がいる。
　浪江町は現在強制避難地域となった。
心配で以前から電話を何度も入れているが
まったく何処の家も繋がらない。どうやら住民はいないみたいだ。
携帯電話番号を聞いていなかったのが悔やまれる。

　女川町にある福祉施設の園長さんと友達だ。
心配で電話を入れてみた。そしたら
施設の駐車場の前で津波は止まったそうだ。
　とりあえず園長の元気な声が聞けて一安心。

２０１１・４・２１（木）　晴れ
　〔地震から４２日目〕

　【ヤマちゃんからのメールです】
突然のメールで失礼します。いつもＨＰを拝見させていただいています。
今回の震災に関しての日記も毎日拝見しています。
　最近よく坂本九さんの「上を向いて歩こう」
をテレビなどでよく耳にしますが、よく考えてみるとわが宮城県には
もっとぴったりの応援歌があることに気がつきました。
言うまでもありません。団十郎さんの
「ああ宮城県」があるではないですか！
「ああ宮城県」は開発で変わり果てた故郷を嘆き、
頑張れ、負けるなとエールを送る歌でした。
これを震災や津波、原発事故に負けるなという歌詞に置き換えれば
これはそのままいまの東北への応援メッセージになります。
団十郎さんがそれを歌ってくだされば、
これはもう替え歌ではなく「ああ宮城県・震災復興バージョン」です。
私はそれが聴きたい。何年か前の旅番組で、
岩手宮城内陸地震の被災地で大友康平さんと高橋ジョージさんが
「ああ宮城県」を熱唱していました。宮城県人にとって
これ以上の応援歌はありません。同じ思いの人は沢山いるはずです。
団十郎さん、お願いします。「ああ、宮城県」でみんなに元気をください。
もちろん、「ああ岩手県」「ああ福島県」も・・・。
テレビやラジオから「ダンダンズビズビ・・・」が聴こえてきたら、
宮城県はもっと元気になれるような気がします。
よろしくお願いします。

　貴兄や皆さんの期待に応えられるかどうかは分かりませんが
この仕上がったＤＶＤをまず友人達に見てもらい、感想を頂き、
その中の一人でも「問題がある」と言ったら公開はしないつもりです。

　ところで編集担当の氏家君は今一生懸命ガンバッテくれています。
今回ばっかりはチョットでも映像の使い方を間違ってしまうと多くの方から
お叱りを受けてしまいますので氏家君は緊張してやってくれています。

　〔地震から４１日目〕
　今日のニュースはこれです。まず最初に記事を読んで下さい。
　
　遺体の収容作業、辛いでしょうね。
　この自衛官の気持ち、なんとなく分かるな～。
ただ、本当に任務につきたくないんだったら辞めるしかないでしょう。
　「捕まったら被災地に行かなくて済むと思った」なんて言うけど、
命令に背いたりこんなことして捕まったら懲戒免職でしょう。
だったら最初から辞めるしかないんだよね。可哀相だけど。

　大震災による会社の倒産が増えているようですね。
スナックなんかでもお客さんが激減したそうですよ。

２０１１・４・１９（火）　雨　のち雪
　〔地震から４０日目〕
　一昨日の日記を読んで頂き、同情をしてくれた方々から
焼き物・絵・DVDの注文がきました。
　「ありがとうございます。この御礼はいつの日か
私に余裕ができた折に必ず社会へ還元致します」

　そこで早速、花瓶を買いに来てくれた方に私は質問しました。
　「地震が連日続いている時に、花瓶買っていって大丈夫ですか？
心配になりませんか？　我が家では花瓶が何個も壊れていますよ」
　そしたら「大丈夫です。心配しないで下さい」だって。
　私は土下座して御礼を言いたい気分でした。
そして落ちそうになる涙を必死で堪えた。
（ちょっぴり涙もろくなった団十郎なの）

　そこで、メールで注文くれた皆様に一言失礼ながら言わせてもらいます。
今後、お買い上げの御礼はこの日記には書きませんので
御理解下さい。そうしないと
「団十郎は同情を煽って売ろうとしている」と言われかねませんので。
それと今後一切同情では買わないで下さい。
必要な物を必要な時にだけお買い上げ下さい。
　“男団十郎、腐っても蛸です”

　私としてはこれからも可能な範囲で日記には本音を書きたいのです。
苦しいことや嬉しいことや愚かなことや何でもかんでもありのままを・・・。
でも苦しいことを書いたためにファンに無駄な買い物をさせたとあっては
情けないじゃないですか。
　“男団十郎、たとえカビても抗生物質です”　
（ちょっぴり意味不明になってきた団十郎なの）

２０１１・４・１８（月）　AMは曇り　PMは晴れ
　〔地震から３９日目〕
　AM４：００、起床。
　今日は氏家君と相馬方面へ撮影に行くことにした。
途中の丸森町に住む陶芸家仲間の高橋君ちに寄り、
被災地用救援物資（配達してもらう）を
玄関口に置いて行く。（早朝なのでまだ寝ているため）

　丸森町は福島県との県境の町でかなり山が深い。
峠を越えて走っていると山のテッペン付近で『進入禁止』になっていた。
地震で山が崩れているのかも・・・。
　進入禁止でないほうの道を進む。ところが途中から道が狭くなったり、
分かれ道ではどっちに行けば良いのか分からなくなる。
４０分くらい彷徨って、結局着いた所がスタートした高橋君の所だった。
結局、元の木阿弥。深い山を１周していたと言う事だ。
（時間がもったいない）

　被災地現場は９時頃になると一般車両が入れなくなる所が多いみたい。
でも作業前と後なら進入禁止になっていないので出入りは自由。
だから少しでも早く海岸に辿り着きたかった。
　７：００、相馬港に到着。
　相馬港付近はかなり瓦礫の撤去が進んでいて
自由に出入りできるみたい。

　相馬港から海岸線を北上する。
途中、道路が寸断されていて先へ進めなくなる。

　

　１、相馬港の近く（駒が嶺）

　回り道をして新地駅（常磐線）へ行く。
すると、なんとグニャグニャに曲がった線路や電車の姿があるではないか。
これでは、いつ常磐線が開通するのか予想もつかない。
常磐線は宮城・福島の海岸線に沿って走っているので何ヶ所も
こういう状態になっているのかも・・・。
いやそれ以上の問題があって前線開通は５年たっても無理！
そうなんです。常磐線は原発のある町を走っているのだから。

　

　２、新地駅前の潰れた電車

　

　３、嗚呼！　常磐線。こんな遠い所まで流されてきた線路。

　新地駅の次に向かった先は山元町。
（山下町と坂元町が合併して山元町となった）
　ここには陶芸仲間の『海望窯・木下さん』が住んでいた。
しかし彼の仕事場と自宅の両方とも津波に潰されてしまい
現在は盛岡に避難中。
残念ながら彼の家の所までは通行禁止の為、辿り着けなかった。
あきらめる。

　氏家君が仙台空港を見たがっているので行ってみる。
するともう自由に入って行けるようになっていた。
　空港は米軍が救援に来てくれ必死の作業で開通してくれた。だから
先日撮影に来た時とはまったく違い、瓦礫の山の一切が無くなっている。
まるであの津波が嘘みたいに綺麗だ。「ありがとう米軍！」

　飛行場の東にある相の釜海岸と北釜海岸へ撮影に行く。
　相の釜には民間経営の空港パーキングが沢山あった。
私の友人Aさんもその一画で駐車場を経営していた。
あの地震の時、Aさんはあわてて飛行場に逃げ込んだそうだ。
そして間一髪、幸運にも一命を取り留めたとの事。
隣りに住んでいた方は不運にも逃げ遅れて亡くなったらしい。
　Aさんは「仕事も自宅も車も流されて全てを失なった」とガッカリしている。
（パーキング経営は借地でやっていた）

　ところで、私は４１年前。
この相の釜地区の友人の家の庭を借りてレコーディングをした事がある。
『帰って来たヨッパイ』が大ヒットした２年後だった。
その『帰って来たヨッパライ』のお陰で
アマチュアでもレコードをプレスできると言う事がわかった。
そして同時に『アングラレコード』という言葉を知った。
現在で言うインディーズである。
　自分達で録音したテープを東京（高田馬場）に持参して行けば
レコード盤にしてもらえるというので
我々バンドはオリジナル曲をレコーディングすることにした。
しかしその時代の東北には放送局以外録音スタジオなんて１ヶ所もなかった。
そこで、当時としては高価なテープデッキを持っていた
友人のSさんの庭を借りて録音することにした。
　なぜ庭で録音したのかと言うと、
家の中で録音すると音が吸収されないでドタバタ・ドタバタと汚い音になる。
それに対し、外でやると音が逃げて行ってとても鮮明に録音ができた。

　庭にマイク２本だけを置いて録音をする。これは大変なことである。
だってその２本のマイクだけで
４つの楽器と３人のボーカルの音、すべてを拾うのだから。
バランスをとるのが至難の業だった。

　さて話を戻そう。
　そのレコーディングさせてもらった友人の家はもう流されてしまっていた。
　とにかく、今後、この相の釜・北釜周辺には
住宅は建てさせられないかもしれない。
あまりにも海が近くて砂地なんだもの。

　穏やかな海を撮影して今日は帰ることにした。

　１２:３０、今度は大河原町白石川河川敷に行き
満開の桜を撮影することにした。

　

　４、大河原河川敷。このようなホンワカとした写真も載せないとね。

　

　５、青春の頃。

　

