可能なことを
成功させてもあたりまえ
だから 不可能な話が
大好きだ
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2021・6・9(水) 晴れ
焼き物に関して、こんな質問を受けることがある。
「湯呑みとぐい飲み、コレクションするんだったら
どちらの方が将来、値が上がるんですか?」ってね。
答えは「ぐい飲みの方が高くなります」
湯呑みは上がっても10倍程度でしょうね。それに対し
ぐい飲みは30倍くらいは上がります。
とは言っても、そもそもぐい飲みは新品の値段も3倍くらいは高いですからね。
それと作家によってもいろいろです。将来価値が出る作家もいれば
まったく価値が出ない作家もいますので、
そこのところはそれも含めて楽しんで下さい。
多分私の場合は死んでも価値は高くなりませんので、悪しからず・・・。
だから好きなくらい壊れるまで使って楽しんでもらえれば嬉しいです。
2018・2・26(月) 晴れ
水墨画を描いているといろんなお客さんが筆や墨を持って来てくれる。
しかし、これらをまったく使うことはありません。
なぜなら、まず筆で言えば、素人は筆の種類は「太さの違いだけ」だと思っている。
しかし私にとってもっとも大事なのは「筆の毛先の長さ」なのだ。
たぶん毛先の長さを気にして筆を買い求める素人はいないだろうね。
そして私の場合は毛先が極端に短いのを使っているから問題なのだ。
たぶん国内では入手は難しいだろう。
中国なら手に入る。
『名人は筆を選ばず』と言うけれど、私は不器用なので大いに筆を選ぶ。
筆は何本あっても腐ることは無い!
と思ったら大間違い。
筆に使用する毛は動物の毛なので逆に使わないでいると
やがて腐食してしまいポロポロとこまくなり落ちてしまうのだ。
だから使うあてのない値段の高い筆を
何本持っていても宝の持ち腐れになってしまう。
次は墨の話をしよう。
墨には大きく分けて2種類ある。
菜種油やゴマ油の煤(スス)で作る墨と
松の木の煤で作る墨がある。
特徴としては墨を水で薄めて書いていくと
●菜種・ゴマ系はわずかだが茶色っぽくなる。
●松系はわずかだが青くなっていく。これを『青墨』と言う。
値段としては青墨の方がトンデモナク高い。
このトンデモナク高い青墨を頂戴することがある。
しかし私は既に何本も持っているし、
たぶん一生かかっても使い切ることが無いくらい貰って持っている。
つまり私は青墨を使わないで安い茶墨ばかりを使っているからだ。
私としては、高い安いに関係なく、どちらかと言うと茶墨の方が好きである。
結局、プロと呼ぶにはまだまだで、素人レベルなのかも・・・。
そして大きな問題なのだが、
私は硯をまったく使わない。
だから硯で磨って使う墨は持っていてもショウガナイ。
そんな訳で、申し訳ないが、
いくら高い墨を貰っても一生使い切ることは無い、って言う事になる。
硯も要らない。墨も要らない。
要るのは墨汁と薄める水だけ。
だから団十郎に対しては道具の心配は不要です。
例えば、
貴方に大好きなヒイキの作家がいたとしたら、
その作家へ道具ではなく、作家の作品を買って面倒をみてやって下さい。
2018・2・25(日) 晴れ
陶芸の仕事をやっていると他県に住んでいる友人が
「この粘土、俺の近くで採れるんで持って来たから使ってみて・・・」
こういう具合に粘土を持って来る人が結構いるから困る。
粘土と言うのは何処のでも使えるって言えば使える。
しかし掘ってすぐに使える粘土って何処にも無い。
使えるようにするまでどれだけ大変な作業が待っているか知らないから
持って来るのだろう。
粘土の中に含まれる有機物や強すぎる鉄分や石粒・砂粒を
完璧に除去してからでないと使えないので日数を物凄く費やする。
だから遊び半分ではできない。
たとえ粘土を使えるようにしたとしても、
次にはもっと大変な作業が待っている。
その粘土の耐火度のテストだ。
粘土は何処のでも使えるけど、
その土によって『融点(とける温度)』や『焼しまる温度』が違うからややっこしい。
作家はそれぞれ、火を止める最終温度が違うのである。
焼き物の産地で言うと
●楽焼は1,000度くらい?