　６、桜の下で一眠り。

　PM４時、帰宅。

　ところで、『被災地撮影の巻』もいよいよ終盤になった。
いつまでも金にならない撮影ばっかりをしていたんでは生活していけない。

　昨日のところに書いたけど、どうして私の人生は
こんなにもドラマチックなんだろう。『喜劇。そして悲劇』
だから私は１日も早く新たな人生をスタートさせなくてはいけない。
老いたチャレンジャーとなって。

　“嗚呼！人生のラストロードは狭くて長い。
果たして笑顔でゴールを切れるのか？
その答えは誰も知らない”

２０１１・４・１７（日）　快晴
　〔地震から３８日目〕
　東北でもかなり大きい旅行会社が大震災から
たったの２週間で会社の解散を宣言した。
倒産する前に解散をしたという事だろう。
　震度４クラスの地震が毎日のように東北で続いていれば
修学旅行や慰安旅行や観光で東北には来ないだろうし、
当然、放射能で外国からも来ないだろうし、
まして東北人は旅行どころではない。

　イベント会社・企画会社が倒産している。
　大震災後、暫くは自治体も会社も町内会も
行事や祭りはやらないだろうし、既に決めてあった
３月～４月の歌謡コンサート等はすべて中止になり
イベント会社はチケットの払い戻しで大変なことになっている。
たとえ今後コンサートが催されてもチャリティーなので
タレントもイベント会社もノーギャラになる。
　とにかく今回の災害では公務員と大企業以外、
多くの中小企業で経営危機に陥ることになるかも。

　私は地震から３日目の真夜中、寝ている時にその事に気付いた。
「これは大変だぞ。俺はこれから１年くらいは無収入になってしまう」
でも１年で元に戻れるならいいが、３年くらいは尾を引くだろう。
つまり私は長いこと
宮城県だけで収入を得てきた100％ローカルのタレントだ。
そして私が手にしている職業は芸術・芸能のたぐいである。
それらの仕事は全て世の中が平和であってこそお金になるのだ。
不景気や災害時にはまったく収入に繋がらないと来たもんだ。
　今回、つくづく思ったね。
「俺のやってきた仕事は全部キリギリスだった」と・・・。

　その事に気付いた真夜中。寝ていて凄い汗をかいた。
でもその時に決めた。「このことは1ヶ月間は口にしない」と。
　そうしないと必ず言われるだろう。
「皆が大変な時に団十郎は自分の事しか考えない男だ」と。
だからＨＰもノンキに装ってきた。

　あれから1ヶ月が過ぎた。そろそろ自分の収入の道も考えないと
大変なことになる。
　んだって、大震災から1ヶ月経って、我が家の売り上げが
たったの2,000円（ＣＤ・ＤＶＤ各１枚）だけなんだおん。
焼き物だって売れません。
こう毎日地震が続いたら誰が高い焼き物買うの？
つまり焼き物屋は観光の仕事なんですよ。
　以上の事を考えると、この私もりっぱな２次被害者なのだ。

　3月29日の日記に
「ＣＤを郵便局に出しに入ったら激甚災害地指定で無料だった。云々」
と書いたら、お叱りのメールを頂いた。「お前ら夫婦は馬鹿か！」と。
しかし私は思う。私は何も違反行為をしたり悪用した訳ではない。
その時点では郵便局しか機能していなかっただけである。
　郵便局が有料であれ無料であれ私は商売として何度でも
郵便局を利用するしか手段がなかったのです。
ただそれをユニークに書いたから怒られてしまったのだと思う。
（やっぱり俺ってお調子もんなんですね。御免なさい）

　さて俺はこの危機をどうやって打破すればよいのだろう？
６３歳にもなって・・・。せめて５０代前半ならなんとかなったかも・・・。
とにかく冗談抜きで人生最大の危機である。

　もちろんボランティアもどんどんやるけど
収入になるステージも考えないとね。

　２０１１・４・１６（土）　晴れ
　〔地震から３７日目〕
　２０年くらい前の話である。
　芳賀さんと言う７０歳を過ぎた爺さんがいた。
その芳賀さんに私は質問した。
　「人生って短いですか？　それとも長いですか？」。
すると芳賀さんは「長いねぇ」と答えた。
　その答えは私にとって意外であった。
これまでいろんな方に同じ質問をしてきて初めて聞いた答えである。
つまり芳賀さん以外全員「人生は短い」だったからだ。

　芳賀さんの意味が分からないまま２０年が過ぎ私は６３歳になった。
そして今、私は芳賀さんの答えの意味がやっと分かるようになった。
もし、東日本大震災にも遭わずそのまま順風満帆に
人生をまっとうしていたら、「人生は短い」と行って死んで行けただろう。
でも今の私はこう答える。「人生は長い」と。

　私は３月１１日をもって新たな試練に立ち向かわなければならなくなった。
それは私にとって人生最大の難関である。　〔続く〕

２０１１・４・１５（金）　晴れ
　〔地震から３６日目〕
　今日はまずこの記事を読んでみて下さい。

　私の場合の話だがＨＰに『ボランティア』をやっている事を
書かないでいたらお叱りのメールが届いた。そんで書けば書いたで
今度は私のところに物資が届くようになった。
そこでお願いです。「私は物資の窓口にはなっていません」
　例えば、自転車やバイクを私に届けられても私にはトラックも無いし、
トラックをレンタルして高速道を走って届けるには1往復２万円もかかる。
それを地元の友達に頼めば今度はその友達が２万円かかるのです。
それと我が家に送られてきたあらゆる衣類、
その全てをさばこうにも「欲しい人達を捜し当てるのが困難なんです」。
それで簡単に済まそうと思い、勝手に避難所に持って行っても、
もう間に合っている場合が多いらしいです。
そこで現在支援物資を私に送ろうと思っている方は私のところではなく
下記に送って下さい。お願いします。ただし何が必要かを確認してから
送って下さいね。

●宮城県復興支援センター
【募集する物資】
○敷布団※急募
○衣類(子供服・下着を含)
○オムツ・生理用品
○その他

これらの物資は宮城県復興支援センター
http://www.gakuwarinet.com/ganbaro
を通じて、宮城県内の避難所、もしくは家は残っていて
出歩けない状況の方に必要に応じて届けられます。
まずは支援していただける方、連絡をもらえると幸いです。
●宮城復興支援センター
〒983-0861宮城県仙台市宮城野区鉄砲町246-3
連絡先：022-256-2231

２０１１・４・１４（木）　晴れ
　〔地震から３５日目〕
　今日は亘理町鳥の海・名取市ゆりあげ・岩沼市蒲崎へ
某マスコミの記者さんを連れて視察に行く。
　震災から１ヶ月以上も経過しているせいか
亘理・岩沼の瓦礫はだいぶ撤去されてきている。
とは言うものの名取市ユリアゲ地区は規模が大き過ぎて、
まだまだ瓦礫が沢山残っている。それと行方不明者の数が
未だに1,000人もいるそうだ。
だからユリアゲの中心地は進入禁止になっている。

　３月11日は地震が起きると同時に停電になった。だから私は
テレビを見ていなかったのだが、被災県でない人達は
テレビで津波の中継を見ていたそうだ。
その実況中継の映像が今、ＹＯＵ　ＴＵＢＵで見れる。
私はその映像を見てショックを受けた。と言うのも
ＮＨＫテレビがヘリコプターを飛ばして放映していた場所というのが
我が古里の名取市（名取川河口付近のユリアゲ地区）であった。
　津波がユリアゲの中心街をいとも簡単に飲み込み
東高速道路方面に向かって行く様子・・・。
そこは私が青春時代に遊び回った思い出の場所であり、
次々と友人の家が破壊されて行く。
　「ここ○○君の家だ。今度は○○さんの家が危ない・・・」
なんて言いながら見ているしか術がない。
これはとんでもなく残酷な映像である。
それとその映像に映っている津波の中にはユリアゲの住民5,000人の内
2,000人近くが確実に飲み込まれているようだ。
その中には私と奥さんの友人知人もいる。
（死者900人以上。行方不明者1,000人）
　なんとなんと断腸の思いである。

２０２２・４・１１（月）　曇り　のち雨
　〔地震から３２日目、震災から丁度１ヶ月目〕
　深夜の２時に起床。氏家君ちへ行く。
今日は陸前高田市と気仙沼、南三陸町へ。
　東北高速道は４日前の地震のせいで一ノ関までしか走れないそうだ。
でも幸いなことに一ノ関インターで降り、陸前高田市に行くコースである。
　高速道は５０キロ制限になっていた。
　古川あたりから急にガスがかかっているのと夜中なので
スピードをおさせて走っていた。なのに突然、道路の段差にガッターン。
そしたら４日前の地震で高速道に段差ができたみたい。
（スピード出していたら大変な事になってたかも！？）
　
　朝６時、山を越えて高田市に入る。
　一ノ関～大船渡線『竹駒駅』の線路が見えてきた。すると突然、
線路の上に車が乗っかっているのが見えた。しかし車道は無い。
　「あれっ、もしかしてここまで津波が来たの？」
不思議がっていると、
その先には信じられない瓦礫の光景が飛び込んで来た。
　「こんな山の所まで津波が押し寄せてきたんだぁ」

　高田市１番の繁華街に入る。するとこれまで私が見てきた。
何処の被災地より激しいインパクトのある
瓦礫の光景が広がっていた。瓦礫と言っても
ここまでの粉々は有り得ないだろう。
例えば住宅の解体業者だってここまで細くは解体しないだろうに・・・。
それに津波にのまれた車の壊れ方も尋常じゃない。
これまで見てきた地域の車は「津波に運ばれた」って感じだったけど、
この地域の車は「津波に潰された」って感じである。
ではなぜこんなにも石巻以南と以北の潰れ方に違いがあるのだろう？
答えは簡単だった。震源地が三陸だったからだ！？