●常滑焼は1,130度くらい?
●備前焼は1,180度くらい?
●志野焼は1,200度くらい?
●信楽焼は1,250度くらい?
●伊万里焼(磁器)は2,000度くらい?
●私は1,230度、もしくは1,250度の2パターンで焼いている。
温度というものは10度違ったら出来栄えが違い、
素地(きじ)が焼け過ぎて火ぶくれがおきたり、焼き過ぎにより潰れかかったり、
逆に焼き不足になったりもする。
そんな訳でたった1種類の粘土をテストするのに費やす時間はトンデモナクかかる事になる。
つまりだ、一人の友人が気まぐれで持って来た粘土を私が真剣にテストして何になるの?
ついでの話だけど。
友人のある陶芸家が蔵王山に粘土探しに行ったそうだ。
そして採って来た粘土で湯飲み茶わんを作り窯に入れ焼いたそうだ。
そして焼きあがって出て来たのは
見たこともない肉まんのように膨れ上がった驚きの物体だった。
結局それが湯飲み茶わんだったと言う訳。
「なぜこんな形になったのだろう?」
そして検討をかさねた結果。
つまりだ、蔵王山は火山地帯なので
粘土の中にガスが含まれていた為、雁月(がんづき)のような形に変形したんだろう。
それにしても、蔵王山から土石や木や草は持って来れないってことくらい
大人なら分かって欲しいものだ。
【続く】
2018・2・10(土) 晴れ
水墨画の販売で私はこう言っている。
「掛け軸は売れてから描きますので1ヶ月チョットの時間を下さい」。
もしくは「写真の作品とはそっくり同じようには描けません」ってね。
これってふざけて言っているように聞こえるでしょうね。
でもこれって凄く当然、当たり前の事なんですよ。
インターネットなどの一般的な水墨画販売店では
写真と同じ掛け軸を「肉筆画」と言って何枚も売っている場合がある。
しかしだ、そっくり同じ物を何枚も売ることができるなんて
ナンセンスだと思いませんか?
つまりそういった作品に限ってだが、仕掛けはこうだ。
ライン描きされた、塗り絵のような下絵を作る。
つまり、その下絵は印刷である。だからそっくり同じに何枚でも印刷できる。
その下絵(印刷物)に職人が「塗り絵」の要領で、筆で色を付けていく。
そうして完成したそっくり同じ絵に対して「肉筆画」と言って売っている。
確かに最後は人間の手による肉筆が加わる訳だが・・・。
以上のように、
注文が来てすぐに同じ物が届けられるって言う仕掛けはそういう事なのだ。
下絵(ライン)が無い水墨画を描くときは「出たとこ勝負」であり、「一発勝負」になる。
例えば「杭を描く」。
その杭が7・3の所に描こうと思ったのだが、
6・4の所になったとする。(少し長かったり、少し短かったりもする)
そうなると上下左右に描く草や枝や動物や岩などは同じでは無くなる。
そんな訳で、私は「そっくり同じ絵は描けません」と正直に言っているのだ。
でも素人は「そっくり同じに描くのがプロだ」と思っているから説明がややっこしくなる。
「手描きは印刷とは違う」。これを分かってもらえると非常に嬉しい。
話は変わるが、絵の管理はとても難しい。
日に焼けたり、カビたりする。そうなると新品とは言いえなくなる。
だからできるだけ掛け軸の作り置きはしたくない。
作り置きしてもすぐに売れるならいいのだが・・・。
そんな訳で「注文を受けてから描きます」となる。
この対処法が一番良い方法だと思っている。
ただし「表装や乾燥に1ヶ月掛かりますよ」って話。
どうかご理解を・・・。
2018・2・8(木) 晴れ
HPの絵画販売のページに水墨画を増やし掲載した。
これは知人以外にも売れて欲しいと願ってのことだが、
よ〜く考えてみれば他人には売れる訳がない。
だってHPを覗く人の多くは知人なんだもの。
他人なんて滅多に覗かない。
だとすれば、一番効果があるのは?