　松林近くにあった高田市の野球場は完全に水没している。
巨大な照明塔４本（四方）だけが哀れに立っていた。

　野球場の隣りには日本の松原１００選にも選ばれている
『高田の松原（７万本）』がある。
しかしその７万本の松林は完全に水没してしまい
ホンのちょっとの砂浜が水面に見えているだけ。その中で
津波に耐えたたった１本の奇跡の松が凛とたくましく立っていた。
私はこの松に会いたくて、ここ高田市にやってきたのである。
　「団十郎は物見遊山に写真を撮りまくってふざけている。
お前は馬鹿か？」
とお叱りを頂いたことがある。
しかし、何と言われようが私はこの松に会いたかった。
「馬鹿か？」と言われても会いたかった理由は、たぶん、
フリーではあるがマスコミやカメラマンとして生きている
レポーター団十郎としての性なのかもしれない。

　その１本の松を見ているとき、突如上空にヘリコプターの音、
するとそのヘリコプターは低空飛行になり、水面を何度となく
覗くようにゆっくりと繰り返し飛んでいるではないか。
私の勝手な判断ではあるが、行方不明者の捜索かも・・・。

　次に気仙沼市に行く。すると驚く光景が目に入った。
これは何だ？　高田市より凄い光景だ。瓦礫の山・山・山。
そして打ち上げられた船の大きさに圧倒される。
ここ気仙沼は遠洋漁業のメッカだ。
それだけに船の大きさが半端ではない。
まるで宇宙戦艦ヤマトの世界である。
この巨大な船が山の所まで運ばれて来たのだから驚いた。
それと同時に気仙沼の悲惨な理由はこれだ。
オイルコンビナートから油が海や街に流れたために
海面や街中が火の海となってしまった。

　今回の地震で地盤沈下がおき、７６ｃｍも低くなったそうだ。
だから満潮時には漁市場などには海水が上がって来ると言う。
やはり震源地に近いだけあってここでも地盤沈下がおきている。

　私は気仙沼に沢山の友人がいる。
　魚市場の近くの弁天町商店街で商売をしていた親友の家を捜す。
しかし道の途中、海水が引かず車では辿り着けなかった。
　話ではその店は火事になり跡形も無くなっているそうだ。

　次に向かったのは田中前地区で商売をしている親友である。
　この友人の店は９０ｃｍも冠水したそうだ。
　友人の社長は会社の復興に向けて
従業員達と店内の清掃中だった。
その社長が言う、「高田市の店舗２つと釜石の店舗１つが潰れたよ。
それと気仙沼の工場もね」
　本当に気のどくである。しかしこの社長は絶対に復活させる男だ。
それだけのパワーを持っている。（年齢は俺と同じね）

　２時になって雨が降り出してきた。そして急に寒くなる。
　次に南三陸町に行くつもりだった。
ここにはイスラエルから医療チームが来ている。
その医師団の治療光景を映像におさめたかったのだ。
そしてその撮影こそが今日最大の目的だった。
そしたらなんと、そのイスラエル医師団は昨日帰ったんだって。
（あれ～っ。ちょぴり悲しい団十郎なの）

　あきらめて帰路に着く。

　

　１、ガンバッペ！

　

　２、高田市のスーパー。

　

　３、高田市。震源地に近い港町の車はこのように潰れている。

　

　４、高田市。左の塊も車です。中央の車はバスです。

　

　５、高田市。奇跡の松。しかしこの木が生き延びる確率は小さい。
なぜなら周囲の砂浜が陥没したため、
３００坪くらいの砂の島に立っている形になった。そして、
満潮時やシケのときなどには幹のすぐ側まで海水が迫ることになる。
そのせいでいやおうなしに根元から海水を被ることになる。

　

　６、気仙沼。焼け焦げた消防車。

　

　７、気仙沼市内にある大船渡線、鹿折唐桑駅構内のモニュメント。

　

　８、気仙沼。山の側まで流された巨大な漁船、『第１８共徳丸』。
　この巨大な漁船『共徳丸』だけでもこのまま残せないでしょうかね？
たとえば広島の原爆ドームのように・・・。
（早くに議論しないと解体されると思うの）

　この船を大震災からの復興のシンボルにしては・・・。
そして「ここまで津波が襲って来た」
という大震災を忘れないためなど、あらゆる
メッセージを込めて保存するって言うのも意味があるのではないだろうか？
　（船は倒れないように保護すれば良い）

　それと今後数年間は東北の海への観光客は減少するはず。だからこそ
この船を観光に利用すれば良い。私の目に狂いがなければ
絶対に観光の目玉になる！　それくらい巨大でインパクトがある。
そばに行って見て私は思った。「宇宙戦艦大和だ」と・・・。
　こんなことを考えるのは不謹慎でしょうか？
でもこれまでは魚市場が観光の目玉だったけど、
観光客が海に来ないのなら、
丘の上の船を観光に利用できないものでしょうかね。
それとも解体予算が国から出る内に処分するのが良いのか、
そこのところ非常に難しい決断でしょうが、
商工会・観光協会・漁業組合、市長さん、「如何でしょうか？」

　

　９、気仙沼。
　左後にあるホテルで私は文化講演をやったことがある。

２０１１・４・８（金）　曇り
　〔地震から２９日目〕
　昨日の２３時３２分。とんでもない地震が発生。
村田町は震度５だったが仙台市宮城野区・登米市等は６強だって。
　私は服を脱いでお風呂に入ろうとしていたところに地震がきた。
　こういう状態の時に来られると困るんだよね。
服着るのって時間かかるんだもの。

　そこで今朝、
ＦＭ太白のラジオ番組（録音済み）をあわてて録音し直した。
明日放送予定だった冒頭の挨拶部分を録り直したのだ。
なぜならこれだけ大きい地震に
まったく触れない内容の番組を放送するわけにはいかない。
とにかく最近は放送直前まで油断ができない。

　そしたら今日、青森は停電になっているんだって。
だとしたら、今日のＰＭ８：３０からＦＭむつで始まる新番組、
中止かも・・・。明日の夜８：００から始まるＦＭ太白の番組も
中止かも・・・。

２０１１・４・７（木）　晴れ
　〔地震から２８日目〕
　沿岸沿いにある街、石巻市の知り合いに荷物を出そうと思ったが
佐川急便も駄目。クロネコも駄目。それで郵便局のユーパックで
出そうと思ったら、それも駄目だった。
だから県が荷物の窓口になっているんだね。

（夜中の23時32分、また大地震が発生、宮城野区・登米市などで震度６強）

２０１１・４・６（水）　晴れ
　〔地震から２７日目〕
　岩手県大槌町へ、トラックにバイクを積んで行き、
避難所に届けて帰って来た友人から電話があった。
　「団十郎さんから預かったオーバー類、皆喜んで貰ってくれましたよ。
それもジャンケンで決めてましたよ」だって。

　そんなに喜んで貰えるなら、もっともっとやりたかったけど、
実は地震の１ヶ月くらい前に東京のホームレスのためにと、
我が家ではオーバー、ジャンパー類をほとんど出したあとだったので
今回はホンの少しだけになってしまい、
「嬉しいやら恥ずかしいやら・・・・」
　でも、そろそろ避難所の物は足りてきているらしいとの事。

　今日、農協の保険（家財）の担当者が被害調査にやってきた。
それで壊れてしまったコンポや花瓶やストーブや扇風機等をみてもらう。
　はたして保険額はいくら下りるのだろう。

２０１１・４・４（月）　晴れ　のち曇り・小雪　のち晴れ
　〔地震から２５日目〕
　朝、４時に起き、氏家君ちへ向かう。
今日は石巻方面へ撮影に行くことにした。
　６：３０石巻市中瀬に着いた。
ここは川の真ん中にある中洲である。
橋の中央から車で下りて中洲に入って行く。
入ってすぐの所に『石ノ森章太郎漫画館』がある。

　ここ石巻は津波の被害が凄い。
中洲にある漫画館の周辺は普段は公園になっていたのかもしれない。
　津波がひいたあと漫画館が避難所にもなったらしいが
今はもう誰もいない。

　川の土手沿いに友人の実家があると言うので捜しながら行ってみた。
もうそこの家は跡形もなく灰となっていたではないか。
　津波の時、お母さんと妹さんは２階に逃げたが、
その２階まで浸水してきたそうだがかろうじて助かったとの事。
しかし、津波が引いてホッとしたのも束の間、
今度は火事になってしまい、隣りの家と一緒に灰になったらしい。
でもお母さんと妹さんは無事で現在避難所にいるとの事。

　商店街を歩いて行くと「ミュージックショップＯＢＡＴＡ」と言う店があった。
奥さんが店の前で鍋などを洗っていたので質問してみた。
　「この店ではＣＤとか売ってるのすか？」
　「んだよ。あれっ、もしかして団十郎でないの？」
　「んでがす。ところで商品（ＣＤ・ＤＶＤ）全部駄目になったんでないの？」
　「んだずば、大損害なんだよワ」

　実に気の毒である。
（奥さん、ＣＤショップ再開するときは必ず駆けつけ、
ボランティアで店頭コンサートやってやるからね）

　ところで奥さん（小幡恵子さん）の記事が掲載されてましたよ。

　

　ＯＢＡＴＡの奥さん、がんばってねぇ。
　

　

　石巻にて。

　次に向かった先は『野蒜（のびる）海岸』
　野蒜駅近くで仙石（せんせき）線の電車が脱線転覆してしまったそうだ。
　その現場に行ってみて呆然となる。
これじゃ～、仙石線が開通するのは当分無理でしょう。
どんなに急いでも３ヶ月、いや６ヶ月かも・・・。

　ここ野蒜には３７年前から団十郎（ＴＢＣラジオ番組・ＡＭＯ）のファンである
Ｒ子が住んでいる。しかし彼女の家を私は分からない。
それだけに安否が心配だった。
　仙石線の踏み切りで出会った夫婦にＲ子のことを聞いてみた。
そしたらＲ子のことを知っていて、
「彼女の家までは津波は来なかった」と言ったので胸を撫で下ろす。

　

　何処から流されて来たのか？　神社本殿の屋根。

　

　仙石線。野蒜駅近く。乗客は全員無事。

　

　野蒜駅構内。

　次に向かった先は七ヶ浜町。
　ここも被害が大きかった。
ここにはトルコ共和国からの救援隊が来ている。
このトルコ救援隊の撮影を私は何が何でも絶対に撮りたかった。
“トルコ救援隊を撮らなければ団十郎が大震災を撮る資格は無い”
その理由はこれ。『エルトゥールル号』『イラン･イラク戦争』

　救援隊は３３人で来ているらしい。
　
　七ヶ浜に着くと、すぐにトルコの車が見つかった。
さすがの俺も氏家君も感動し、興奮しまくったねぇ。
（感動、感動、感動だ～）
　
　車の中に２名が乗っていた。ドアをノックしたら、気安く出て来てくれた。
しかし我々は英語が喋れない。
んでも我々は口から出任せで
　「エルトゥールル号、ワカヤマ・マイフレンド」
　「イラン・イラクでウォー。ジャパンがヘルプ～。エアープレインでセーフ」
でもまったく通じていない様子。
　そしたら、トルコの１人が遠くを指差す。
その先を見ると救援隊の姿があった。
瓦礫の片付け等をやっているみたい。
それで私と氏家君は救援隊の方に歩いて行った。
そして撮影を始めた。すると救援隊の中に日本の警官がいて
我々の方にやって来た。
　「マスコミの方ですか？」
　「いや、一般人です。それで実は私の
ＨＰなどで『親日・トルコ救援隊』の活躍を
紹介したいと思っています。それとＤＪもやっているんで
ラジオでその内容なども交え紹介したいんです」。
　そしたら、若い警官は「それじゃー、外務省の方がいるんで、
今携帯で撮影可能かどうか、聞いてみます」
そして、暫くしたら警官がやってきて「撮影はＯＫだそうです」
　良かった、良かった。堂々と撮影ができる。

　撮影を終え、トルコの車の所へ戻る。
そこで住所を聞く。
　「この撮影したビデオテープをＤＶＤにして必ずトルコへ送ります。
今日はサンキュー」と言って記念写真を撮らせて頂いた。

　家に帰って来て、私は考えた。
　こういった取材関係のビデオ撮影は
素人カメラマン状態ではなかなか難しい。
写真だけなら何も言われないがビデオになると必ず質問されてしまう。
そこで私は決心した。「名刺に職業や肩書きをチャンと書こう」
今までの私は肩書きを名刺に印刷したりするのは大嫌いだった。
でもこういった場合には職業・肩書きが大きな信用にも繋がり、
許可を取るのが容易になるみたいだ。

　

　トルコ救援隊。みんな身長デカイごだ。俺で170ｃｍね。

　

　トルコ救援隊の皆さん、ありがとうございます。

　

　屋根の上に乗っかってしまった船。七ヶ浜町にて。

２０１１・４・３（日）　晴れ
　〔地震から２４日目〕
　先日、奥さんが避難所に届けるためにと衣類などをまとめていた。
そして昨夜、念の為、仙台市六郷地区の避難所に居るＫちゃん（女性）に
携帯で現在何が必要かを聞いた。
そしたらもう全ての物が倉庫に揃っていると言う。
それに体育館内に居る避難者それぞれのスペース（床）が狭いので
個人の荷物を置く場所がないらしい。だからもう何も要らないそうだ。
ただ貰って一番嬉しいのは体育館に転送される「手紙」なんだって。
でも届く郵便物はほとんどが請求書などばっかりなのでガッカリだそうだ。

　さて、困ったぞ。まとめた荷物を何処の避難所に届けようか？
そうだ、亘理高校の避難所に行ってみよう。

　そんな訳で亘理高校の体育館に着いた。
体育館に入ってすぐの所に設置された倉庫をチラっと覗いた。
結構な物品が置いてある。
　昨夜携帯で会話したＫさんの言葉を思い出した。
もし私が持っていった荷物をスタッフ見て、
「これらはもう充分に揃ってます」なんて言われたらどうしよう。
そんな事を勝手に考えてしまい、
どうしても受付に申し出る勇気が出ない。
　「もういい、持って帰ろう・・・」

　次に向かったのは荒浜の鳥の海地区。
　津波に潰された民宿『Ｍ』さん宅に行って見ると息子さんがいた。
彼のお父さんは無事に逃げたのはいいが、
その５日後に脳卒中で亡くなったそうだ。
　詳しく話を聞く。
　逃げる時に血圧の薬を持って逃げる時間がなかったらしい。（当然だろうね）
それと心労（ストレス）も重なって倒れたとの事。
　倒れてすぐに救急車も来れない状況だし、
病院も何処に行けば開いているのかも分からないし、
車のガソリンも無いし・・・。結果、手当が遅れてしまい、
そのまま帰らぬ人となったそうだ。

　ところで、「そうだ丁度いい。衣類あるけど必要ですか？」と聞いたら、
喜んで受け取って貰えた。

　次に向かった先は、昨日見て来た岩沼市蒲崎地区。
そこで亡くなったＫ子さんのお墓に飾る花を持ってきた。

　蒲崎地区には瓦礫撤去に自衛隊が来ていた。
三重県津市にある部隊だった。
　
　Ｋ子さんのお寺に行くと住職さんが言う。
「見て下さい。何処が何処の家のお墓か
分からないくらいになってしまいましたよ」と言って指を差し、
「たぶんここの辺りだと思うんですよ」
それくらいに墓地の原型を留めていないのである。
　この状態じゃ～、花を置いても意味が無い。
置いた所がもしかすると別の家の墓地なんてことになるかもしれないし。
そんな訳でお墓をあきらめ、地蔵さんがあったのでそこに
花を置いた。（合掌）
そして帰り際、Ｋ子さんの家に行ってみると息子さんと娘さんの３兄弟が
いた。瓦礫と化した我が家を見て呆然としているではないか。
それで、お母さんが亡くなった理由を聞いてみた。
すると車で逃げたのは良かったが、家に残してきた犬を思い出し、
連れに戻ったそうだ。そして家の前で津波に遭ってしまい、
車の中で亡くなったとの事。

　別れ際に私の名刺を渡し
「お母さんがいなくなったら私とは縁が切れるかもしれない。
だから切れないように私の名刺受け取って下さい。そして
何か用事があるときは電話よこしてね」と言って分かれて来た。

　家に着いて「あれっ？」っと思った。
「あっちの住所と電話番号と名前、聞いて来なかったべ。
んだってあの兄弟の家がないんだもの。
俺から連絡とりたいとき、どうすんの？」
（ちょっぴり間抜けな団十郎なの）

　【池田のヒロミツさんからのメールです】
毎日日記を読んでいます。4月2日の日記で「ああ宮城県」への思いや
ビデオ撮影の理由を書いていましたのでメールしました。
　私が日記で気になったのが、団十郎さんがビデオ撮影している事に
批判的な考えを持っている人が少なからずいると言う事です。
私は団十郎さんの記録としてのビデオ撮影に大賛成です。

　私も阪神大震災時に記録として近隣を含めて写真を撮りました。
震災当時近隣の人を助け出す事が落ち着いた当日の午後から
取り始めました。
理由としてはマスコミの見せるためや同情を買う事を意識した
写真ではなく、震災の体験者として近隣の様子を記録すべき
と考えたからです。
絶対にマスコミ感覚の写真ではなく、震災体験者として現実の様子を
残しておく事が大切と考えていたからです。
幸い地震前に何度か写真コンテストに入賞しており、カメラ等の機材も
それなりの物を揃えていたので
腕が悪くても記録として残す事ができました。

　気を付けた事としては「遺体」を写さない事と
被災者の悲しい顔を写さない事でした。
あくまでもシビアに記録として撮影しました。

　今回団十郎さんが発表する事の是非は別として、
同じ被災者目線で記録として残そうと言う気持ちには大変共感します。
是非続けてください。大切な事だと思います。

今回は阪神大震災時と比べ被災の大きさは尋常ではありません。
だからこそ、被災者としての目線での記録は大切だと思います。
機会があれば記録として発表する機会がおとづれる事があればと思います。
「釈迦に説法」の話だと十分理解していますが、
同じように団十郎さんのＨＰを読んでいる者の中に大きな感覚の違いを
持っている者の中に様々な考えを持つ人がいる事がいる事を
残念に思いメールいたしました。