やっぱりヤフーオークションなんだろうな。
でもこのヤフーオークションってのは実に面倒だ。
「現物を落札する」ってことなんで、私のように「落札されてから描きます」
なんて事は通用しない。
オークションに掲載されている写真と同じ物でなきゃいけないって言うことは
売れるたんびに写真の入れ替えをしなきゃいけないってことなんで
これが面倒なのね。
そんな屁理屈ばかり言っているようでは、やっぱりヤフーオークションでは
売れないだろうね。
2018・2・3(土) 晴れ
ヤフー・オークションに私の水墨画を出品している。
4,000円の絵である。
この絵の中でフクロウの絵が1番売れた。
しかし1度凡ミスをしてしまった事がある。
ある日、フクロウの絵が落札されたのだ。
そしてビックリ! オークションに出品していた絵が何処にも無い。
あわてて家中捜したが無い。
そして気付いた。スナック団十郎で売ってしまっていたのだ。
そうなのです。スナックでも絵は沢山売れた。
だからオークションに出品している絵であるって事も忘れ、店に飾り、
既に売れてしまっていたのであった。
それで困ってしまい、落札者に謝り
「同じ絵を描いて送ります。しかしお金は要りませんので許して下さい」
と言って勘弁してもらった。それからと言うもの、絵は出品しない事にした。
ところがだ、安い4,000円の絵だから売れるのであって、
高額な絵だったら売れないだろう。と言う事で
3万円の掛け軸(柳にカエル)をオークションに出品した。
案の定、まったく売れない。そして売れないまま4年が過ぎた。
3日前の事である。
ヤフーオークションからメールが届いた。
それを「自動更新の案内」と勝手に思い込み、
それを読まずにクリックして、更新の手続きを済ませたつもり。
そしたら奥さんが一昨日、「何やってんの、掛け軸売れているでしょう」
と注意を受ける。
そしてジックリと読んでみたら確かに売れているではないか。
「ビックリしたな、もう」(こんな奇跡も起きるんですね)
そしたら、買ってくれたのは私の友人でした。
「○○さんよ、ありがとう」
ところでだ、「今度はまったくの赤の他人に
3万円の絵が売れるようにならないと本物の画家じゃないよね」
そこでだ、この次は試しにフクロウの掛け軸を描いて出品してみよう。
2015・8・26(水) 雨 のち曇り
某市の公民館館長が私の家に来て得意になってこんなことをいった。
「地元で活躍する陶芸家のAさんの工房に行って
『先生の作品を公民館主催の文化祭に展示したいんで貸して下さい』って言ったら、
先生に『保険はかけてくれるんですか?』って言われてビックリしたんですよ」
この話を聞いて皆さんはどう感じましたか?
たぶん多くの皆さんは「大げさな作家だな」とか、
「文化祭の展示物全部にいちいち保険をかけていたら
掛け金だけで巨額になるんじゃないの」なんて考えてしまうだろう。
でもね、これってとても大事な話なんですよ。
「保険をかけてくれるなら作品を貸してもいいですよ」
と言った陶芸家Aさんが正しいのです。
なぜなら、Aさんの作品は最低でも1個30万円は下らないのだ。
もし公民館が保険もかけずに借りて行って展示中や運搬中に壊れでもしたら
弁償してくれるんだろうか。
文化祭を観に行ってよくこういった光景を見ることがある。
『子供が会場を走り回っているのに誰も注意しないで放りっぱなし』
こんな環境でも陶芸作品を展示したいのなら、
壊しても文句を言わない人たちの作品だけを集めて展示するしかないだろう。
プロの作品を展示して見応えのある文化祭にするのか?
趣味(素人)の作品を展示して1年の成果を観て頂くのか?
どちらにするかは関係者が決めれば良い。
しかしプロの作品には保険は掛けた方が良いに決まってる。
それでは今日はこの記事を読んで行って下さい。
台湾の美術館で子供が1億8000万円の絵画を壊したと言う記事です。
2012・
9・24(月) 雨
仕事において誰でもいつかは退職するときが来る。
陶芸家の引き際は重い物が持てなくなったときだろう。
よくテレビで80歳を過ぎた陶芸家が作品を作っているシーンが映される。
でもこういう陶芸家は非常に珍しい。と言うより滅多にありえない。
どういうことかと言うと、このような陶芸家は息子や弟子が
後継者として側にいてすべてのお膳立てをしてくれているからできるのだ。
陶芸を本業にして収入を得るには
月にして200s以上の粘土を運んだり練ったり製作したり、
釉薬に関しても非常に重いポリバケツやポットミル(釉薬を練る容器)を
運んだりしなければいけない。
こういった作業が難無くできるのは65歳くらいまでだろう。
現在の私はと言えば、奥さんに手伝ってもらい
重い物を腰をかばいながら二人で運んでいる。
2年前まではすべて一人で作業していたのに・・・。
そんな訳でこの私にも、本業でやって行くにはもう限界がきているみたい。
寂しい限りである。
「こんな状態が続くなら、国内の製造業は壊滅だ」。
という史上最高値まで達した超円高。
東日本大震災後の不況にあえぐ中での追い打ちに、「ものづくり」で
東海地方の経済を下支えしてきた町工場からも悲鳴が上がった。
外国人から人気を集めていた観光地も、客足の減少に不安を隠せないでいる。
愛知県刈谷市の工場地帯に社屋を
構え、
自動車部品などの金属バネ製造・加工を手がける柴田スプリング製作所。
「円高の影響で輸出型企業の下請け仕事がなくなれば、
『生きる糧』を奪われたも同じ」。2代目社長、柴田直幸さん(49)は、
反転の糸口すら見えない円相場に、これまでにはない悲壮感を抱えている。
父から会社を継いで30年。針金
細工を新たに始めるなどし、
18人の社員と切り盛りしてきた。
しかし、リーマン・ショックで一時、売り上げが50%以下に。
「預金や保険を崩し、1人のクビも切らずに何とか乗り越えた」
と思ったら震災が発生、3〜5月は計1600万円の赤字を出した。
どんな状況でもあきらめずにやっ
てきたが、
「今度ばかりは自分の力でどうにかできると思えない」。
一経営者として、超円高が続くなら、自動車産業に限らず、
大企業が生産拠点を海外に移すのは必然だと思うからだ。
「慈善事業じゃあるまいし、
自ら大損をしてまで仕事をくれる企業などあるはずがない。
近い将来、この国から加工業はなくなるのではないか」。
柴田さんはため息をついた。
愛知県豊田市で自動車部品製造会
社を経営する男性(70)も
「別の仕事を考えなきゃいけないかな」と、“潮時”を意識し始めた。
「1ドル75円では親会社自体も限界。
部品を逆輸入しないとやっていけないだろう」
陶磁器の製造業者や商社が集まる
岐阜県東濃地方。
多治見市で製陶工場を営む男性(61)も、
超円高に「とどめを刺された」と感じた。
美濃焼などはかつて、国内にとど
まらず、盛んに輸出されていたが、
需要は下降線をたどり、
1960年代後半に約1300社だった同業者組合は
現在、500社を割り込む。
男性は「不況がさらに続けば、陶磁器などは真っ先に購入が控えられる。
息を潜め、少しでも景気が戻るのを待つだけ」と声を落とす。
團メール、ありがと
う。陶芸の写真の添付OKです。「御遠慮なく」