團撮影への御理解を頂き、ありがとう。
しかし、誤解される責任は私にもあるのです。
　実は私と言う人間は、芸能界や放送界で仕事をしてきたこともあり、
発表当日まで
筋書きを表に出さず内緒にしておいて陰で行動するって手法をよく使います。
だからＨＰには能天気なことやふざけた事ばっかりを書く癖があるんです。
そして見えない所では真面目に本気になって行動する、なんてね。
そういった展開は私の講演会のストーリーにもあります。
最初は馬鹿丸出しを語っておいて、
最後の最後に「あっ！」と言わせて終わる・・・。
　こんなパターンで人生を生きているとエスカレートし過ぎてしまい
失敗や誤解されるのはショッチュウです。
でも性格ですのでそう簡単には治らないでしょうね。
　
　なぜこういった生き方をするかと言うと、自分はふざけて笑わせるのは大好き、
しかし反面、極度の恥ずかしがり屋なんです。
だから人の為に働くときは徹底的に匿名なんです。
伊達直人よりももっともっと徹底的に隠れてやるのが私の人生哲学です。
しかし、昨日からは誤解を解くためにも可能な限り書くようにしました。
でもやっぱり人気取りみたいで面白くないですね。

　

　被災者全ての方に合掌！

　

　三重県津市から来た自衛隊

　

　自衛隊の皆さん「ありがとう！　ご苦労さん！」

２０１１・４・２（土）　曇り
　〔地震から２３日目〕
　朝の７：３０、仙台空港へ撮影に行く。
　スクラップになってしまった飛行機があったり、
流された車の数が半端でなく多い。それもそのはず
仙台空港から飛び立った人達が駐車場に止めていた車だもの。
　瓦礫の片付けをしている
ブルドーザーやダンプカーが忙しく働いていた。

　その後、岩沼市の蒲崎地区に行く。
実は28日の日に此処蒲崎地区に来るつもりだったが
到着直前で地震が発生し、津波注意報が出て、
あわてて逃げ帰った思い出のところだ。

　なぜ蒲崎地区に２度も来たかというと、
ここには幼馴染みのＫ子さんがいるからだ。
Ｋ子さんは私の姉（２歳上）と同級生でもっとも親しい友達である。
それで、Ｋ子さんは岩沼市で団十郎のコンサートや文化講演があると
必ず友達を誘って誰よりも早く会場に来ては
一番前に並んで開場を待っていた。
それくらいこの団十郎にとって大事な大事なファンなのだ。
そのＫ子さんがなんと津波にのまれて亡くなっていたと言うではないか。

　この地区では多くの方が溺死している。

　私はＫ子さん（享年６６歳）の
瓦礫になった家の前に立ち声をころして合掌をした。
私は必死で泣くのを堪えた。
もし泣き始めたら私は大声で泣いてしまいそうだから・・・。
　「Ｋさん、もう俺のコンサートには二度と来てくれないんだよね。
淋しいよ～。そして今度のコンサートではＫ子さんに、
俺『下北半島』歌って聴かせっと思っていたのに・・・。泣きたいよ～」

　【ＨＯさんからのメールです】
　団十郎さんこんにちは
名取出身で現在千葉で暮らしているＨＯと申します。
さて本題ですが、先日ラジオで『猪苗代湖ズ』の歌う
『I　LOVE　YOU　&　INEED　YOU　ふくしま』という曲を聴きました。
すばらしい曲だと思うのですが
そのような曲が我が宮城にもある事を思い出しました。
『ああ宮城県』は、名取の姿が変わってしまった事を嘆いて
終わっていますが、頑張れ！、負けるな！、
と励ましてくれているではないですか。
ぜひ、復興してゆく続きを作ってはいただけないでしょうか
今４０歳くらいから上の世代の人間なら、多くの人が知っている曲で
多くの人が口づさめると思うのですが如何でしょうか？。

團今回の地震では多くの方が『ああ宮城県』を
思い出してくれているようですね。
でも歌っている私としては複雑な思いです。

しかし実際のところ今回の地震に関しては事態が半端でないだけに
非常に難しい詞づくりとなりますね。
事実、この私も苦戦しているところです。まして私の場合は
ＣＤ（歌）だけではなく、ＤＶＤにして公開しようとしているので
一歩間違うと「励ますつもりが傷つけてしまう」って事になりかねません。
だから完成するまでは内緒にしておきたかったんですよ。理由は
「良い作品ができなかった時は公開しないで知らん振りしていよう」なんて
臆病になっているんです。それくらい今回の仕事は難しいです。

　しかし、日記に「今日は撮影に行って来た」などと書くと多くの人が
「団十郎は物見遊山にビデオ撮影ばかりやっている。
そんなのに貴重なガソリンを遣うな・・・」って感じるみたいですね。
それで仕方なく昨日から撮影の目的を書き始めた訳です。
　そんな訳で、ＤＶＤが完成した時の公開が恐いです。
かなりのプレッシャーがあります。でもそれくらいの責任感を持って
この仕事に挑まなければ被災地のシンガー・ソング・ライターとしての
名折れです。それと貴兄と同じく、この私に
多くの期待を寄せてくれている方々になんとしても応えたいのです。
だから「最善を尽くして頑張ります」

　【○○○さんからのメールです】
　お久しぶりでございます！　ホームページを見ました。
懐かしい想いが胸を熱くしました。
　団十郎さんは覚えていらっしゃるでしょうか？
名取市出身で東北高校野球部で甲子園出場した『○○○』です。
現在、仕事等の事情で静岡県御前崎市に住んでおります。
今回の東日本大震災は静岡県に住んでいる私にとって
大ショックでした。テレビからながれる映像は
まるでドキュメント映画を観てるようでした。
そんな中、団十郎さんの、『ああ宮城県』の歌を思い出しました。
　『がんばれ宮城県！　負けるな宮城県！　宮城県ばんざ～い！』

　感激し勇気がでました。

　私はこれからも負けじ魂で頑張るとともに
静岡県から心を込め、東北の１日も早い復興を祈っております。

團静岡に行ったんですか。何処に行ったのか心配していました。
でもお元気で何よりです。
　御前崎に行ったことがあります。御前崎のホテルに行ったんですが
凄く良い景色でした。

　今度宮城県に来た時は是非連絡下さい。
それと宮城県を御心配頂きありがとう。
復興の道のりはとても長いようですが、
でもやるしかないです。粘り強く。東北人らしく・・・。

２０１１・４・１（金）　晴れ
　〔地震から２２日目〕
　大震災の被災県の一住民として私にできることは何だろう？
また、私の役割は何だろう？　と悩んでいたときに
出した答えは
「この災害を風化させないため、災害から復興までの
記録映像を残そう。それに挿入する歌も作ろう」

　そんな訳で氏家君やビデオ仲間にも声をかけ、
協力してもらい何度も現場に行き撮影をしている。
　映像の中味だが、地元住民があらゆる協力隊と
力を合わせ復興して行く東北人の姿（たくましさ）。
そんな記録を残したい。
その中の一つに高田市の『奇跡の松』の映像がどうしても欲しい。

　ところで郵便局による、激甚災害指定地の無料配達は
昨日で終了したそうです。

　今日はガソリンを入れるのに８時間かかりました。

２０１１・３・３１（木）　晴れ　いちじ小雨
　〔地震から２１日目〕
　被災地の気仙沼には友人が多い。
その避難所にいる友人たちの希望する物は冬物の服だそうだ。

　角田市の友人が「ガソリンが手に入ったので大槌町にトラックで行く」
と行ってくれたので急いで冬物の服をまとめて角田に届けた。
そしたら角田の友人がこう言った。
「釜石市の友人がバイクが欲しい。と言っているのでバイク２台も積んで
届けてくる」と。

　私もガソリンが欲しい。だから明日は朝からスタンドに並ぼう。
もしガソリンが買えたら、月曜日に氏家君と陸前高田市に撮影に行こう。
そしてこの映像を撮りたいんです。

　ところで、路上で歌を歌っての募金活動は止めます。
許可をとらないで勝手にやるのは無理なようですから。
　超有名人以外は許可がおりないみたいですね。
それと最近になって避難所担当者から
直接歌の依頼が来るようになりました。
ですので、こちらのほうで活動したいと思います。

　以上、いろいろと情報等でアドバイスをしてくれた方々に
心より御礼申し上げます。

２０１１・３・２９(火)　晴れ
　〔地震から１９日目〕
　友人２名にDVDを送るために奥さんがファミリーマートに行った。
そしたらクロネコ宅配便は地震後、まだ来れない状態なんだって。
それで仕方なく郵便局に出しに行ったそうな。そしたら何と
「村田町は激甚災害地指定になっているので郵便物は無料です」って
言われ、本当に無料で出せた。と言って帰ってきた。

２０１１・３・２８（月）　晴れ
　〔地震から１８日目〕
　今朝４：３０に起き、津波被災地の撮影に行く。
名取市ユリアゲ地区から南下してみた。
しかし立ち入り禁止区域が多すぎて一番被害の大きい所までは
辿り着けない。
北釜・相の釜海岸の松林は全滅。
青春時代の思い出の場所だったところは
何処が何処だか分からない。目印になる物が何１つ無くなっている。
友人達の家々も何処に流れて失せたのか、無残である。
　北釜の松林はエレキバンドで練習した場所（バンドの写真あり）。

　相の釜の砂浜海岸は『追想歌』の
一番最初のシーンや青年が泳いでいるシーンで使用。

　次は岩沼市の二の倉海岸に向かった。
海岸に着いたその時（AM７：２４）、突然震度５の地震がきた。
あわててカーラジオをつけた。
そしたら若生アナウンサー（TBC）の声で「津波警報が出ました。
海岸の近くにいる方は今すぐその場から離れて下さい」と言うではないか。