適切なアドバイスを内緒でしてあげますよ。
團私は馬場温泉には
行ったことはありません。しかし、鳴子町には多くの友人達がいます。
その友人達はチョイチョイ作品を買いに来てくれています。
嬉しいですね。そういうふうに人づてに広まって、そして私の知らない所で使用されてるのって・・・。
團「そうなんです」。
萩の月のコマーシャルの中で、宝塚の「朝海ひかるさん」が玄関を開けて帰ってくると、
女子高生の妹が「お姉ちゃん、お帰り」と言う。そして2人で萩の月を食べながら、
「ふんわりっていいね」と言う。そのとき、萩の月(お菓子)が五角形の銘々皿にのって映っている。
その五角形の皿が私の皿ということです。
私自身もそのコマーシャルを見て初めて分かったのです。正直いってその時は「とても嬉しかったです」
團私の湯呑みとコー
ヒーカップは、手に持った時と飲み口の良さが評判です。
末永く御愛用下さい。
それにしても、講演してる最中、なんか「見た事ある人いるなー」と思いながら喋ってだんだ。
團はっきり言って、殆
ど同じ融け具合にすることは可能です。(ただし、同じ発色にはできません)
融け具合を同じにするには、温度計だけではダメです。
焼くたんびに温度の上り具合(調子)というのは違うのです。だから温度計は目安に過ぎません。
そこでお薦めは、「ゼーゲル・コーン」です。それをナナメに立てて窯の中にセットします。
ゼーゲルの材質は、釉薬でできているため、融点(とける)温度になると倒れて来ます。
ということは、作品の釉薬も同じように融けているということになります。
●1250度には 「SK−8番」を使用
●1230度には 「SK−7番」を使用
【注意】メーカーが2社あります。私の使用しているメーカーは「JSC」です。
メーカーによって、温度差がかなり有りますので、どちらか1社に統一して下さい。
團作品は、どなたでも
作れるようになります。(多少、個人差はありますが大丈夫です)
1番ネックになるのは、作る心配よりも売る心配の方なのです。
私としては、作る事よりも売る事の方が難しいです。
たぶん、芸術家の9割くらいの方は、そうだと思います。(だから、殆どの芸術家は貧乏なのです!?)
それに、現在の不景気では・・・。
つまり、どうやれば作れるようになるのか、の心配よりも、どうやって確実に売り捌(さば)い
て生活して行くのか、
の答えを出してから行動をして下さい。
ただ、貴方の救いは、まだ独身だったというところでしょう。
結婚くらいならまだしも、子供がいては道も益々険しくなります。
私が陶芸の道に入ったのは33歳、子供が2歳の時でした。ギリギリのラストチャレンジでした。
とにかく、「イチかバチか」の勝負は避けてて下さい。また、「やれば何とかなるさ」の無謀な考えも持たないで下さい。
しっかりとした計算をし、その答えより少なめに見積り(売り上げ)を経て、「それでもやっていける」と答えが出た時に、
始めて行動をして下さい。
向上心のある悩み事は、多いに結構です。
團良い土があるから選んだのではありません。ただ農家の空家があったからです。
陶芸家が場所を選ぶ場合、ほとんどは「目の前に良い土があるかどうか」ではありません。
土は目の前に無くとも、運べばいいのです。
場所を選ぶ場合はどちらかというと、その人の作陶にふさわしい環境があるかどうか、ですね。
土は運べますが、環境は運べませんので・・・。
やはり一番の問題は、資本金です。
陶芸家として仕事(独立)を始めるのは、大抵 30歳前後です。ということは、資本金は無いに等しい!?