　「オラ、焦ったなや。急いで車に乗って逃げだのっしゃ」
その勢いで家まで帰ったんでがす。

　今日の予定としては甲子園大会の東北高校（第１試合）をテレビで
観てから山下町・相馬市の海岸へ大浦さんと撮影に行く予定だったけど
怖いので中止にした。

　

　『布袋さん』
　車の上にあげたのは私ではありません。

　

　『増長天』
　道路に置いたのは私ではありません。。

　

　岩沼市。

２０１１・３・２７（日）　晴れ
　〔地震から１７日目〕
　今朝、水道が出ました。まだ水の勢いが無く弱弱しいですが
ひとまず安心です。
ただ地震が毎日頻繁にあるので展示室の落下した作品（焼き物）は
未だに棚に戻していません。

　ところで今日はこれでも観て下さい。
見ず知らずの方が『ああ宮城県』を歌ってくれています。

２０１１・３・２６（土）　晴れ　ときどき小雨パラパラ
　〔地震から１６日目〕
　中国から日本に来て仕事をしている李君夫婦。
ところがこの度、奥さんが子供を連れて実家へ帰ったそうだ。
理由を聞いてみると、子供にとって放射能が怖いからだそうだ。

　今日、家の奥さんがガソリンスタンドに６時間も並んで
やっと給油してきた。

　ところで毎日、寝て起きてガソリンと水と風呂のことだけを考えて
生活するのは辛いです。と言うより情けないです。

２０１１・３・２５（金）　曇り　いちじ雪
　〔地震から１５日目〕
　村田町公民館の駐車場に用意された給水車は
兵庫県伊丹駐屯地から救援にやって来た自衛隊の給水車。
それと熊本県熊本市水道局の給水車。
　その方々が救援している姿を記録に残そうとビデオカメラを持って
水を貰いに行った。
　３脚を立てビデオのスイッチを入れて自衛隊員のところに行き、
持参してきたペットボトルに水を入れてもらい、
握手を求めて「ありがとう」と御礼を言い、下手へ消え去る。

　「良い映像が撮れた」と喜んで家に戻り、早速、モニター（テレビ）で
見てみたら、なんと録画ボタンを押していなかったの。
（ちょっぴり　間抜けな団十郎なの）

２０１１・３・２４（木）　晴れ
　〔地震から１４日目〕
　選抜高校野球甲子園大会が始まっている。
被災地の宮城県からは東北高校が出場をはたした。
被災者達のためにも是非優勝してほしいと願う。
日本国民の殆んどがそう思っているのではないだろうか。
こんな場合、相撲なら必ず優勝するはずなんだけどね。
んだって仙台場所の時は必ず『青葉山』か『青葉城』が優勝してたよ。
これが「武士の情け」ってやつなんです。
んでも純粋な高校生の野球、何処が勝っても良い。
力の限り戦って被災地を励ましてほしい。

　ところで未だに水道は出ない。電話で聞いてみたところ
出るのは来週の始め頃なんだって。
仕方が無いので明日の午前中、遠刈田温泉に行くことにした。

　スーパーにバナナがあったんで買って食った。
美味しいのなんのって・・・。
　食パンもあったんで買った。
パンもむしょうに食べたくなるもんですね。

　【チューリップさんからのメールです】
　路上コンサート、募金活動も含めるとなると
無許可では無理だと思います。
一番気をつけなければいけないのは、警察よりも、
暴力団などです。人通りが多い場所ほど、絡まれやすいです。
あとは、投げ銭は、ほとんど期待できないかもしれません。
ストリートの場合は、ほとんどが1人百円程度で、
ゲリラ的にやっても、高速バス代の方が高くて
足が出る事も考えられます。

知り合いは、新宿や池袋で
今でもストリートをやっていますが
警察が来るとやめさせられるそうです。

東京では許可をもらって演奏する場合でも、
ヘブンアーティストという大道芸の資格が必要で、
今は合格率が低い狭き門となっています。

現在、東京は電車の本数が少なかったり、計画停電や
買い占めなどで、人々も殺気立っている雰囲気ですよ。

團そうですか。よく理解できました。
いろいろ情報をありがとうございました。

２０１１・３・２３（水）　晴れたり曇ったり
　〔地震から１３日目〕
　朝起きてサンデッキを見たら昨夜降った雨のせいで
板の上が黄色くなっていた。気持ち悪くなって奥さんに
「放射能のせいでないが？」って聞いたら、
「これは杉花粉です」だって。
　杉花粉って今年はこんなに多いのすかや？。

　【マツバさんからのメールです】
　昨日の日記読みました。
知り合いの川崎市の職員に聞いたところ、路上でのコンサートは
警察の許可が必要とのことです。
本日、道路公園センターの所長に問い合わせてみるとのことです。
　団十郎さんのことですから、
東京にお知り合いもツテもあることと存じますが、ご参考に。

團基本的に路上でやる場合は
警察や行政や商店会や土地所有者の許可が必要なんですよ。
　それで若者達は許可を取らないでやっているのが多いですね。
若者なら警察から注意を受ければ、どければそれで済むんですが、
私の場合63歳にもなって「許可が必要なこと、知りませんでした」
って幼稚な言い訳言って済ませられないですからね。
特に歌を歌うだけならまだしも募金活動をする場合は
絶対に許可が必要です。
それで昨日、「やれる場所を知っているかたいませんか？」
って質問したんですよ。
　そんな訳で、なにか分かりましたなら情報を下さい。宜しく・・・。

　【山ちゃんからのメールです】
　神奈川に住む、山中と言います。数年前に団十郎さんのＨＰを発見し、
ちょくちょく読ませていただいていました。
まずは、このたびの東北関東大震災で
被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
団十郎さんはじめ、ご家族の皆様がご無事で何よりでした。
ただ、奥様のご親戚・ご友人様の
安否不明や被害に遭われた事に、心よりお見舞い申し上げます。

　実は、私、３０数年前、団十郎さんが東京でご活躍されている時
「ニッポン放送の団十郎さんの番組」の
マスコットボーイコンテストで選ばれ、
団十郎一座のマスコットボーイをやらせて頂き、お世話になりました。
　機会があれば、宮城県の団十郎さんをご訪問させていただきたい
と思っておりましたが、仕事や自分の病気などもあり、ＨＰを
拝見させていただくことで陰ながら応援させていただいておりました。
今日の震災復興のブログを見て
「路上ライブ是非！東京で行なって頂きたい！！！」と思いました！！！
団十郎さんや音楽仲間の方々も被害にあわれ、
大変な時期ではありますが、深夜バスの運行状況など落ち
着いてからでもいいと思います。
東京での路上ライブ場所ですが、
新宿・渋谷・池袋など現在でも若者たちが路上ライブを行っています。
（私も数年前に頻繁に路上ライブをやっておりました。）場所によっては、
警察に注意受ける場合もありますが、比較的、新宿（南口や東口など）や
渋谷などみんなが路上ライブやっている場所がありますので、
場所さえ確保すれば大丈夫だと思います！！！
なつかしい中央線沿線（東小金井とか・・・）でも、出来る場所があると思います。
また、ＮＨＫ前の代々木公園ないの路上や井の頭公園など許可を取れば、
とても路上ライブしやすい場所もあります。
（ご協力出来ることあれば、させていただきたいと思っております。）
まだまだ復興に向けて第１歩の出だしですが、
本当に団十郎さんはじめ皆さん、頑張って下さい！！！

團情報提供ありがとうございます。参考に致します。
　編曲者のＫＥＮＮＹもこういった情報に詳しいのですが
なにせ彼は東京で今とても忙しく活躍しているので
こういう事をしている暇はないようです。
でも情報くらいはもらえると思います。
貴兄ももう少し詳しく分かりましたならお知らせ願えれば
助かります。

　そういえばニッポン放送ラジオの『団十郎参上』で
『マスコットボーイコンテスト』って言うのをやりましたよね。
思い出しました。懐かしいです。
　私が東京に行った折には是非お会いしましょう。
もしくは我が家に遊びに来て下さい。

２０１１・３・２２（火）　曇り　夕方５時から小雨
　〔地震から１２日目〕
　夜、雨が降って来た。放射能が心配。

　県外の音楽仲間からこんな誘いを受けた。
　「宮城県にギターを持って行くから
一緒に避難所で慰問コンサートやりましょう」
　しかしだ、先日避難所に直に行って見て思ったのだが、
こんな状態のときに歌なんか歌ったって
何の慰めにもならないのでは・・・。
そんな活動は歌手達の『ボランティアの押し売り』にしかならないと思う。
　歌や喋りで笑わせても駄目だし、悲しませても駄目。
そんな完璧なステージをやれる自信は残念ながら私には無い。
なにせ未だに避難者の多くは、行方不明者を捜し続けているし、
これから住む家の事を心配したり、これからの生活収入の事で
頭の中がイッパイだろう。身内が亡くなっている人もイッパイいる。
そこへ訪ねて行き、どんな歌や言葉を使って
励ませばいいのだろう。避難者が今欲しい言葉は
抽象的な激励の歌や言葉ではないはずだ。

　今日のテレビで放映していたのだが、
自ら津波に襲われ家屋を失った老いた大工さんが
避難民のために空き地に風呂場とトイレを作り、これまで１００人が
お風呂に入りに来たと言う。そして最後にこう言った。
　「今の私にできることはと考えたら、これしか無かった」と。
　そこで私は思った。
　「今の私には何ができるのだろう？　歌うこと以外に
何もできないじゃないか」
しかし避難所で歌うのだけはイヤだ。泣かないで歌う自信もない。
そこで思った。仙台の一番町などの繁華街で路上ミュージシャンをやって
募金活動をやろうか？
しかし現在のところ仙台に行くガソリンも手に入らない。
いっそのこと、深夜バスで東京に行って
東京で路上ミュージシャンをやろうか？
（都内で路上ミュージシャンをやれる所ってあるんですか？　教えて下さい）
（仙台で路上ミュージシャンをやれる所ってあるんですか？　教えて下さい）
とにかく何かをやらなければ・・・。
　被災地以外の歌手などが募金活動をしてくれているというのに
被災地のミュージシャンが「何もやらない」ではあまりにも情けない。

　ところで、今日の２１時、
歌手の尾形大作君が私を心配して電話をくれた（感謝！）

２０１１・３・２１（月）　曇り
　〔地震から１１日目〕
　朝の８時。お風呂に入りたくて、蔵王町にある『鎌倉温泉』に行った。

　ところで一昨日の事。
ラジオ局の『ＦＭたいはく』から電話があって、
「今度の土曜日からいつもどおりに放送しますので
番組を制作して送って下さい。宜しく・・・」
　３週間ぶりの放送になる訳ね。
そういうことで昨日、早速番組を制作した。

　ところで大震災後の最初の番組は特に気をつけなければいけない。
悲劇があったあとだけに
かける曲には充分注意をしないと大変なことになる。
（このへんがアマチュアのＤＪにはできない配慮ね）
　陽気な曲は駄目だし、悲しい曲も駄目。癒し系の曲が一番良い。
と言う事で選びに選んで、癒し系の５曲をかけた。
　
　さて、今日の午後の事。ふと思った。
「あれっ？　もしかしてマズイ曲をかけてしまったかも・・・」
あわててその曲の歌詞をインターネットで検索して調べてみた。
そして驚く。「失敗だ～、縁起が良くないじゃない」
（どちらも別れの歌だったの）

●ギルバート・オサリバンの『アローン･アゲイン』
●ビートルズの『アイル・フォロー・ザ・サン』

　私のような英語に弱いおじさんにとっては英語の歌詞は難しい。

　今朝、あわてて、その２曲を入れ替えた。
それにしても放送局へまだ送信していなかったので助かった。

　〔放送の日時は今度の土曜（２６日）ＰＭ８：００～８：３０〕

２０１１・３・２０（日）　晴れ　夜から雨
　〔地震から１０日目〕
　昨日、息子がガソリンを給油に行った。２００台限りだったそうだ。
息子は１００台目くらいで３時間かかったらしい。
と言う事は２００台目の車は６時間かかると言う事だよね。
それよりも凄いのが２０１台目からあとの車もズーっと繋がっていて
家に帰らないで徹夜していたみたい。
でも今日はスタンドが休みだと言うし、あといつガソリンが
入ってくるのか分からないって言ってましたよ。
それでも待っている忍耐強いドライバーさんたち。

　ところで、亘理町鳥の海で民宿を経営していたYさん。
今日、我が息子の友人からの電話で、Yさん家族の情報を頂いた。
　行方不明だと思っていたら全員奥さんの実家に避難していたそうだ。
そんな訳で亘理の避難所に私が捜しに行っても
見つけることができなかったんだね。
ところが、ところが、なんと残酷にも昨日、
その旦那さんが脳卒中で亡くなったと言うではないか。
やっと津波から脱出してひと息ついたところだったのに・・・。
　一家の大黒柱のYさんとしては全てが流された後の復興を考えると
ひと息どころかそうとうのプレッシャーがあったのかもしれない。
　そういえば某市で工場の全てが流されてしまった
親友の社長が電話でこんなふうに語っていた。
　「これから先の事を考えると途端に血圧が上がるんだよね。
『ドッキンドッキン』って凄い動悸がするんだよ。それが怖いんだ・・・」

　なんと言う悲劇が続くのだろう。「もう沢山だ～」

２０１１・３・１９（土）　晴れ
　〔地震から９日目〕
　水道のチョロチョロ水も完全に出なくなった。
な～に水道が出なくたって飲み水に困ることはない。
ここの周辺は山だらけなので歩いて行けば湧き水を汲んで来れる。
ただ、やっぱりお風呂には入れないのね。
でも２１日には水道が完全に出るようになると言う連絡があったので
まずは安心である。

　友人のＭ君から電話が入る。彼は地震の時、
多賀城市を息子と２人で車に乗って走行中だったそうだ。
そこに津波が押し寄せ、買ったばかりの新車を捨て
近所の倉庫の上に逃げて助かったとの事。

　佐賀県の長井さんが心配して電話をくれる。（心より感謝！）

　私がヤマハのタレント時代に大変世話になった
元・ＴＢＳプロデューサーの林原さんと
元・キャニオンレコードの丸山部長から
同時（携帯と本電話）に電話が入る。
偶然に同時なんて、不思議。

　皆がこれまで何度も電話をしてくれていたそうだ。
やっと繋がって喜んでくれる。

２０１１・３・１８（金）　晴れ
　〔地震から８日目〕
　今日は亘理町荒浜鳥の海地区にいる友人を訪ねてみることにした。
ついでにビデオカメラを持って行き撮影をしよう。
　この地域は海抜０メートルである。
その岸壁から１０メートルくらい離れた所で民宿を経営している
Ｙさんを尋ねたが当然の如く周辺は瓦礫と化していた。
しかし民宿だけは外形を残していたが
やっぱり見るも無残な状態であった。
それでもＹ夫婦がもしかして居るかもなどと期待して
玄関まで行ってみたが誰も居ない。
　「Ｙさん、絶対に生きていてくれ」と心で願うしか術はなし。
此処、民宿の『海の幸ラーメン（塩味）』は抜群に美味かった。
　「旦那、もう一度俺のためにラーメンを作ってくれよ～」

　　

　　亘理町　荒浜地区　鳥の海　写真１

　　

　　亘理町　荒浜地区　鳥の海　写真２

　　

　　亘理町　荒浜地区　鳥の海　写真３

　此処の民宿より南へ少し行った所に親友のお寺がある。
ここの住職さんにはいつもお世話になっている。
しかしそこの地域もことごとく瓦礫になっていると聞いたので
行ってみることにした。しかし途中から道路が閉鎖されていて進入できない。
あきらめて避難所に行くことにした。
　亘理高校体育館に行ってみると体育館には多くの避難民の方々が入っていた。
広い体育館が所狭しと人人人でいっぱいになっていた。
　避難者名簿を見ると住職さんの名前が見つかった。
思わず涙が溢れましたよ。
　住職さんと握手を交わし「俺の家に行きませんか？」
すると住職さんは「ありがとう、でもここには檀家さんがイッパイいるので、
私の家族だけが、いい思いをすることはできないです」と言うではないか。
泣けるじゃないですか。よ～く考えればそうなんですよね。
　お寺の本堂だけは残っていて多少手を加えれば復興はできるそうだ。

　ところでＹさん家族の名前を捜したがここの避難所にはいなかったので、
今度は亘理小学校体育館へ行ってみた。
しかしそこにもいなかったし、それ以外の避難所の名簿を捜してみたが
やっぱり何処にもいない。
もしかして親戚や知人の家にホームスティしているのかも・・・。
　絶対にそうであってほしいと願いながら避難所をあとにした。

　夕方、５時半。気仙沼で店を経営している
親友のＯさんから電話が入る。
　彼の家族は地震があってすぐに車で高台へ逃げたそうだ。
高台に到着して30秒後に津波が来たとのこと。
当然住居兼店舗は崩れ、その後火事になりすべてを失ったと語る。
そしてお父さんが未だに行方不明らしい。

２０１１・３・１７（木）　晴れ　のち雪　のち曇り
　〔地震７日目〕
　朝の６時半、起きて何気なく電気のスイッチを入れてみた。
すると７日ぶりにリビングの蛍光灯が光ったではないか。
拍手喝さいですよ。

　実は水道は止まっていたとはいえ、なぜか蛇口をヒネルと
チョロチョロと出たのであった。
だからその水を風呂桶に出しぱなしにしていたら、満杯になった。
早速お風呂を焚いた。７日ぶりのお風呂は気持ちが良い。
それから電話やEメールで無事を報告した。
その次は海岸沿いに住む友人たちに電話を入れる。

　親友のＫ君の奥さんの車が
仙台空港のパーキングに泊めていて流されたそうだ。
（本人は京都に行っていたために無事）

　仙台空港の近くでパーキングを経営しているＪさんは無事。（家・車は駄目）
地震直後、仙台空港の中に逃げ込んで間一髪で助かったそうだ。

　名取市ユリアゲ地区のSさんも無事。（家・車は駄目）

しかし、同じユリアゲに住む我が奥さんの親友の家族３人は
津波にさらわれ亡くなったそうだ。

　多賀城に住むこれまた奥さんの親友の老いた両親が津波にさらわれ死亡。
この両親からは私は昔、大変世話になっている。

　これまた我が奥さんのいとこの家族が津波にさらわれ死亡。（若林区荒浜？）

　突然、私の携帯電話が鳴った。
気仙沼の親友、小野寺氏『パルポー』（レストラン・パン工場等々経営）からだ。
「団ちゃんよ、俺の店にも津波が来ちゃったよ。
そんで多くの従業員の事を考えると辛いよ」と重い言葉で語るではないか。
気仙沼市内にも津波が押し寄せ酷い事になっているそうだ。