とはいえ、実際に仕事を始めるとなると、広い作業場、それに住居も必要です。
それを街場で見つけるとなると、大きな家賃を支払わなければいけません。
そこで考えられるのが、「廃屋になった田舎の農家」なのです。
農家には必ず納屋があり、その納屋を仕事場として利用すれば
OK。もちろん、家賃も安いです。
さて質問の、良い土があるのかどうか、の話に戻りましょう。
焼き物に適した土というのは、何処にでも有ります.(日本は粘土国です)
その証拠に、日本は何処の土地を掘っても水が湧きます。それは粘土質だからなのです。
それに、縄文土器や弥生土器は、何処の町内からでも発掘されているはずです。
さらには、ひと昔前までほとんどの地域で、瓦もしくは水瓶(カメ)等を生産していたはずです。
私の場合、良い粘土なら我が家の空き地を10センチも掘れば沢山採れます。
それと、周囲の山すべてに粘土は有ります。
しかし、たとえ粘土がタダとはいえ、掘ってすぐ使えるわけではありません。それを使えるようにするために
は、
物凄い手間暇がかかるのです。
“強い鉄分の除去”
“石粒の除去”等、実際にそれらをやっていたなら、それだけで大変な仕事の量になります。
ようするに今の時代は、「タダの物の方がかえって高く付く」って事になります。
だから土づくり作業は、ほとんどの人は粘土づ
くりの専門業者にマカセマス。
ところが、陶芸家の中で「私は掘った土で製作しています」なんて言っている人でも、
実際のところ、演出的に “掘っている真似(口)ばかり”という人がかなりいます。
素人の方は、「土は、作家が自分達で掘って作っているのだろうか?」なんてことを、
あまり考えなくても良い、と私は思うのです。
それより まず、その陶芸家の作品の使用按配やデザイン能力や釉薬(色彩・景色)の良し悪し等を観察してく
ださい。
こんな事を言っていると、多分皆さんに「作品の良し悪しが、素人に判るわけないじゃない!」
なんて叱られそうですね。
でも、「土がどうのこうの」と言う事の方が、「作品の良し悪しをどうのこうの」と論ずるよりも、ずーっとヤ
ヤッコシイ事なのです。
(上記のように考えるのは、もしかすると私だけかもしれませんので、その場合は悪しからず・・・)
さて私の場合、土に対してのこだわりはまったくありません。(しかし釉薬にはかなりのプライドを持っ
ています)
土にこだわりを持たない理由は 以下のとおりです。
いくら良い土があったからといっても、それが全ての作品に万能という訳ではないのです。
(私は現在、6種類の粘土を使い分け、大物作品づくり用・小物作品づくり用等々にブレンドしています)
粘土なら、何度も言うように「何処の市町村にでも有るのです」
しかし、「粘りのある土だけが焼き物に良い」なんて、勝手に決めつけないで下さい。粘りの無い石ででも作れます(磁器)。
粘りが無ければ、フノリを混ぜれば良いし、もしくは、流し込みの型づくりやプレス型づくり等でも作れます。
陶芸家は、自然の石・土で形を創り、それを焼き固め、人工の石を作っているの
です。
地球の土や石や金属類のすべてを、高温で焼けば必ず融点(とける温度)に達するのです。(地球はマグマだった)
それどころか、動物の灰(骨)も植物の灰も融点に達するのです。そして、それらが冷めれば固まるのです。