２０１１・３・１６（水）　雪　のち曇り
　〔地震６日目〕
　息子のアキノ君が外に出て行って帰って来たと思ったら
「道路の高い所に行ったら携帯電話が繋がった」と言うではないか。
それで早速、携帯のアンテナが１番立つ場所を探して車を走らす。
そうしたらタイミング良く私の携帯が鳴った。
誰かと思ったら、東京に住む岸浩太郎君ではないか。
彼は私が無事だったことを知ると嬉しさの余り
大泣きするではないか。「先生、心配しました。良かったですよ・・・」と。
　嬉しいじゃありませんか。こんなローカルの老いぼれタレントに対して
涙を流してくれるなんて。
　浩太郎君は小学生の時に『ああ宮城県』を買ってくれたんだって。

　ところで岸浩太郎とはこういう人です。こちら　と　こちら　を御覧下さい。
皆さん応援よろしくね。

２０１１・３・１５（火）　曇り　のち雪
　〔地震５日目〕
　５日目になっても食事には困らなかった。
それどころか食べても食べても食べる物が増えてくる。
不思議な話だろうが事実なのだ。それはなぜかと言うと、
我が家には冷蔵庫が２つに冷凍庫もある。
（以前、『食事処』をやっていたから）
その３つの冷凍庫に保存しておいた食べ物が
停電と同時に融け出しているので
無理しても早く食べないと腐ってしまうそうだ。
　息子のアキノ君は地震が起きてから３キロも太ったと言うではないか。
　運動もしないで食べて寝るだけの生活は結構つらいもんです。

２０１１・３・１４（月）　晴れ
　〔地震４日目〕
　丁度地震の前日、マイカーのガソリンを
満タンにしたばかりだったので助かった。
巷ではガソリンが無くて困っているとの事。
　我が古里の名取に行き、兄弟や友人達が無事かどうかを
確かめることにした。

　最初に仙台市太白区の菅井自動車に行った。
豊君がいてバイクの手入れをしていた。
それは自動車のガソリンが少ないのと
海岸沿いへ行きたくても自動車が通行止めになっているからだそうだ。
それで早速、七郷の二木地区に住んでいる姉さんは無事か？と聞いた。
そしたら間一髪で脱出でき、助かったと言うではないか。
住居は水没して駄目になったそうだ。
この姉さんは団十郎にとってとても大切な親友なのだ。
団十郎の作品を展示会があるたんびに買ってくれたり
コンサートがあると言えば必ず来てくれる。
本当に助かって「一安心」

　次に伺ったのは名取に住む針生君。
彼の家の屋根瓦がかなり落ちていた。
それにも関わらず親戚の家が津波にあったのでその家族を
ホームスティさせるんだと言って車で迎えに出かけたらしい。
　この針生君と私はアマチュアバンド時代のメンバー同士だった。
彼はドラム担当ね。

　名取の惇兄貴の家に行ったら息子の家の瓦が落ちたと言って
屋根にブルーシートをかけていた。

　悦子姉ちゃんの家はすべて問題なし。

　海岸沿いの友人の家には行けないので、
今日はこれだけで我が家に帰ることにした。

　途中、『コミニティ、ＦＭいわぬま』に寄った。そしたら避難所だったり、
焚き出しをしたり、生放送中だったりで大忙し。
スタッフ全員大活躍をしていた。

　さて、家に着いた。

　昨日までお風呂に入れなくて背中も首も頭もかゆい。
だから洗面器にお湯をチョットだけ入れ、
裸になってシコシコと洗う。
（ちょっぴり情けない姿の団十郎なの）
嗚呼、思いっきりお湯をかぶって体を洗いたい。

２０１１・３・１３（日）　晴れ
　〔地震３日目〕
　朝の食事を終え、歩きで村田の商店街へ状況を見に行く。
　村田町のシンボルである、蔵が壊れた某店の主人はこう言った。
「蔵は地震に弱い。だから蔵に金をかけるのはもう止めた」
　白鳥神社では巨大な石でできてる鳥居が倒れて木っ端微塵になっていた。
誰も怪我しなくて良かったと胸を撫でおろす。

　水道が止まっているので近所の家に井戸の水を貰いに行く。
電気も止まったままなのでテレビを観ることができない。
だから他の市町村ではどういう事態になっているのか
ハッキリしたことがほとんど分からない。
ただ幸いだったことは、台所の火がプロパンガスだったので
料理が可能だったことだ。
トイレは水が出なかったけど我が家の仕事場のトイレが
水洗式でなくボットン式だったのでそちらに行って用を足す。

　知り合いの家ではストーブが無くて、夜は毛布に包まって過ごしている
と言うので我が家の石油ストーブを貸す。
我が家には石油ストーブが３台も有る。
陶芸をする部屋用と絵を描く部屋用、台所用。それに石油は沢山あった。
なにせ陶芸用の窯が灯油窯なもんでね。

　ところで、一日に何度も何度も強い地震がやってくる。
寝ている真夜中に逃げることになったんではそれこそ大変だ。
そんな場合を想定して、寝る時は普段着のまま寝ることにした。
靴下もはいたまま。
しかしそんな格好で寝ていてはグッスリと眠れない。
汗をかいて背中がかゆくなるし首周りに汗疹（あせも）ができて
これまたかゆくてたまらない。

２０１１・３・１２（土）　晴れ
　〔地震２日目〕
　実は以前から『下北半島』の歌のヒット大作戦を次のようにやろうと考えていた。
　５月になったら下北半島に行き、
むつ市から徒歩で下北半島を一周する、なんてね。そのイデタチはというと、
『新曲、下北半島、応援してね！』と書いた旗を持ち、動物の着ぐるみを着て歩く。
　そんな訳で昨日、旗の注文をしていたのだった。

　ところがである。昨日の地震でその企画もぶっ飛んでしまったみたい。
そんな格好でもし歩いていたら
「この一大事の最中に何をふざけているんだ、この男は・・・」
って一蹴されてしまうっちゃわね。

　さて話を地震に戻そう。
　携帯ラジオに使う単３乾電池が足りない。それとロウソク。
しかしどちらも売れ切れ。残っている乾電池は単４ばかり。
しかしそれを単３だと勘違いして買うお客さんがイッパイいた。
単４乾電池なんてそんなに必要が無いのに。
やはり地震に備えて単１と単３は用意しておいたほうがいいみたい。
　ロウソクも短いのしか残っていなかったので私は買わないで帰った。
そしたら、我が息子がそれより短いロウソクを
買って帰ってきたではないか。
それもなんと長さが１ｃｍちょっとのやつ。
燃焼時間５分だって。これじゃ～誰かロウソク当番を置かなくちゃ
すぐに消えちゃうよ～。
ロウソク当番するくらいなら寝てしまったほうがマシ。

　　こんなに短いロウソクは仏壇以外では使えないよね？

２０１１・３・１１（金）晴れ　地震の直後に雪　のち曇り
　　〔大地震　発生初日〕
　私は親友とこれから新規事業を起こす為の話し合いをしていた。
わが人生で最後になるであろう事業の会議。
ところがである、午後２時46分。突如、大地震発生。
マグニチュード９、０。『東日本大震災』である。
その途端、その事業の実現は不可能となってしまった。
それくらい東北地方の被害が大きかったので
ここ数年は東北地方を相手の仕事は無理となるだろう。

　我が家の仕事場もつぶれる寸前までネジレながら揺れていた。
しかしなんとか持ち堪えたようだ。
今回の地震は長い時間揺れていた。
　恐る恐る２階の展示室まで行って見ると多くの焼き物が
テーブルの上から転げ落ちて壊れていた。北側の土壁も剥げ落ちていた。
　母屋ではテレビやオーディオやパソコンや花瓶等が転げ落ちていた。
被害総額はかなりの金額になるだろう。

　さてここからが悲劇の始まりだ。
　友人と村田の街へ視察に行ってみた。
そしたら我が家の比ではなかった。
　村田は『蔵の町』と言うキャッチフレーズ。
その蔵の町並みの瓦や土壁が崩れ落ちとても危険で
一時、車が通れなくなっていた。
　それを見て私は思った。
もしかしたら今年の『蔵の陶器市』は中止になるかも！？　と。

　夕方になって電気も無い。水も無い。あわててスーパーに行って
水・パン・缶詰を買う。

　しかしこの段階ではまだ沿岸沿いの町がどうなっていたかは
まったく分からないでいた。（村田町では死者数はゼロ）

　夕方７時になって暗くなった。ロウソクの灯りで夕飯を食べ、
８時には寝た。

　真夜中になって携帯ラジオを聴いていた奥さんがビックリして
寝ていた私に話をかけてきた。
　「仙台市若林区荒浜海岸近くの道路に
２００人以上の人の死体が発見されたんだって・・・」
なんとこれが悲劇の序章であったとは・・・。

２０１１・３・１０（木）　晴れ
　　〔大地震の前日〕
　今朝、すぐ近くの道路の坂道がツルンツルンと凍っていた。
そのせいで通勤の車が６台、玉突き衝突事故となった。
　車内に挟まれて出られなくなった人を救出しようと
やってきた救急車も激突された。

　今日、私は63歳の誕生日を迎えた。
　どこで知ったのか、多くの人達がお祝いのメールをくれた。
そんな皆様にこの場から御礼を申し上げます。
「ありがとうございます」

　63歳を迎えた私は
“人生最後の勝負の年代”だと本気で思っております。
だからこれまで以上に本気になって目的達成のために
頑張らなければいけません。
肉体（足腰）が、なんとか言う事を利いてくれる60代だからこそ
悔いの残らぬように・・・。
それが私の言う『人生のラストスパート』なんです。
この言葉は遊びやおふざけで言っているセリフではありません。