しかし、「自然の石は固まっていても土は固まっていないのでは?」とお思いでしょう。
ところがその昔、土は石だったのです。
火山の溶岩が噴火して粉砕(火山灰)され、土(粒子)になったり、
地球が冷めてできた固い石がやがて風化し、そこへ有機物が入り、バクテリヤが発生し粘りが出て、土になったり・・・等々。
[注意]土が粘りを出すのではなく、土中のバクテリヤの存在が粘るのです。
●地球そのものが「焼き物」と言う名の物体なのです。だから地球に存在するすべてが焼
き物の材料になります。
もし、地元の土・石・鉱石を焼き物の材料として利用する場合は、テストをして焼固まり具合(最適温度)をチェックします。
その結果、それらの最適温度で焼いてやれば良いのです。
そう考えると、「良い粘土が採れるんですか?」なんて質問は、私にしてみれば「どうでも良い事」なんです。
土が良い・悪い、なんて質問は「土に対して失礼です」
たとえば、人の顔に対し他人が「良い顔」だとか「悪い顔」だとか、散々好き勝手に言っているのと同じことなのです。
つまり、その土地の土を使用する場合は、その土に自分を合わせれば良いのです。
そうすれば、すべての土が良い土になります。
【追伸】
低い温度で融けてしまうような土・石・金属・灰等は釉薬(ゆうやく)として使えます。
團そう言う事です。
そして、その 水がめ が置いてあった場所が、土間だったから良かったのです。
コンクリートの床に置いてあったら、漏れた水で水浸しになっていたでしょう。
水がめ は、適度に漏れた方が良いのです。漏れるからこそ
飲み水が腐らないのです。
團 下記の写真
「トルネード」 の釉薬は、灰釉です。
とは言いましても、私の窯は灯油窯(がま)ですので、
”マキ窯”とは違い自然降灰釉(こうばいゆう)にはなりません。
そこで、コンプレッサーを使用します。水に溶いた灰をガンで吹きつけるのです。
その時に、濃淡をつけてバランス良く吹き付けると、作品の景色が良くなり、自然降灰釉のようになります。
しかし、プロが見れば、吹き付けた灰釉である事がすぐにわかります。
この作品の土は、信楽を使用してます。
団十郎作 「トルネード」 下記の花器3点は、いずれも完売しております。
團食器類には基本的に
しなくて結構です。
しかし、焼きのあまい食器に油物をしょっちゅう盛りつける場合は、食器用シリコンをした方が良いと思われます。
(油がしみ込むと非常に汚くなる器があります。)
逆に、茶渋などがしみ込み、その色の変化を楽しむ、といった器もあります。
萩焼きの七変化というのがそれです。
相馬焼きの場合は、貫入(かんにゅう) にあえて墨をしみ込ませて、独特な景色を出しています。
【貫入 とは】
本焼き後、冷めるときに素地と釉薬の収縮率の違いにより、表面にヒビが入る事。
この場合のヒビは、欠陥品ではありません。
ヒビの景色を楽しんでください。
●投稿メ―ルより抜粋 中山おやじさんより
━━━━━陶芸教室で焼いた花瓶に水を入れて花をさしました。
しかし3日もすると花瓶から水が漏れて、テーブルがビシャビシャになりました。
何が原因でしょうか? 教えてください。
加藤・Mより(東京都)
━━━━━志野焼きのぐい呑みを暫く使用しないでいると、必ずカビが付着していて困っています。
欠陥品なのですか?
團結論から言います
と、それらは欠陥品ではありません。陶器はそれで良いのです。
カビの原因は、素地の中に酒の糖分がしみ込んでしまったからです。
そうなってしまったら、しかたがないので使用する度に洗ってください。
磁器と陶器の大きな違いの一つ。
■ 磁器(せっ器も含む)は、吸水性が無い。
■ 陶器は、多少の差はあるが吸水性が有る。
つまり、陶器は焼きあげても水が漏るという事。
特に、志野の粘土は、美濃地方の五斗蒔(ごとまき)地区の粘り気の少ない
“もぐさ土” を使い、
柔らかい土質の調子をだすためにと、本焼ではあまり焼き締めないようにします。
しかし、そのために吸水性が多くなります。
そういった水漏れを防止するために、焼きあがると同時に私の場合は花瓶にシリコン液をしみ込ませます。
(注意・食器には“食器用シリコン” があります。くわしくは販売店にて説明を受けてからご使用下さい。)
萩焼きも上記と同じく、吸水性の多い陶器です。
スーパー等で売られている志野焼きの花瓶や湯呑や皿の中には、水も油もしみ込まない物があります。
そういった志野は粘土が五斗蒔ではなく、磁器土を使用しています。
そして釉薬だけは、志野釉をかけて焼き上げたものです。
だから見た目には、志野焼きですが、実際は、陶器ではなく磁器ということになります。
さてそこで、陶器の志野を使用するか、磁器の志野風を使用するかは、
あなたのこだわり具合で決めてください。
●投稿メ―ルより抜粋
━━━━━石の材料で焼き物が作れるなんて、これまでは信じられませんでした。━━━━━
團粘りのある土だけが
材料だと思っている人が沢山います。
土と石は兄弟、もしくは親戚なのです。
つまり石が風化すれば、土になりますよね。
だから石で作ろうが、土で作ろうが、焼きあがれば同じ火成岩ということになります。
自然の石は、自然の火成岩です。そして我々が作る焼き物は、人工の火成岩です。
次に、「粘りがなければ作れない。」と決めこんでしまうのは、多分、手びねり
もしくはロクロづくりを想像しているからです。
手びねり・ロクロ成形以外にも、石膏の型作り等があります。
磁器は型作りが最適です。
しかしロクロでひく場合は、フノリを混ぜて粘りを出します。ただし僕はまだ混ぜてやった事がありません。
僕が磁器を作る場合は、半磁器を使います。
半磁器とは、磁器と白い粘土を半々に混ぜた物。
これを使うと粘りは粘土と同じで、焼きあがりは磁器とほぼ同じです。
●3.21(日)曇りのち雪投稿メ―ルより抜粋
━━━━━私は、素焼きの焼き物が好きです。━━━━━
TSより
團TSさんへ セ
ンエツですが
素焼と言うものに対して、90%以上の人が間違った覚え方をしています。
素焼のままでは、商品にはなりません。(例外を除く)
【素焼とは】
成形して乾燥させた物を一度、低温(800度前後)で焼きます。これを素焼と言います。
次に、その素焼に、液状にした釉薬(ゆうやく)をかけて、
それを又、窯に入れ、今度は1250度前後で焼(本焼)きます。
こうして本焼された作品が商品となるのです。
たぶん貴方の言っている素焼と言うのは、焼き〆(やきしめ)とか無釉薬の事でしょう。
つまり、釉薬をかけないで本焼をし、焼き〆た作品、と言うことになります。
代表的な作品には、「備前焼」があります。
●3.20(土)曇り
松島にある「藤田喬平ガラス美術館」で
今度 “湯呑みTHEみやぎ’99展” をやるとの事。
今日、そのスタッフが、我家に出品依頼にやってきた。
僕は、とても良い企画だと思う。
湯のみと言うものは、利用者の気持ちをリラックスさせるという大事な役割を持っている。
それに、一番人の肌に触れる作品でもある。
だから “たかが湯のみ” と言えど、けっしておろそかに作る事はできない。
僕は喜んで出品させてもらうつもりだ。
皆さんも是非見学に行って鑑て下さい。
もしくは、貴方のお気に入りの一品をさがしてみて下さい。
開催5月12日(水)より TEL022-353-3322
團陶器と磁器の2種類
を合わせた呼び方です。
陶器は土 磁器は石
つまり焼き物の素地材料には、【土】と【石】があります。
その中間に 【石火 器 土(せっきど)】 があります。
● 陶器 の代表的伝統産地名 信楽焼・萩焼・志野焼・織部焼
● 石火 器 の代表的伝統産地名 備前焼・万古焼・常滑(とこなめ)焼・伊賀焼
● 磁器 の代表的伝統産地名 有田焼・九谷焼・瀬戸焼
※専門的な説明をすると、素人の方はたぶん疲れて眠くなると思われますので、
すべて、おおざっぱな表現をしています。ご了承下さい。